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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十二章・白き愛の国ホワイトパール

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人身売買での戦い

「相手は一人だ!! 全員でかかれっ!!」


 衛兵が剣を俺に突き付けて叫ぶ。なるほど、こいつが頭か。

 その命令に、衛兵が一斉にかかってきた。

 武器は剣、統率の取れた動きで俺を切ろうと迫ってくる。


「流の型、『刃砕』」


 俺は、振り下ろされた剣の腹を叩いて砕き、薙ぎ払われた剣の腹を下から叩いて砕く。

 衛兵がギョッとするが無視。そのまま顎に掌底を叩き込み、もう一人の衛兵には回し蹴りを食らわせる。

 衛兵は吹っ飛び壁に激突。


「ほらほら、全員で来いよ」

「ぐぬっ……ええい!! 奴は一人だ、数で押せば倒せない相手じゃない!!」


 向かってくる衛兵たちを、俺はひたすら殴る蹴る。

 まず武器を破壊。これでけっこう驚いて硬直するので、あとは無防備な急所を叩く。二十人くらい倒すと、衛兵たちが向かってこなくなった。

 全員、ただ向かってくるだけじゃ倒せないって気付いたみたいだな。


「おのれ……!!」

「隊長!! 後部出入口からも、侵入者が!!」

「何ぃ!?」


 おお、和尚が来たのか。

 俺はニヤリと笑い、隊長に向かって走り出す。


「なっ!? きさ───」

「滅の型、『登楼牡丹』!!」


 指を尖らせた連続突き。

 関節部分を狙うことで、ガコッガコッと関節が外れる音が響く。

 百花繚乱、桜花連撃と並ぶ、滅の型でも強力な攻撃技だ。


「っご、あ……」


 隊長は真っ青になりガクガク震え、そのまま泡を吹いて倒れた。

 腕や足の関節がほとんど外れたんだ。痛みを感じる前に脳が失神を選択した。

 隊長が倒れ、残った部下は真っ青になり、剣を向けていた。


「さーて。残りはこんだけね……かかってきな」


 やぶれかぶれになった衛兵たちを、俺は残らず叩き潰した。


 ◇◇◇◇◇◇


「……あれ?」


 衛兵は全員倒したのに、貴族たちは逃げも怯えもしなかった。

 首を傾げると、仮面をかぶった男が近づいてくる。


『さぁ!! 侵入者の少年は屈強な衛兵を全員倒しました!! 少年に賭けた皆様は大ラッキー、次の賭けではどうなるか!!』

「…………」


 ニヤニヤした司会者っぽい男は、俺に言う。


『さぁ侵入者の少年、こちらへ。これよりメインイベント!! ガーディアンとの戦いに入ります!! さぁ皆様、侵入者の少年か、賭けた賭けた!!』

「…………」


 なんか、メチャクチャ馬鹿にされてるな。

 俺は司会者の言う通り移動する。


『少年、現在の気持ちを』

「ああ、とりあえず……」


 俺は拳を握り、司会者を殴る。


「滅の型、『百花繚乱』!!」

『おぼごっ!?』

「滅の型、『桜花連撃』!!」

『ががっ!?』

「甲の型、『牛進』!!」

『っぎぁぁぁっ!?』


 顔面を狙った集中打。流れるような全身への打撃。そして全力のタックル。

 司会者は吹き飛び、壁に激突してめり込んだ。


「なーんか見世物みたいだな」


 すると、巨大な柵が床からせり上がってきた。

 柵は、俺を囲むように円形にせり上がり、まるで試合会場みたいになった。


「おお、なんだこれ?」

『えー、これより!! 特別試合!! 侵入者の少年VSぅぅぅ……ガーディアン!! の、対決を行います!! さぁ賭けた賭けた!!』

「「「「うぉぉぉぉぉっ!!」」」」


 すごい騒ぎになった。 

 いつの間にか、会場内にいた連中が試合会場を囲んでいる。

 そして───俺の目の前の床が開き、何かがせり上がってきた。


「な、なんだ……?」


 せり上がってきたのは、俺の想像を超えるモノだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇◇


 和尚は、フレアと反対の出入口から堂々と侵入。

 壁をブチ壊し、向かってくる衛兵を無力化しながら進んでいた。

 そして、奴隷が収監されている部屋のドアを破壊。鎖に繋がれた奴隷たちの元へ。


「大丈夫かの?」


 人間だけじゃない。

 獣人、エルフも多くいた。

 ホワイトパール王国の闇……奴隷売買。

 和尚は鉄格子を素手で開け、奴隷の少年少女の頭を撫でる。


「やぁやぁ遅くなった。さぁ、もう大丈夫」

「う、ぅ……」

「大丈夫。大丈夫。ワシはお前さんたちを救いに来たんじゃ」


 獣人の少年を撫でると、ぽろぽろと涙を流す。

 和尚は、一人ずつ鎖と首輪を素手で引きちぎる。鋼鉄製の首輪と鎖は、まるで紙のように引きちぎられた。


「さぁて。フレアが表で戦っている隙に、脱出しようかの」


 と───和尚は眉をピクリと動かす。

 振り返ると、ドアの前に数人の兵が立っていた。

 ただの兵ではない。


「おいおい、おっさん……なにしてんの?」

「駄目じゃない。その子たち、大事な商品なんだから」

「ふふ。馬鹿みたい。あたしたちに見つかっちゃったぁ」


 ナイフをくるくる回す男、魔法使い風の美女、人形を持った少女だ。

 和尚は直感で理解した。この三人は『特異種』であると。


「どうやら、易々と通してくれんようだのぉ」


 和尚は困ったように笑った。


 ◇◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇◇


 床からせり上がってきた『何か』は、金色の輝いていた。

 上半身は人間のようで、下半身は馬のようになっている。


「まさか、これ……」


 俺は、見覚えがあった。

 そう、パープルアメジスト王国で……ユポポで見た、あれ。


「ご、ゴーレム!?」

「大正解!!」


 ゴーレムの影にいた女が、パンと手を叩く。

 二十代くらいの女だ。長い髪をポニーテールにした、活発そうな女。

 そいつは、俺を指さして叫ぶ。


「久しぶりに楽しませてよね!! 侵入者!! この『黄金級(ゾディアック)鉄機(ゴーレム)』の一体、『射手座(サジタリウス)』をね!!」


 さすがに驚いた。

 まさか、パープルアメジスト王国にいるはずの『黄金級』の一体が、ホワイトパール王国に……しかも、人身売買組織の元にあるなんて、想像すらしてなかった。


「カグヤが羨ましがりそうだな……へへっ、俺だって強くなってるんだ。こんな奴、すぐにスクラップにしてやる!!」


 拳を構え、俺は黄金級に向かって走り出した。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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