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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十二章・白き愛の国ホワイトパール

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BOSS・ホワイトパール王国特殊部隊『心無き天使』①/三人

 謁見の間に入ると、プリムたちがいた。

 ミカエル、アブディエル、カグヤ。この三人もいる。鎖で拘束され、こっちを見るだけでピクリとも動かないし喋らない……なるほどな、呪術で動きを止めてるのか。

 俺は、プリムたちに手を振った。


「ようやく会えた……いやその、悪かった。ちょっと和尚と一緒にホワイトパール王国の奴隷売買組織をツブしてたら遅くなった。いやーびっくりしたよ、地下組織い行って暴れたんだけどよ、出てきたのはなんと黄金級! まさか、ホワイトパール王国で黄金級ゴーレムと戦えるなんて思わなかった」


 しゃべりながら周囲を探る。

 ハイシャオ、ハクレン。そしてプリムに似た男……王冠被ってるし王様かな? それと、室内には二十以上の気配。なるほどね、特異種か。

 ハイシャオは、根をクルクル回しながら言う。


「兄貴、いろいろあったみたいだけど、あたしたち『暁の呪術師』から試練を出す。この試練を突破できたら───…………あれ? できたらどうなるんだっけ?」

「知らない。師匠、言ってない」

「……まぁいっか。とにかく兄貴、この子たちを解放してほしければ、力を示して」


 ハイシャオは、プリムたちに根を突き付ける。

 それを見た俺は、心が冷えていくのを感じた。


「もしプリムたちを傷付けたら殺す」

「……いいね、怖いくらい圧縮された殺気。でも、その程度はあたしは怯まないよ?」

「王様、命令して」

「え? あ、は、はい!!」


 ハクレンが、王様の袖をクイクイ引っ張る。

 王様は事態を飲み込めていなかったが、命令を出した。


「ホワイトパール王国特殊部隊『心無き天使』に命じる。目の前にいる脅威を、全力をもって排除せよ!!」

「「「「「御意」」」」」


 すると、どこに隠れていたのか、周囲の景色の一部が色づき、何人も現れた。

 まるで周囲に溶け込むように擬態……そういう特異種の能力ね。

 室内だし、デカい炎は使えない。町に入るとこんなんばかりだな。

 構えを取り、ニヤリと笑う。


「へへへ……悪いなカグヤ、ここは俺だけで楽しませてもらうぜ」

「っ~~~!!」


 鎖に巻かれたカグヤが、なぜか俺を睨んでいた。


 ◇◇◇◇◇◇


 向かってきたのは、両手にナイフを持った男、いや女? が数名。

 こいつら全員マスクしてるからわからん。

 三人は、息の合ったナイフ攻撃を繰り出す。


「お、おおおっ!? っとぉ!!」


 速い───……っ!!

 全員、かなりの使い手だ。

 どういう原理なのか、三人の腕が鞭のようにしなっている。さらに、空中でナイフを投げ合い、それを三人でキャッチ。変幻自在のナイフ攻撃を繰り出す。

 俺はナイフを躱し、『漣』で受け流す。


「やるな。では───……」

「これなら」

「どうだ?」


 一人が俺に向かってナイフを投げる。

 俺はそれを首だけ捻って躱す。すると、背後にいた二人目がナイフをキャッチ。

 俺はしゃがみ、横薙ぎに振るわれたナイフを躱す。そのまま足を上げ、背後の二人目の顎を蹴り砕いてやろうかと思った───……が。


「あれっ!?」


 二人目が消えた。

 同時に、一人目と三人目がしゃがむ俺に向かって蹴りを放つ。

 俺は蹴りを両腕を交差して受ける。

 そのまま地面を転がって離れるが。


「死ね」

「え!?」


 消えた二人目がまた背後に。おかしい、こいつこんな場所にいなかった。 

 俺は転がってナイフを躱す。


「「シャァァァァッ!!」」

「はぁ!?」


 転がった先に、一人目と二人目がいた。

 なんで!? 二人目、移動する余裕なんてなかったはず。

 俺は悟る。


「そうか、特異種───……」

「ッシャァァ!!」

「なら───」


 俺は再び背後にいた三人目のナイフを躱すのではなく、人差し指と中指だけで挟んで止めた。


「っ!?」

「止めちまえばいい。流の型、『骨指』!!」

「ぐ、おぉぉっ!?」


 俺はナイフを取り上げ、三人目の小指を掴んで思いきり捻り上げへし折った。先生が言ってた。指の骨は脆いから、やり方次第で簡単に骨は外せるし、簡単に折れるって。

 手、指は武器使いにとって大事な物。壊せば武器は握れない。

 三人目は指を押さえて下がる。気付いたが、一人目と二人目も少しだけ指を押さえた。


「なるほどな。なんとなく読めたぞ……」


 たぶん、一人目の能力は黄金級のアイネと同じ『跳躍』と似た能力だろう。三人を常に俺の近くにジャンプさせて、途切れることなく攻撃して疲れさせる。んで二人目は、痛みとか疲れを三人で『共有』する能力だ。一人ぶんの疲れを三人で共有するなら、疲れも三分の一で済む。二人が攻めて一人が完全に休めば、それだけで体力の消耗を抑え込める。

 そして三人目は、腕を伸ばしたりしならせたりする能力かな。この腕の動き、普通の人間じゃこうはいかない。


「なら、簡単だ!!」


 俺は呪符を取り出し、呪力を込める。


「『凄まじき速度で叩く(アムド・リアウルク)』」


 俺の両腕に呪力が流れていく。

 そして、両足に呪力を込めてダッシュ。指を押さえている三人目に、拳を叩き込んだ。


「滅の型、『修羅・轟乱打(しゅら・ごうらんだ)』!!」


 呪力で強化された両拳によるラッシュ。

 毎秒二千発の拳は、三人目の全身の骨ほとんどを砕いた。

 痛みを共有している二人は、口から泡を吹いて失神。三人目は吹き飛ばされ壁に激突した。


「痛みを共有するってことは、限界まで痛みを与えればいいってことだ。へへ、一人で三人も倒せてラッキー───……っとぉ!?」


 いきなり現れた剣士が、俺の首を斬り落とそうと剣を横薙ぎに振るう。

 俺は右手のブレードを展開し、受け止めた。

 やばいやばい。敵は二十人以上いるんだった。


「ま、いいや。お前ら全員、炎ナシで叩きのめしてやるよ!!」


 俺はそう叫び、剣士の腹に前蹴りを食らわせた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いね〜 これ昨日1話から一気読みしちゃったよ この作品好きだからこのまま更新止まらないで頑張ってほしいな
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