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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十二章・白き愛の国ホワイトパール

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宿屋にて、これからのことを

 俺、プリム、アイシェラ、シラヌイは、ホワイトパール王城から出た。

 プリムは振り返り、王城を見上げる。


「…………」

「お嬢様、大丈夫ですか?」

「うん。ようやく、わたしはわたしの過去に決着を付けられた気がする……失ったものは戻らないけど、わたしはフレアたちとの旅でいろんなものを手に入れた。もう、捨てない。わたしの大事なものは、わたしが守る」

「お嬢様……」

「プリム、強くなったな」

「えへへ……」

『わん!』


 もう、プリムは大丈夫だろう。

 アイシェラはそっと涙を拭い、プリムに言う。


「お嬢様。私は、お嬢様の剣であり盾。それは永遠に変わることがありません。これからも、よろしくお願いいたします」

「うん。でもアイシェラ、わたしはアイシェラの幸せも願ってるのよ? 結婚して、子供を産んで、アイシェラなりの幸せを掴んで欲しいって思ってる」

「私の幸せは、お嬢様と共にあることです。お嬢様との子供……うむむ、養子を取るべきか」

「もう! アイシェラ、ちゃんと男の人を好きになってよ!」

「ははは。私はお嬢様がいればそれでよしなので」


 相変わらずのアイシェラだ。でも、変態的な言動もなく笑っていた。

 プリムもアイシェラも、スッキリしたようで何よりだ。

 あとは……俺の問題だけ、かな。


「プリム、アイシェラ。とりあえず、ミカエルたちのところに行こうぜ」

「はい。でも、場所は……?」

「ハクレンの呪力を感じるから大丈夫。カグヤたちもそこにいるだろ」

「ふん。では、案内しろ」

『わぅん!』


 俺たちは、ハクレンたちがいる宿に向かって歩き出した。

 こうやって三人と一匹で歩くのが、とても懐かしく感じていた。


 ◇◇◇◇◇◇


 到着したのは、これまたでっかい宿屋だった。

 白い煉瓦で建てられ、看板には『本日貸し切り』って書かれている。

 中に入ると、クロネが出迎えてくれた。


「にゃん。用事は済んだのかにゃん?」

「はい。全部終わりました」

「そっか。じゃ、こっちに来るにゃん。ここ、貸し切りにゃん。ご飯も食べ放題だし、まずは腹ごしらえするにゃん」

「メシ!? 俺めっちゃ腹減ってる!! よっしゃメシだメシ!!」


 宿屋の食堂へ入ると、テーブルいっぱいに料理が並んでいた。

 というか、全員メシ食ってる。

 カグヤ、ナキ、ダニエルにラティエル、アブディエルにミカエル、コクマとかいう奴がメシを食い、酒を飲んでいた。


「あ、来たわね。ふふん、先にいただいてるわよー」

「おま、カグヤ、その肉俺も食う!!」

「ふふーん。アンタなんかにやらないわよ。一人で特異種たちと楽しんじゃってさ、ズルい奴にあげる肉はないしー」

「ふっざけんな!!」

 

 俺はテーブルに並んでいた骨付き肉を食べる。

 すると、カグヤも負けじと肉を食らい始めた。


「ったく、ガキね」

「ま、いいじゃねぇか。それよりミカエル、お前も食えよ」

「食べてるわよ。ってかダニエル、あんたとラティエル何してたの?」

「えっとね……血溜組を抑えようとしたんだけど、いきなりみんな引いちゃって。フレアくんたちを探して彷徨ってたら、そこのハクレンちゃんが『終わったから来て』って」

「つまり、何もしてないってことね」

「「うぐ……」」

 

 ダニエルとラティエルは、ミカエルのツッコミに黙り込む。

 煙草を吸っていたナキは、プリムとアイシェラにグラスを渡した。


「ほれ、メシ食え。話はそれからだ」

「かたじけない」

「ありがとう、ナキさん」

「……二人とも、すっきりした顔だな。いろいろ解決したようで何よりだぜ」


 ナキはグラスを掲げ、二人と合わせた。

 クロネはいつの間にか魚を食べてるし……コクマとかいう奴は、部屋の隅で本を読んでいる。アブディエルも一緒に本を読んでいた。

 すると、肉を喰う俺のそばにハクレンが。


「お兄ちゃん、ここ貸し切った」

「ん、おお」

「みんな集めた」

「お、おう」

「ごはん、準備した」

「……おう」

「おいしい?」

「おう、うまいぞ」

「…………」

「…………」

「お兄ちゃん……ほめて」

「ああ、そういうことな。よーしよし、よくやったぞ」

「えへへ」


 ハクレンを撫でると、顔をほころばせた。

 妹か……ハイシャオみたいなわけわからん奴より、こういう素直な子の方がいいな。

 ハクレンにも肉を勧め、みんなで楽しく食事をした。


 ◇◇◇◇◇◇


「俺、神様をブチのめしてくる。ミカエル、聖天使教会の本部まで案内してくれ」


 食事が終わり、俺はオレンジジュースを飲みながら言った。

 ミカエルは、小さくため息を吐く。


「間違いなく、神はあんたを迎え撃つ準備をしているでしょうね」

「関係ない。先生たちを解放して、もう二度とこんなことができないように、神様たちをぶん殴ってやらないとな」

「……フレア、本当にヤバいわよ? 聖天使教会にはアルデバロンを筆頭に、ジブリールとガブリエル、サラカエルもいる。階梯天使の軍勢が数万、そして……ドビエル。神に命じられて何をやっているのかわかんないけど、碌なことじゃない」


 ドビエル。その言葉にアブディエルが反応する。


「私も行く。ドビエル……殺してやる」

「アタシも!! 強いやつと戦えるなら、いくらでもやってやるわ」


 アブディエル、カグヤは行くみたいだな。

 

「わたしも行きます。わたしの力が役に立つかもしれない……」

「お嬢様のいるところに私はいる」

「うちも、情報収集は任せるにゃん」

「へ、借りは返すぜ、フレア」


 プリム、アイシェラ、クロネ、ナキも行くのな。

 

「オレも行くぜ。今度こそ、借りは返す」

「私も! ミカちゃん、あなたは?」

「…………」


 ミカエルは、俺をまっすぐ見た。


「呪術師は、あんたしか相手にできないわ」

「ああ」

「それと神。あたしたちの創造者……一度対峙したけど、戦って勝てる気がしなかった。神も、あんたが相手するしかないでしょうね」

「うん」

「だから───……それ以外は、任せなさい。あたしの『炎』で、道を作る」

「いいんだな? 敵対しても」

「ええ。あたしは、あたしの信じる道を行く」


 そして、ハクレン。


「ハクレン、お前は」

「いく。お兄ちゃんと一緒」

「……わかった。じゃあ、プリムたちを守ってくれ」

「うん。終わったら、一緒に冒険しようね」

「ああ。約束な」


 ハクレンの頭を撫でると、シラヌイが俺の足にすり寄ってきた。


『くぅーん』

「わかってる。お前も一緒だな」

『わん!』


 よーし。これで神様に喧嘩売ることができる。

 待ってろよ……先生たち。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] ラストバトルみたいになってきたー! …個人的には最終決戦終わっても皆のノンビリ回を読んでいたい…
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