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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十三章・至高の三神と地獄炎の七大魔王

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ドビエルの攻撃

 ドビエルは、頭をガシガシ掻く。


「ぐ、おぉ……い、今のは、一体!!」


 巨大な光が、この辺りを飲み込んだ。

 量産型天使は消滅。階梯天使たちのダメージも大きく、聖天使教会本部も壊滅状態だ。

 ドビエルは、瓦礫の山を見ながら考える。


「今の一撃、並の天使には扱えない力だ。間違いなく十二使徒レベル。ジャッジメントか、神器か、その二つか……ミカエルのジャッジメントではなかった。今の光はまさか、ロシエル……いや、奴は死んだとの報告が。あれほどの光、それに上空に展開した魔方陣。あの魔方陣の公式、どこかで……待て待て。あり得ない。私が知らない魔法だと? あり得ん、あり得ん……」


 ドビエルはブツブツ言いながら考え込む。

 そして、ハッとしたように上空を見上げた。


「ッ!? 神よ!! ───おお、無事だったか!!」


 上空に浮かぶ『浮遊神殿』は、神々しい輝きを見せていた。

 ドビエルは神に祈り、自分がなすべきことを考える。


「我が使命は、人類の殲滅。ふむ……この場にいた量産型天使は消滅したが、替えはいくらでもいる。私は予定通り、人間の世界へ向けて」


 ドビエルは、自身の神器である『黒く悪しき試験管ヘルメス・トリスメギストス』を取り出し、上空へ投げた。

 ドビエルの翼が広がり、ドビエルも上空へ。


「さぁ……始めましょうか。世界の終わり、そして始まりを!!」


 ドビエルのジャッジメント。

 試験管から黒いモヤが生み出され、空いっぱいに広がる……『夜の聖天使(ドビエル)百鬼夜行(アイネクライネ)』が増殖し、漆黒の全身鎧を纏った量産型天使が生み出された。

 量産型天使たちは、一気に数百出現。


「クハハハハハッ!! クハハハハハッ!! ああ神よ!! 見ててくださいィィィィィィィィ!!」


 量産型天使たちは、七つの方向に飛び去った。


 ◇◇◇◇◇◇


 少し離れた場所にいるプリムたちは、向かってくる黒い物体に気が付いた。


「なんだ、あれは……!?」


 アイシェラが見たのは、黒い天使。

 全身鎧を纏った漆黒の天使たちだ。

 ナキは舌打ちし、腰に装備した矢筒に手を添える。


「あれは量産型天使ってヤツか。ちくしょう……フレアたち、間に合わなかったのか!?」

「にゃん!! どうするにゃん!!」

「やるしかあるまい……!!」


 アイシェラはブルーパンサーに命じる。


「『実装』!!」

「『ウェアライズ』」


 青い豹ことブルーパンサーがアイシェラの全身を包み込む。

 ナキは口笛を吹き、数十本の矢を同時に浮かべる。

 クロネは前傾姿勢になり、尻尾の毛を逆立てながらナイフを抜いた。

 プリムは───祈るように、両手を合わせていた。


「フレア……信じています」


 プリムたちの前に、量産型天使が舞い降る。

 アイシェラは舌打ちし、槍を構えながら言う。


「こちらだけというわけでもあるまい。恐らく、七つの大陸中に量産型天使たちが」

「大丈夫」


 プリムは、祈る姿勢のまま、力強く言った。


「この世界の人たちはみんな強いです。わたしたちは知っています。みんな、天使様には負けません!!」


 ◇◇◇◇◇◇


 ダニエル、ラティエルの二人は、階梯天使たちを半分以上倒した。


「ぶはぁ、っはぁ……き、キッツイわぁ」

「ですね。あの、これを」


 ラティエルは足下に小さな木を生み出し、そこに実った小さな木の実をダニエルへ。

 ダニエルはそれを食べると、一気に体力が回復する。


「うおお、すっげぇ!!」

「『ドーピング・チェリー』です。食べると元気いっぱい、眠気スッキリの実ですよ。ちょっと寿命が短くなっちゃいますけどね」

「え!?」

「ふふ、冗談です」


 果たして冗談なのか。

 すると、ダニエルとラティエルの周囲に『土』が盛り上がる。

 この土には、見覚えがあった。


「ズリエル……」

「先輩……」


 ズリエル。

 以前は、メタボリックなお腹に、常に脂汗を流していたが今は違う。痩せ細り、真っ青な顔で、頬もこけ……頭部は、ずいぶんと寂しくなっていた。

 ラティエルは察した。


「だ、大丈夫ですか?」

「そう見えますか……?」

「い、いえ。今にも死にそうで」

「ええ、死にそうです」


 ニコリと笑ったズリエル。だが、その笑顔はゾンビのようだった。

 

「もう、限界です。ははは、聖天使教会が木っ端微塵!! やった!! 仕事しなくていい~♪ もうお仕事嫌だ~♪ 私が一人でお仕事~♪」

「ず、ズリエル……」


 ズリエルは、精神的に参っていた。

 たとえ神がいようと、聖天使教会の事務仕事はある。

 それらを、たった一人で支えてきたズリエル。体重は五十キロ以上落ち、食事もままならない状態だったズリエルは、恐るべきダイエットを成功させていた。


「ダニエル先輩。私、逃げ出した先輩の代わり、果たしましたよ」

「あ、ああ。ありがとよ……」

「じゃあ、お願いが」

「な、なんだ?」

 

 ずも、ずも……と、ダニエルの周囲の土が盛り上がっていく。


「一発、殴らせろォォォォォォォォ───ッ!!」

「やっぱそう来るよなぁ!?」

「うーん、私はどうしたら」


 怒り狂ったズリエルが、ダニエルとラティエルに襲い掛かる。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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