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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十二章・白き愛の国ホワイトパール

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プリムたちを探せ

 第七王女プリマヴェーラが生きていた。

 ホワイトパール王国に入国したのを確認。貴族街の屋敷に入ったのを最後に消息不明。

 国王ウィンダーが追手を差し向けたが撃退された。

 現在、捜索中。

 捜査は極秘。なので、貧民街から子供を連れてきて捜索させろ。


「こ、これが、オレたちの受けた指令ですぅ……」

「誰から受けた?」

「し、知らねぇ。国王の使いとかいう、黒いフード被った連中だ」

「…………」


 俺は賊の男から手を離し、折れた片足だけ第四地獄炎で治療してやった。


「その黒いフードの連中は?」

「し、知らねぇんだ! 見つけたらこっちで回収するってしか」

「そっかー……まぁ、いいや。片足だけ治してやったから、さっさと失せろ。あと、次にここに入ってきたら……死の呪い食らわせるぜ」

「「「「「ひっ……」」」」」


 俺は右手に黒い炎を灯し、怖い笑みを浮かべた。

 賊たちは、身体を引きずるようにして逃げていった。

 カグヤとミカエルが言う。


「とりあえず、その黒いフードの連中を追えばいいのかしら?」

「それとも、プリムたちを探す?」

「んー……国王がプリムたちを探してるって言うし、王城乗り込んで王様締め上げるってのもありだな」

「あ、それいいわね。でも、王様にそんなことしたら、一生追われるわよ」

「そんときゃ、ミカちゃんが天使の翼ぶわーっと広げて「争いはやめて……」って言えば」

「あたしがそんなことするわけないでしょ」

「あ、あの……」


 と、ここでガッシュと子供たちが出てきた。

 俺たちは、安心させるように言う。


「とりあえず、飯にしようぜ。肉がいい感じに煮えてる」

「あ、ああ! よし、みんなご飯の時間だぞ! 今日は肉がいっぱいある! 好きなだけおかわりしていいからな!」


 ガッシュの叫びに、子供たちは大喜びだった。


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日。

 俺たちは、貧民街の入口で別れの挨拶をしていた。


「いい? 修行は毎日欠かさず行うこと!」

「はい!」


 カグヤは、足技を教えた子供の頭を撫でている。

 アブディエルはどうでもいいのか、ぼんやりと立っていた。

 そして、ミカエルは魔法の才能を引き出された子供たちに言う。


「魔法は、いい力にも悪い力にもなる。それをしっかり考えて使いなさい」

「「「はい!」」」

「力に溺れたら……その時は、あたしが断罪する」

「「「は、はい……」」」


 ミカエル、子供にそんなこと言うなよ。

 そして、俺の前には小さな子供だ。


「あの……習ったこと、忘れません!」

「ああ。しっかり鍛えろよ」

「はい!」


 ちっこいな……ニーアと同じくらいの子供か。

 俺は子供の頭を撫で、ミカエルたちに言う。


「じゃ、ホワイトパール王国行ってプリムたちを探すか」

「ええ。戦いの予感がするわ!」

「天使の気配もする……アブディエル」

「わかってる。探知魔法を使うわ」


 俺たちは、ホワイトパール王国に向けて出発した。


 ◇◇◇◇◇◇


 ホワイトパール王国近くの森に向かった俺たち。

 なぜ森なのかと言うと。


「探知魔法。隠蔽はするけど、ミカエルくらい強い天使には察知される可能性があるの」

「そうなのか?」

「うん。とはいっても、ほんのわずかな違和感程度だけどね」


 アブディエルは、どこからか杖を取り出す。

 

「わぁ、キラキラした杖ねぇ」

「これは亜神器。『魔法の杖(ニルヴァーナ)』よ」

「あじんぎ……」


 カグヤは首を傾げると、ミカエルが真っ赤な剣を取り出す。


「天使が持つ神の武器よ。階梯天使が持つ神器はサンダルフォンとメタトロンが作った紛い物だけど、これは正真正銘、あの神様が作った武器」

「俺の魔神器みたいなもんか」

「そうね」


 ミカエルは剣をしまう。

 アブディエルはミカエルの話なんてどうでもいいのか、杖に光を灯す。


「『探知魔法サーチサークル』」


 光がふわりと広がった……え、これで終わり?

 アブディエルは目を閉じたまま動かないし、俺とカグヤは顔を見合わせて「?」と首を傾げる。ミカエルは腕組みをしてアブディエルへ。


「どう?」

「…………反応、ありね」

「天使?」

「ええ。一人いる……それとこの反応、天使じゃない……ああ」


 アブディエルは、俺を見て言う。


「呪術師ね。数は二人」

「……先生たちか?」

「そこまではわからない。でも、感じる……あなたと同じ、呪術師のオーラ」

「…………」


 もし、先生たちの誰かなら……ここで倒す。

 俺は、ミカエルたちに言っておく。


「前にも言ったけど……」

「はいはい。邪魔しませんから」

「ええ。というか、あたしたちじゃ呪術師には勝てない」


 カグヤとミカエルは頷いた。

 とにかく、これでホワイトパール王国に天使と呪術師がいるのは確定。

 プリムたちを探しつつ、そいつらを───……。


「───……っ! なんだ、この感じ」

「……なに、これ!? 何か来る!!」

「ミカエル、カグヤ!!」


 俺はアブディエルを押し倒し、カグヤとミカエルは同時に伏せた。

 すると───……俺たちの立っていた場所を、巨大な何かが通り過ぎていく。さらに、それは木々を薙ぎ倒しながらどこかへ消えた。


「な、なんだ……?」

「まさか、これ……」


 驚く俺たち。

 すると……薙ぎ倒された木々の上に、誰かが着地した。


「あーあ。会いたくなかったぜ」


 そいつは、巨大な石斧を担いでいた。

 どこか、苦笑していた。

 安っぽい鎧に、ボサボサの髪、無精ひげの男だ。


「よ、フレア」

「ダニエル……」

「わりーな。こうはなりたくなかったけどよ……やるしかねーみたいだ」

「……そっか」


 と───ここで俺は気付いた。

 両手に、とても柔らかな物があった。


「~~~~~~っ!!」

「ん、あ」


 俺は、アブディエルを押し倒し……その柔らかな胸を両手で揉んでいた。

 アブディエルは赤面し、俺の手をはねのける。


「へ、変態!!」

「おっぶ!?」


 バッチィィィンと頬を張られた俺は、情けなく転がった。


「おい!? けっこうシリアスな登場だったのに台無しじゃねーか!? ああもう!!」


 ダニエルの叫びが、どこか虚しく空に響いた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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