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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十二章・白き愛の国ホワイトパール

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人身売買組織との戦い

「で、ここが人身売買組織ってやつ?」

「うむ」


 俺と和尚は、ホワイトパール王国に到着……したんだけど。

 なぜか、王国郊外の墓地に来ていた。

 完全な墓地。しかも、誰も手入れしていないのか、草はボーボーだし墓石はだいぶ朽ちている。まるで、忘れ去られた墓地だ。

 訝しむ俺。すると和尚が言う。


「見ろ。確かに墓地は朽ちているが、馬車の通った跡があるぞ。しかも新しい」

「あ、ほんとだ」

「やはりあったか……どうやらここが、地下の入口じゃな」

「地下?」


 馬車が通った跡を進むと、妙な岩場に到着した。

 俺も和尚も気配を消している。おかげで、すぐに気付いた……この岩場、なんか嘘くさい。

 和尚は、周囲を確認して岩に触れた。


「やはりの。これは地下へ通じる入口の一つ……やはり情報通り。この下には貴族御用達の違法カジノがある。さらに、人身売買組織のアジトでもある」

「わかんの?」

「うむ。見ておれ」


 和尚が地面に右手を置き、軽く押した……ように見えた。


「錦流骨法、『気功円』」

「おお……」


 和尚の手から、温かい何かが放出されたように見えた。

 

「───ふむ、相当な広さじゃのぉ。小さな町くらいはありそうじゃな」

「そんなに広いの?」

「うむ。ホワイトパール王国貴族の違法な遊び場じゃ。ここで行われている『賭け』は、人の命をもてあそぶようなものばかりと聞く……放ってはおけん」

「……どうする? ぶっ潰すんでしょ?」

「うむ。くくく、これは面白い。どうやら、地下を隠すために入口はここともう一つしかない。フレアよ、挟み撃ちで殴りこもうぞ」

「お、いいね。派手にやっていいの?」

「もちろん。ああ、なるべく殺生はするなよ?」

「わかった」

「では、ワシは別の入口に向かう。きっかり五分後に、この入口を破壊して脱出できないようにしてから暴れろよ」

「うっし!」


 俺は拳を打ち付け、気合を入れる。

 和尚はニカッと笑い、別の入口に向かって走り出した。

 

「さぁて。悪い組織をぶっ潰すか!!」


 ◇◇◇◇◇◇


 五分後。

 俺は、地下への入口である岩を思いっきり蹴り壊した。


「な、なんだぁ!?」

「き、貴様、何者だ!!」


 守衛っぽい兵士が仰天していた。

 何者か? そう聞かれたら答えるしかないっしょ。


「冒険者でーす……ここ、ぶっ壊しに来ました」


 ぽきぽきと指を鳴らし、首をゴキゴキ鳴らす。

 すると、守衛は剣を抜く。


「ここがどこだかわかってんのか? ここはホワイトパール貴族の遊技場。ここを潰すってことは、貴族を敵に回すってことだ。それに……お前、一人か? 一人で殴り込みに来るなんて、ただの馬鹿だろう?」

「いや、一人じゃないぞ。別の入口にもう一人いる」

「なにぃ?……まぁいい。ここを知られたからには、生かして返さん!!」


 守衛が突っ込んできた。

 俺は拳を構え、守衛が振るう剣を躱す。そして、無防備な腹に一撃入れ、そのまま身体を回転させ、落ちてきた顎に回し蹴りを下から叩きこんだ。


「な、テメェ!!」

「蝕の型、『激しい頭痛(ヘド・ペイン)』」


 そのまま、もう一人の守衛の頭を掴み呪術を食らわせる。

 守衛は頭を押さえ、そのまま倒れ込んだ。


「ッッッッッッッ!?!?」

「声も出せないほど痛いだろ? 激しい頭痛ってキツイよなー」

「ッッッッッッッ……」

「じゃ、そういうことで」


 頭を押さえ、歯を噛みしめ、瞼をぎっちり閉じて痛がる守衛を放置し、俺は地下を進んだ。

 さてさて……おお、けっこういるじゃん。


「な、なんだ貴様!? ここではマスクをするルールで」

「いや俺、お客じゃないし」


 地下の奥に進むと、ものすごーく広い空間に出た。

 そこで見たのは……酷い光景。

 巨大な水槽で溺れる人間、どうやら何分耐えられるか賭けてるみたいだ。

 毒の果実を食わせてる……ああ、何個目の果実で死ぬか賭けてるのか。

 あの檻、魔獣……奴隷を無理やり戦わせてる。


「…………」


 胸糞悪いな。

 しかも、ここにいる連中は全員、綺麗なドレスや服を着てる。さらに顔はバレないようにマスクを付け、純粋に賭けを楽しんでいるように見えた。

 これが、ホワイトパール王国。

 なんというか……腐った欲望のようなものが見えた。


「プリムが嫌がるのもわかるかもな……」

「貴様!! 侵入者か!?」


 守衛が笛を吹く。

 すると、大勢の守衛が集まってきた。

 さらに、貴族たちも集まってきた。


「侵入者か。ふふ、どれくらいで死ぬか、賭けますか?」

「おお、いいですな。では私は三分に金貨千枚」

「はっはっは、では私は二分に金貨……五千!!」

「おお、張りますなぁ」


 全員、緊張感がない。

 ああ───馬鹿にされてるな。


「死ね、ガキ」


 屈強そうな、ぴっちりした礼服を着た男が俺に殴りかかってきた。

 俺はその拳を躱すことなく、そっと手をあてがう。


「流の型『極』、『螺旋巡』」

「!?」


 殴りかかる力が、全て守衛に還る。

 滅茶苦茶に右腕が破壊され、守衛は血反吐を吐いて吹っ飛ぶ。

 テーブルにブチ当たり、男は血の泡を吹いて痙攣していた。

 俺はポケットから金貨を一枚取り出し、地面に投げる。


「俺も賭ける。俺がここにいる連中を全員ブチのめすのに、金貨一枚」


 うん。もう遠慮しない……大暴れしてやろう。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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