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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十二章・白き愛の国ホワイトパール

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特級冒険者序列5位『血溜組組長』ゼンジュウロウ・チダマリ

 ホワイトパール王国から、西に約二百キロ。

 そこに、町でもないし村でもないし要塞でもない、巨大な建築物があった。

 一言で表すなら、木造の神殿。

 宝石細工で有名なホワイトパール領土には合わない建築物だった。

 そこに出入りする人間もまた、普通の人間ではない。

 

「親父!! 親父はいるか!!」


 建築物の『門』の前で、スキンヘッドの男が叫んでいた。

 門番が槍を突き付け黙らせる。


「静かにしねぇか。みっともねぇ……大の男がピィピィわめくんじゃねぇよ」

「それどころじゃねぇんだよ!! 仲間が何人かやられた……話をしねぇと!!」

「ッチ……待ってろ、親父に連絡する」


 門番が呟くと、若い少年が現れた。

 その少年に耳打ちすると、少年は走り出す。

 それから数分。少年が戻ってきて門番に言う。


「親父が会うそうです。中へ!」

「おう! 聞いたな? 親父んとこ行けや」

「ああ! ありがとよ!」


 スキンヘッドの男は、門が開くと駆け出した。

 そのまま走り、神殿の中へ。

 神殿の中は迷路のようになっていたが、スキンヘッドの男は迷わず進む。

 そして、神殿の一番奥にある『襖』という引き戸を開き───。


「親父!! 仲間ぁやられた!! 助けてくれ!!」


 そう叫んだ。

 すると───座布団を枕にして寝転がっていた男が、のっそり起き上がる。


「やられたぁ?……ほぉ、ワシの息子をヤッたんは誰じゃ?」

「例の『特異種』の集団だ!! 天使様の命令で追ってた……」

「ああ、王女なぁ……そいつにやられたんか?」

「違う。王女じゃなくて、王女を守ってる連中だ。どうやら、親父と同じ特級冒険者がいるみてぇで」

「……ほぉ」


 男は、座布団に座る。

 独特な雰囲気を持つ男だった。

 着ているのは、着物という民族衣装。だが、ファイアパターンが刻まれた独特なデザインだ。髪は真っ赤……いや、真紅に染まり、ツンツンと尖っている。

 男の傍には『刀』という、斬るのに特化した剣が置いてあり、男はその剣を掴んでドカッと立てる。

 男の歳は三十代前半ほどだろうか。全身が鍛え抜かれ、圧倒的な存在感を誇っていた。


「おい」

「へ、へい」

「命令は、捕獲だったな?」

「そ、そう聞いてやす」

「命令変更じゃ。捕獲改め……半殺しじゃ!!」

「へ、へい!!」

「それと、兵隊も追加じゃ。特異種の連中も連れてけ……あと、ワシも出る」

「お、親父も!?」

「おうよ。たまには運動せんとなぁ……それに、特級冒険者か? そいつは、ワシじゃねぇと相手できねぇだろう」

「お、おお……親父が戦うなんて!!」

「わかったらさっさと行け!!」

「へい!!」


 特級冒険者序列五位。『血溜組組長』ゼンジュウロウ・チダマリは、首をコキコキ鳴らす。


「ワシの息子たちを傷付けた報い。受けてもらおうかのぉ……」


 ◇◇◇◇◇◇


 ホワイトパール王国外れにある神殿。

 ここは、冒険者最大の組織である『血溜組』の総本山。

 構成員が二十五万八千人、内特異種が五千人、第一階梯天使クラスの戦闘員が一万人在籍する、国家レベルの武力を持つ戦闘集団だ。

 その頂点に立つのが、特級冒険者序列五位、ゼンジュウロウ・チダマリ。

 

 ハイシャオ、ハクレン、ヴァジュリの依頼を受け、プリムたちを捜索していた。

 なぜ、捜索に加わったのか?

 それは簡単……金である。

 血溜組は、ホワイトパール王国の国庫並みの大金を受け取り、ハイシャオたちの命令を聞いたのである。


 世の中は、金で動く。

 天使ですら金で動くのだ。冒険者として金をもらった以上、依頼は受けなくてはならない。

 どんな理不尽な依頼だろうと、金をもらった時点でやる。

 汚れ仕事だろうと、くだらない依頼だろうと、たとえ物乞いや乞食の依頼だろうと、金さえ払えばどんな依頼も受ける。

 それが『血溜組』が掲げる、冒険者としての心だ。


 だからこそ、『血溜組』は動く。

 国庫並みの大金を受け取った以上、たとえ天使を敵に回しても依頼を達成する。

 相手が、ただの少女でも。


 そして敵が……地獄炎の魔王を体内に宿す、特異種より、天使よりも危険な存在だろうと。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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