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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十二章・白き愛の国ホワイトパール

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BOSS・ホワイトパール王国特殊部隊『心無き天使』②/大勢

 敵の残りは二十人くらい。

 もう遠慮しない。俺は全力で走り出し、ナイフを持っていた男の顎を叩き割る。


「ゴカッ!?」

「っしゃぁ!!」


 そのまま回し蹴り。男は回転しながら吹っ飛んだ。

 そして、俺めがけて銃を撃とうとしていた女がいるのに気付く。

 俺も回転式を抜き、身体に力を込める。


「死ね!!」

「甲の型『極』───『金剛夜叉』!!」


 銃弾が頭に命中するが、俺の頭に傷一つ付くことはない。

 ギョッとする女めがけて回転式を連射。両腕と両足、腹に弾丸が命中し、女は血を吐いて倒れた。

 全弾撃っちまった。弾を込める暇がないので、ホルスターにしまう。

 そして、剣士が目の前に。


「シャッ!!」

「おっと」


 なかなかの剣速だ。俺は剣を躱しながら、右腕のブレードで受け止める。

 動きが止まった瞬間、剣を反らして相手の体制を崩し、身体を捻って勢いをつけ、回し蹴りを食らわせた。

 剣士の頭に蹴りが命中。そのまま床に激突して気を失った。


「魔法を使え!!」


 誰かが叫ぶ。すると、五人ほど並んで俺に手を向ける。

 火、水、風、雷、光が集まり、一つの球体になって発射される。

 これも特異種の能力なのか。属性をまとめて放つなんてすごいな。


「第一地獄炎、『灼熱闘衣』!!」


 俺は全身を超高熱の炎で包む。踵から下だけ生身のままだ。足まで燃やすと燃えちまうからな。

 そして、炎を纏ったまま、敵の魔法めがけて突っ込む。

 魔法が俺の身体に直撃するが、地獄炎のが遥かに高熱だ。衝撃も何もかも打ち消した。


「な、馬鹿な!?」

「甲、滅の型『合』───『闘牛烈進(とうぎゅうれっしん)』!!」


 右肘を呪力で硬化させ、走りながら複数の敵に肘撃ちする。魔法使いたちの肋骨を粉砕、全員が泡を吹いて気を失った。

 そのまま他の連中も倒そうと思ったが、身長三メートルくらいの男が四人、俺を止めようと並んでいた。こんな巨大な連中いなかったぞ……ああそうか、特異種の能力で『巨大化』したのか。

 四人の後ろに、小さな女がいる。こいつが能力者だ。


「そいつを止めなさい!!」

「「「「御意!!」」」」

「───……やってみろよ!!」


 四人は肩を組み、列を作る。

 一人じゃ止められないから、四人で止める。一人をぶっ飛ばしても、残りの三人が支える。肩を組んだことで、衝撃も分散する。

 なかなか考えたじゃん。でも……相手は俺だぞ? 甘い甘い!!

 俺は肩を組む四人に向かって走り、方向転換した。


「「「「何ぃ!?」」」」

「全員まとめてぶっ飛ばしてやる」


 俺が移動したのは、肩を組んで並ぶ男たちの真横。

 呼吸を整え、足をしっかり床に付け、右手のひらを男の脇腹に叩き付けた。


「流、滅の型『合』───……『鎧通し・富嶽(ふがく)』!!」


 衝撃が、男の体内を貫通。二人目、三人目、四人目の体内も通り抜けた。

 四人同時に血を吐き崩れ落ちた。


「う、うそ」

「悪いな。お前の力めんどくさそうだし、容赦しない」

「ひっ」

「滅の型、『登楼牡丹』!!」


 関節を狙った連撃が、『巨大化』の能力を持つ特異種……あ、こいつ女だ……に命中。四肢の関節が無理やり外され、その痛みに耐えきれず失禁、失神した。

 すると、何かが俺の腕を掴む。


「なんだこりゃ……腕?」

「オレに打撃は通じないぜ」


 変な男だった。身体がグニャグニャしている。

 試しに殴ってみると、ぐにゃりとした感触がする。さらに男の身体が伸び、元に戻った。 

 男は、俺の身体に腕を巻き付ける。


「へへへ、このまま絞め殺してやる!!」

「お前、馬鹿か?」

「あぁ?」

「蝕の型、『虫歯二十本(トゥース・バイキー)』」

「───ッ!? ホッギャァァァァァァ!?」


 虫歯を二十本作ってやると、軟体男は俺から離れ、激痛にのたうち回った。

 

「俺に触れ続けるってこと、よく分かっただろ?」

「あ、ががががが……」

「じゃ、寝てろ。蝕の型、『超絶睡眠不足(オー・マイ・ドリーム)』」

「ぁ……」


 男はがっくりと気を失った……ように見えるが、実際は眠いんだけど眠れない。そんな中途半端な状態だ。起きる気力も、何かする気力も失っている。

 俺は、背後に向かって思いきり正拳を放つ。


「っごが!?」

「姿は消えてるけど、殺気でバレバレだぞ?」


 こっそり近づいてきた男の顔面が潰れた。

 最初に姿を消す能力を使っていた奴だな。気を失うと、六人くらいの姿が見えた。ああ、気を失ったから、能力が解除されたんだな。

 俺は指をパキッと鳴らし、一番近くにいた男に向かって走る。


「滅の型、『百花繚乱』!!」

「がっふぇ!?」

「次!! 滅の型、『桜花連撃』!!」

「っぎぁ!?」


 流れるような連撃で二人撃破。そして、どうすればいいか迷っている三人に向かう。

 

「滅、流の型『合』───『散葉舞踊』!!」


 三人の間を通り抜けると、声もなく三人は倒れた。

 高速の急所突きで、一瞬で意識を刈り取ったのだ。

 そして、最後の一人。


「恐るべき使い手だな。勝てる気が「滅の型、『轟乱打』!!」っがひゃぁぁぁ!?」


 何か語り出したが無視。二百発くらいぶん殴り、回し蹴りでトドメを刺した。

 これで、立っている奴はいない。隠れてる奴も……いないな。

 俺はゆっくり構えを取り、ハイシャオに指を立てる。


「次はお前か?」

「……いやはや、兄貴ってばすごいね」

「御託はいい。かかって来いよ」

「そうだね。でも……相手はあたしじゃないよ」


 ふわりと、玉座のある壇上から降りてきたのは、白い少女。

 真っ白な髪に、ゆるゆるの呪闘衣を着たハクレンだった。

 やる気があるのかないのか、どこか眠そうな表情をしている。


「フレア、強い……楽しくなってきた」

「そうかい。実は俺も楽しくなってきたんだ。地獄炎を使えないってのは面倒だけどな」

「そう。じゃあ、やろ」


 ハクレンはゆらりと構えを取る。

 俺も首をコキコキ鳴らし、甲の型で構えを取った。


「呪闘流曲種第一級呪術師ハクレン。よろしくね」

「呪闘流甲種第三級呪術師ヴァルフレア。ああ、よろしくな」


 俺とハクレン、呪術師同士の戦いが始まった。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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