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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第三章・神風の銀狼カグヤ

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ブルーサファイア王国に到着!

 海沿いの町も賑わっていたけど、ブルーサファイア王国の港はも~っと賑わっていた。

 たくさんの人、船乗りっぽいガチムチ野郎ども、魚の生臭い匂い、それに混じって魚の焼ける匂いやよくわからん踊りをしてる連中と、どこもかしこも騒がしい。

 俺とシラヌイは船を降り、あまりの騒がしさに耳がおかしくなった気がした。


「や、やかましいなぁ~……なぁプリム、なんとかしてくれ」

「え、えっと……慣れるまで我慢してください。ブルーサファイア王国は港だけじゃなく造船所もあるんです。人が多いのはここが城下町で一番活気があるからですね」

「へぇ、来たことあんのか?」

「何度か。一応、その……婚約者がいる国なので」

「ああ、だいななおうじだっけ? へんな名前だなぁ」

「ち、違いますぅ!! 第七王子ギーシュですぅ!!」

「ギーシュっていうのか。挨拶しに行くんだろ?」

「ええ、恐らくもうどこかに来ているかと……」


 プリムの計画では、隠れ家をもらって冒険に出るんだよな。

 その第七王子とやらがどんな奴か知らねーけど、プリムが好きらしい。

 アイシェラを見ると……。


「世話になったな、エリザベータ」

「ふん。アイシェラ、姫様のお守りが終わったらアタシんとこ来な。あの餓鬼もだがお前も欲しい」

「悪いな。私の処女は姫様に捧げると誓った。ふふふ……姫様のはじめて」

「相変わらずだねぇ……っと、おい餓鬼!!」

「え、俺?」


 エリザベータおばさんは俺の視線に気付くと、腰から細い包みを取りだして俺に投げる。

 それをキャッチすると、おばさんは言った。


「くれてやる。命の礼さね」

「なにこれ?…………お!!」


 それは、『ジュウ』だった。

 細長い、でもがっしりとした造りだ。というかカッコいい……。


「ありがとう、おばさん!!」

「おばさん言うなクソ餓鬼……じゃあね」


 そう言って、エリザベータおばさんは手を振って去っていく。

 さて、残された俺たち。


「で、どうすんだ?」

「遣いの者がいるはず。私たちを見て接触してくるはずだ」

「それにしても……」

「姫様?」

「いえ、天使様が襲撃してきたのに、この辺りは騒ぎになっていませんね」

「沖のほうでしたし、襲撃者はこいつが倒しましたからね。それに、海軍が天使の襲撃について報告することは間違いないでしょう」

「なぁなぁアイシェラ、腹減った」

「やかましい。今は第七王子に、住居を手配してもらいましょう」

「ギーシュ……」


 と、ものすごいタイミングだった。


「失礼します」

「ん、あんた誰?」

「これを」


 音もなく、一人の男が近づいてきた。

 すげぇな。雑踏に気配を混ぜて近づいてきた。俺でも背後に近づかれないと気配を察知できなかった。

 男は、小さなメダルの付いた首飾りを見せる。


「なんだそれ?」

「それ、ブルーサファイア王国の王章……まさか」

「私はギーシュ様の遣いです。ギーシュ様がお待ちしております」

「おお、やったじゃん」

「黙っていろ。姫様、参りましょう」

「ええ。案内をお願いします」

「畏まりました」


 というわけで、ブルーサファイア王国の港で第七王子とやらの遣いが登場した。


 ◇◇◇◇◇◇


 やってきたのは、きったねぇ掘っ立て小屋だった。

 港の真ん中よりやや外れた場所で、同じような小屋がいくつも並んでいる場所だ。小屋の中にはロープだの生臭い袋だのいっぱいある……くっさぁ。

 俺だけじゃなく、プリムもアイシェラも顔をしかめている。

 だが、顔をしかめながらアイシェラは納得した。


「なるほど。こういうありふれた光景の場所で面会なら誰にも怪しまれない……王族同士がこんな物置小屋で会うなど誰も考えないだろうからな」

「へー、そうなのか」

「さすがアイシェラです!」

「ふふふ。姫様、後でたっぷり抱かせてくださいね♪」

「死ねクソボケ♪」

「あっふぅん♪」

「なーなー、メシ食いたいからさっさと終わらせてくれよー」


 得意げに胸を張るアイシェラだが、案内人が言う。


「あ……すみません、ここじゃなくて隣の小屋でした」

「「「…………」」」


 というわけで、隣の小屋に移動。

 隣の小屋は外観こそ同じようなボロ小屋だったが、中はそこそこ綺麗だった。

 臭い袋やロープとかもなく、テーブルと椅子、そして剣を装備した数人の男女がいた。

 椅子に座った俺と同い年くらいの男がバッと立ち上がる。


「プリマヴェーラ!! あぁ……久しぶり、あぁ、やっと会えた!!」

「ギーシュ……お久しぶりです」


 プリムはスカートをちょんと摘まんで一礼。ギーシュとかいうやつも慌てて一礼した。

 なぜかアイシェラはギリギリと歯を食いしばり、俺は面倒くさそうな話が始まるのかと欠伸をした。

 椅子を勧められたのでプリムが座り、俺も座ろうとしたらアイシェラに耳を引っ張られた。


「なにすん「静かにしろ」……はい」


 なんか怖いので逆らうのを止める。

 ギーシュとかいう奴がクスッと笑う。なんだこの野郎。

 だが、すぐに神妙な顔に。


「手紙、読んだよ……ホワイトパール王国、かなり大変みたいだ」


 ギーシュは悲しげに俯いた。

 

「ホワイトパール国王が病に伏せり、跡目争いが勃発してる話は各国で有名になってる。君が王位継承権を放棄し国を出たって噂もあったけど……まさか、婚約者であるこのボクのところに来てくれるなんて」

「ギーシュ、私はもう王族ではありません。あなたとの婚約も白紙になりました」

「あはは。そんなの些細なことさ。それより、手紙には自分の死を偽装したって書いてあったけど」

「……はい。天使様に命を狙われたのですが、私の護衛がなんとか守ってくれました」


 プリムはクロネのことを含め、これまでのことを説明する。

 なんか眠くなってきた……シラヌイもいつの間にか寝てるし。


「……なるほど。王族が放った暗殺者を撃退し懐柔、嘘の報告をさせて死を偽装、ブルーサファイア王国に亡命しボクの庇護を受け、自由に生きる……ね」

「図々しい願いというのは理解しています。あなたにはなんの利益もない話です。ですが……私にはあなたしか頼れる方がいません。匿ってくれとは言いません、どうかこの国に居住の許可をいただけないでしょうか」

「居住? アイシェラ、居住の許可って?」

「黙ってろ」

「…………他国からの移住者には王族の発行する許可証が必要。ブルーサファイア王国はその辺が厳しい国だからね。居住許可がないと強制退去させられる」


 お、ギーシュが説明してくれた。

 ってか、この辺のこと俺知らなかったぞ。ブルーサファイア王国に入れば終わりかと思ってた。


「馬鹿の貴様に説明しても時間の無駄だからな」

「いや酷くね?」


 アイシェラがニヤニヤしながら言う……この野郎、虫歯にしちゃおうかな。

 ギーシュは、にっこりと頷いた。

 なぜか、俺を見て。


「きみ、プリマヴェーラをここまで守ってくれたんだね」

「おう」

「……ホワイトパール王国領のとある町で、天使様が一人、謎の少年に倒されたっていう話があるんだけど」

「あ、それ俺。モーリエとかいう奴だろ?」

「あ、あっさり認めるんだね……」

「いや、別に隠すことじゃないし」

「…………うん、決めた」

「?」


 ギーシュは、再びプリムを見る。


「プリマヴェーラ、きみに居住許可証を発行するよ。住所が確定すれば世界中を自由に旅できるし、国家が運営する施設や様々な個人登録が可能になる。世界中を自由に旅することだってできる」

「ほ、本当ですか!?」

「世界中を自由って、けっこう自由だったじゃん」

「馬鹿者。黙っていろ」

「アイシェラ、俺の当たり強くね?」


 ギーシュは楽しげに笑う。


「君たちが自由に旅ができたのは、ホワイトパール王国領だったからさ。他国に入るのには許可証が必要だし、住所の定まっていない人間は国家が発行する個人証を所有することができない。まぁ、裏金でも握らせれば入国できないこともないけど……プリマヴェーラ、きみはそんなことを望まないだろう?」

「……はい。私、堂々と胸を張って生きたいんです」

「ひ、姫様の胸……うぅん、張って、張って……うひひ」

「おい、今の会話ってなんかおかしいところあったか?」

「黙ってろ」


 とりあえずアイシェラはおかしいな。

 だが、話はまだ終わっていなかった。


「だけど、条件がある」

「やはりそう来たか!! 貴様、姫様の何を求めるつもりだ!? 胸か、尻か、くびれか、太股か!? そそそ、それとももも、おおお、女の子の大事なああああああそこここぶっふぁぁぁぁぁぁっ!?」


 アイシェラが狂った。

 いきなりで流石に驚いた……まるで、ギーシュのこの言葉を待っていたように、興奮して鼻血を出しながらハァハァしていた。

 なにこいつやばい……。


「フレア、お願い」

「おう」


 とりあえず、アイシェラの歯を全て虫歯にして口内炎を三十個作ってやった。

 

「ほっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!?!?」

「ギーシュ……条件とは?」

「え、あ、いや……えっと、その。き、きみの護衛である彼に、お願いがあるんだ」

「え、俺?」

「いだいいだいいだいぃぃぃぃぃぃーーーーーっ!?」

「フレアにですか?」

「う、うん。えーっと、実は……腕の立つ護衛を探していてね、ぼくの弟をレッドルビー王国に連れていってほしいんだ」

「弟? ギーシュ、末の弟はあなたでは?」

「はぎゃぁぁぁぁぁーーーっ!? はぎゃいだいぃぃぃぃぃぃっ!?」

「実は、隠し子がいたんだ……弟の母親は既に亡くなっていて、故郷であるレッドルビー王国にいる祖父のもとに送ることになったんだ」

「祖父……?」

「うん。弟の母はレッドルビー王国出身でね、ブルーサファイア王国に出稼ぎに来ていたんだ。父上がお忍びで城下町の酒場で飲んでいたところで弟の母と会い、弟を身籠もったらしいんだ。父上がそのことを知った時、子供は六歳になってて母親はすでに亡くなっていた。弟は母親の職場だった宿屋で皿洗いをして暮らしていたそうだよ」

「がぁぁぁぁぁぁっ!?」

「そんな……」

「父上、弟を見て一目で自分の子ってわかったそうだ……なにせ、髪と目の色が全く同じで、自分の幼少期に生き写しだって話だ」

「……引き取ろうとはしなかったのですか?」

「うん。ブルーサファイア王国の王が隠し子なんて冗談じゃないしね。父上は育てるつもりらしいけど、母上や国の重鎮たちに猛反対された。仕方なく、レッドルビー王国に住む弟の祖父のもとに向かわせることにしたらしい」

「あががががががががががががが」

「父上は、生涯的な援助をするつもりみたい。母親の葬儀を手厚く行い、遺骨に自分の血を染みこませて自分の妻だと涙を流していたよ……いやはや、我が父ながら器の大きさに感服した」

「ブルーサファイア王……すごいお方ですね」

「うん。うちの兄弟は父上を尊敬してるからね……まぁ浮気性だけど」

「私の兄や姉も見習ってほしいです……」

「あはは。で……話を戻すけど、弟……ニーアの護衛をきみに任せたい。無事に戻ってくることができれば、プリマヴェーラの居住許可証を渡そう」

「…………え!? あ、うん。わかった?」


 やべ、シラヌイ撫でてたせいで全然聞いてなかった。

 痛みで泡吹いて失神したアイシェラは放っておいて、俺は聞く。


「で、なんだっけ?」

「フレア……聞いてなかったのですか?」

「えと、許可証とかが必要なんだろ?」

「……そうです」

「あはは。愉快な護衛みたいだね。簡単に言うと、プリマヴェーラが安心して住めるようにするため、きみの力を貸してほしいんだよ」

「いいぞ」

「か、簡単に決めるね」

「で、何すんだ?」

「えーと、レッドルビー王国に弟を送り届けてほしい。腕の立つ護衛が欲しくてね」

「ふむふむ。え、レッドルビー王国? 俺、この国に来たばっかりなんだけど」

「はは、そうだね。でも大丈夫、送り届けた後に戻ってくればいい。きみと弟、そして案内役に弟の騎士を付けよう。三人でレッドルビー王国に行ってくれ」

「わかった。あれ、プリムは?」

「プリマヴェーラはお留守番。何も危険を冒して外に出なくてもいい、それに個人証がないと他国には入国できないからね」

「っ……そう、ですよね」

「心配すんな。終わったら戻ってくるからさ、また一緒に冒険しようぜ!!」

「はい……っ」

「プリマヴェーラ、きみと騎士の彼女はぼくの別荘に住むといい……というか、彼女は平気なのか?」

「ああ、ほっとけ。そのうち起きるだろ」


 というわけで、プリムが安心して住む場所を手に入れるため、俺はレッドルビー王国に向かうことになった。

 ちょっとだけプリムとお別れ……まぁ仕方ない。

 それに、レッドルビー王国にも興味ある。


「なぁ、弟と騎士だっけ? そいつらと一緒にレッドルビー王国に行けばいいんだな?」

「うん。道案内は騎士に任せて、きみは道中の護衛を頼む」


 レッドルビー王国かぁ……楽しみだな。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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