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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十三章・至高の三神と地獄炎の七大魔王

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神風の狼

 巨大な魔方陣から巨大な光球が生み出されて落下、量産型天使を消滅させた。

 すっごい一撃だった……魔神器のオーバードライブに匹敵する威力だ。魔神器、形が変わってからオーバードライブ使えなくなったんだよな……ゼロ曰く『使いにくいし、フレアは身体に装備して戦った方が使いやすいでしょ?』ってことらしいけど。

 俺は上空を見上げて思う。


「ダニエルたちか。へへ、いい仕事だな」


 俺は再び黄金の炎を纏い、残った天使たちの群れに突っ込む。


「来たぞ!! ええい、あれほどの魔法が何度も放てるわけがない!! 我らは我らの使命を全うせよ!!」


 と、天使の群れで誰かが叫ぶ。

 すると、天使たちが神器を取り出した。そういえばミカエルが教えてくれたっけ……階梯天使の使う神器は、サンダルフォンとメタトロンが神様の神器を真似して作ったものだって。

 俺はとにかく突っ込む。


「死ねぇっ!!」

「やだね」


 剣を振りかぶる天使の顎にアッパーカットを叩き込み、回し蹴りで後ろにいた天使の顎を蹴り上げる。

 槍を持つ天使が槍を突き出してきたので、『漣』で流し掌底を顔面へ。

 弓を構える天使が何人もいたので、天使を足場にして跳躍、天使の一人に拳を叩き込む。その天使を足場にして別の天使を殴り、さらに足場にして別の天使を殴った。

 そして着地。武器を構えて警戒する天使の一人が言った。


「な、なんで炎を使わない……」

「え、準備運動だから」


 そう、準備運動。

 首をコキっと鳴らし、指をパキパキ鳴らす。

 いい感じに身体が温まってきた。さすがに、万全の状態じゃないと先生たちとは戦えない。

 すると、天使の一人がキレた。


「舐めんじゃねぇ!! たった一人で、階梯天使全員を相手にできると思ってんのか!?」

「できなくはないけど、俺はやんないよ。だって俺、神様と先生を倒さないといけないし」

「神の元へだと? 行かせると思うのか?」

「うん。だって、俺には仲間がいるからな」


 と───俺の背後から、いくつもの岩石が飛んできた。

 岩石は叫んでいた階梯天使の顔面にブチ当たり、鼻血が噴き出る。


「ぶげぁっ!?」

「おーおー、信頼っていいなぁ」

「よ、ダニエル」


 ダニエルが上空から現れた。

 灰色の翼がブワッと広がり、無精ひげの生えてる顎を撫でつける。

 俺の隣に立ち、軽く手を上げたのでハイタッチした。


「さて、フレア」

「おう、ここは任せた!! 千人以上いるけど、お前なら大丈夫だよな!!」

「お、おう……ちょっとは共闘を期待したけど」

「じゃ!!」


 ダニエルに任せて大丈夫そうだ。

 すると、上空からもう一人天使が。

 

「フレアくん。ここはわたしたちに任せてください」

「ラティエル。うん、よろしくな」

「はい」

「怪我したらプリムに治してもらえよ? 後ろの方にいるから」

「はい、ありがとうございます」

「おい……オレと扱い違くない?」

「気にすんなって。じゃ」


 俺は全身を黄金の炎で包み、ビビる天使たちを無視して聖天使教会へ向かった。

 ちょっとだけ背後を気にしてみる。


「ええい! 裏切りの堕天使、そして堕ちた十二使徒め! 神を裏切るぶげぁ!?」


 ダニエルは、鼻血を出していた階梯天使に、笑いかけていた。


「うっせぇなぁ。ま、久しぶりに全力でやらせてもらうかね」

「き、貴様」

「あのさぁ……人間を消すっていうの、やっぱ無理なんだわ」


 ダニエルの周囲の大地が硬くなり、岩石となる。

 ラティエルは、静かに微笑むと足下から無数の植物を出した。


「わたし、十二使徒では一番非力で戦いに向いてないってミカちゃんに言われたけど……今日だけ、本気を出して戦います」


 二人とも強い。ここは任せて大丈夫そうだ。


 ◇◇◇◇◇◇


 階梯天使の群れは、聖天使教会へ向かう途中もいた。

 俺はひたすら殴り、蹴る。

 階梯天使たち、俺に勝てるわけないと知っているのに向かってくる感じだ。

 

「かかれーっ!! やつを少しでも消耗させろ!!」

「魔法だ!! 魔法を使え!!」

「近接部隊、命がけで突撃しろ!!」


 なるほど、消耗ね。

 確かに、これだけの数……一人じゃきついな。

 ダニエルたちに千人以上任せたけど、聖天使教会の周りにはまだまだたくさんの天使がいる。

 まずいかも、と思った瞬間。


「こらぁぁぁぁぁ───っ!!」

「アンタ、ふざけんじゃないわよ!! この馬鹿ァァァァァァーーーーーーッ!!」

「お、やっと来たか」


 ミカエル、そしてカグヤだ。

 ミカエルの足にカグヤが掴まって飛んできたようだ。

 カグヤが飛び降り、足を巨大化させて振り下ろした。


「裏神風流、『巨神鉄槌』!!」


 地面が爆発し、天使たちが吹き飛ぶ。

 さらに上空でミカエルが、真紅の剣を横薙ぎに振るう。


「『紅蓮空破(ぐれんくうは)』!!」


 横に広がる炎の刃が、天使たちを吹き飛ばした……すごい火力だな。

 二人は着地し、俺の傍へ。


「お疲れさん、遅かっいだ!?」

「「勝手なことすんな!!」」


 同時に頭を殴られた……痛い。

 非難の眼を向けると、青筋を浮かべたカグヤが言う。


「アンタ!! こんな最高な場面に一人で突撃とかふざけてんの!?」

「おま、まだそんなこと」

「あーもう、かなり数減ったじゃない。アタシ、強い天使といっぱい戦いたいのにぃ」

「……お前、マジでブレないな」

「ちょっと!! そんなことより、さっさと先に進むわよ。こういう戦いは時間を掛けない方がいいわ」


 ミカエルは、聖天使教会とその上に浮かぶ『城』を見た。


「聖天使教会にあんな仕掛けあったなんてね。さしずめ、『浮遊神殿』ってところかしら」

「あれ、ここから全力の地獄炎で焼き尽くせないかな」

「……やってみる?」


 お、ミカエルがちょっと乗り気だ。

 すると、カグヤが言う。


「その前に、お客さんね」


 見ると、そこにいたのは……ハイシャオだった。

 手には金属製の棍を持ち、クルクル回している。

 そして、にっこりと微笑んだ。


「久しぶり、兄貴」

「兄貴じゃないし。お前、まだそんなことやってんのかよ」

「あはは。それと忠告、あれを燃やすのやめた方がいいよ。先生たちのいる『常世のはざま』の入口まで消滅しちゃうから」

「…………」

「ね、兄貴……もうやめない?」

「は?」


 ハイシャオは、棍を下ろして言う。


「あたしさ、神様にお願いしたの。あたしと兄貴は殺さないでって。あたしと兄貴だけ『新世界』で生かしてくれって。あたしと兄貴だけが純粋な『人間』として、神様の世界で永遠に生きるの」

「…………」

「千年前の人間は、もうあたしと兄貴だけ……兄貴、一緒に生きよ?」

「いいよ」

「「!?」」


 カグヤとミカエルが驚愕する。

 だけど、意味が違う。


「一緒に生きるのはいい。でも、あの神様の下でじゃない。人が生きるこの世界で、人として生きる。お前が一緒にいたいなら、俺は別にそれでもいい。あの神だけはダメだ」

「……そっか」


 ハイシャオは俯き、顔を上げ───棍をクルクル回して構えを取る。


「だったら、戦うしかないね」

「…………」


 俺は構えを取ろうとして───カグヤが俺を押さえた。


「あのさ、アンタ……さっきから勝手なこと言ってんじゃないわよ」

「は? 誰? 部外者はすっこんでなよ」

「そーいうわけにはいかないのよ。それに……」

「むぐっ」


 カグヤは俺の顔を掴み、無理やり唇を合わせた。


「っぷは……こいつ、アタシのだし。アンタなんかお呼びじゃないのよ」

「……………………」


 なんか、ハイシャオの殺気が濃くなった。

 そして、カグヤは言う。


「コイツはアタシに任せて、先に進みなさい」

「おい、カグヤ」

「大丈夫。アタシが負けると思う?」

「思わん」

「だったら行きなさい。ミカエル、後はよろしく」

「ええ。ってかあんた、キスとか……まぁいいわ。フレア、行くわよ」

「お、おう。カグヤ、負けるなよ」

「当然」


 カグヤは、いつも通りの笑みを浮かべた。

 戦うのが楽しくてしょうがない。そんな笑みを。


 ◇◇◇◇◇◇


 カグヤとハイシャオは向かい合い、殺気を飛ばし合っていた。


「殺すよ、あなた」

「できるもんならね。ふふ、アンタすっごく強い。たぶん、アタシが戦ってきた中で最強」

「それは光栄。でも、ただの人間が呪術師に勝てるとでも?」

「さぁね。それに、呪術師相手に戦うの、初めてじゃないし」

「ふぅん」


 ハイシャオは棍を回転させ、隙の無い構えを取る。


「呪闘流八極式鋼種第一級呪術師ハイシャオ。あなたを呪ってあげる」

「神風流皆伝七代目『銀狼』カグヤ。ふふ、楽しくなってきた!!」


 カグヤは笑う。かつてない強者との戦いに、胸を躍らせて。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
[良い点] カグヤさんあら〜!(近所のおばさん感) [一言] コミカライズもカグヤヒロイン編ですね!
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