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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十三章・至高の三神と地獄炎の七大魔王

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地獄炎の魔王たち

本日、コミックス4巻発売です!

 目を開けるとそこは、真っ白な空間だった。

 

「ここは───」

『よお、相棒』


 真っ白な空間で身体を丸める大きな鳥。火乃加具土命が大きな欠伸をした。

 俺は火乃加具土命に近づき、その嘴を撫でる。


「よ、久しぶりじゃん」

『おお。そろそろ、アメン・ラーたちとの戦いが近いんだろ?』

「ああ。あの三人の神様が先生たちを縛り付けてる。ブチのめして、解放しないとな」

『ブチのめすねぇ……火火火、相棒らしいぜ』

「何がだよ」

『オレからアドバイス。相棒、あの三人の神は神としてやっちゃいけねぇことをわんさとやってる。ブチのめすんじゃねぇ。始末しな』

「…………」

『あいつらはもともと、人の世界を自分たちで管理しようとした。でも、それはオレらからするとルール違反。人の世界は人のモンで、オレらみたいな存在はいちゃいけねーんだよ。ま、存在を崇めるくらいならいいけどよ……あからさまに力貸したり、干渉すんのはダメなんだわ』

「ふーん……」


 すると、俺の背後に氷の椅子が現れ、青いおばさんこと『アヴローレイア・コキュートス・フロストクイーン』が現れる。

 氷の椅子の肘掛けに肘を付き、笑っていた。


『それで、わらわたちは揉めに揉めた。そして───アメン・ラー、トリウィア、黒勾玉の三神を、『常世のはざま』という特殊空間に追放したのじゃ』

「追放……」

『うむ。そこでアメン・ラーたちは苦肉の策として、人の世界に干渉するために『力ある存在』を……『天使』を生み出した。天使によって人の世界を管理させたのじゃ』

「……なんでそこまでして、人の世界にこだわるんだ?」

『つい最近わかったことじゃ。我々、十の神を生み出した『ゼロ』……我々が生み出されたのは、ゼロが作りし『人の世界』を見守るため。アメン・ラーたちは『支配』によって、わらわたちは『傍観』によって守ろうとした』

「……よくわかんねーや」

『わからんでもよい。わらわたちは、わらわたち以外には『人の世界』しかなかったのじゃ。だから守りたかったし、手に入れたいと願った。わらわたち地獄炎の魔王は、見守り傍観することで人の世界を守りたかったのじゃ』

「んー……」


 と、白い地面からボコっとモグラが出てきた。

 第三地獄炎の魔王、ガイアだ。

 さらに、蝉のようなトンボのような、よくわからないデカくてキモイ蟲こと空蝉丸も空から降りてきた。


『フレア。アメン・ラーたちは……人の世界に存在しちゃダメなんだな』

「まぁ、やりたい放題だしなぁ」

『ジージージージージージージージージー……』

「お、おう……なんか言ってるんだよな。うん」


 そして、桜吹雪が舞ったかと思いきや、唐傘を差した女性こと天照皇大神がゆっくり歩いてきた。


『フレア。我々からの願いです。どうか、人の世界を、神から守って……』

「もちろんだ。でも……あの神様、ホントにいいのか? お前らの友達なんだろ?」

『ぷっ、アッハッハッハ!!』


 と、黒い炎が燃えあがった。

 そこにいたのは、烏帽子をかぶった若い男。下半身はなく、黒い炎が燃えている。

 手には扇子を持っており、パシッと開いた。


『友達。友達か。まさかそんな言い方をするなんてね』

「違うのか?」

『そもそも、僕らは同列の存在というだけさ。仮にこの中の誰かがルールを侵したら、僕らはそいつを全力で排除するだろうね』

「…………」

『もちろん、そんなことにはならない。僕らが望むのは平穏だ。だから、アメン・ラーたちの手駒である天使たちから世界を守るように、呪術師を生み出したのだから』

「俺たち、か」

『ああ。天使の弱点は、数が多すぎて細かい力の調整ができないこと。それに対し、呪術師は数こそ少ないが、一人一人が破格の力を持つ。それこそ……たった五人で、聖天使教会と戦えるほどにね』

「先生たちか……」

『うん。彼らは、アメン・ラーたちに囚われている。助けるためには、アメン・ラーたちを倒すしかない』

「……わかってる」


 すると、俺の袖をクイクイ引く幼女が傍にいた。

 ボロボロのぬいぐるみを抱いた、紫のワンピースを着た少女。第七地獄炎の魔王ティル・ナ・ノーグだ。


『フレア。わたしたちの力で、戦って』

「ああ。わかった」

『約束……』

「ああ、約束」


 俺はしゃがみ、ティル・ナ・ノーグの頭を撫でる。

 そして俺は、この場にいる魔王たち全員に言った。


「俺は、俺の納得する形で決着をつける。だから見ててくれ。そして……これからも一緒に冒険しような!!」

『はぁ……どこまでも、相棒らしいぜ』

「うっせ」

『ま、戦うのは相棒だ。力ならいくらでもくれてやるから、安心しな』

「おう、任せとけ」

『じゃ……頑張りな。そろそろだぜ』


 と、ここで視界が白くなり───。


 ◇◇◇◇◇◇


「───ふぁぁ」

「あ、起きた」

「……あれ?」


 起きると、馬車の屋根にいた。

 隣にはカグヤがいる。


「アンタ、よく寝るわねー」

「あれ? いつの間に」

「もう少しで国境よ。人が入ることを許さない、七つの大陸の中心。天使の住まう国エデンがある地」

「そうか……よっと」


 俺は身体を起し、周りを見る。

 とても広い平原だ。遠くに川が流れていたり、木々が並んでいたりもするが、何もない平原と表現した方がいいだろう。

 この街道の先に、聖天使教会が……先生たちがいる。


「計画通り。もう少ししたら馬車を林に隠すわ。プリム、アイシェラ、クロネ、シラヌイは待機。アタシとミカエル、アンタの三人で先に進む」

「おう」

「ミカエル曰く、ドビエルとかいう奴の量産型天使がいるから、アタシが全て蹴散らす。ダニエルたちも加わるけど、アタシ一人で十分ね。そしてミカエルは、天使の実力者を排除。アンタは……神様と、師匠ね」

「ああ」

「けっこう雑な作戦ね。ふふ……世界の運命が掛かっているなんて思えないわ」

「ま、そんなのいいだろ」

「そうね」


 馬車はゆっくり進む。

 すると、カグヤが言う。


「ねぇ」

「ん?」

「その……やっぱなんでもない」

「?」

「あーもう!! こっち見んな!!」

「お、おう……変なヤツ」


 馬車の窓が開き、ミカエルが顔を出した。


「カグヤ、交代!!」

「はいはい。もうそんな時間なのね」


 馬車は、聖天使教会へ向けて、進んでいく。

 最後の戦いに向けて、ゆっくりと。

コミックス4巻本日発売!

カグヤが登場します。書き下ろし小説もありますよー!

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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