フレア・カグヤ・ミカエル③/もう少しで
「もぐもぐ……ん、うまいな」
「ホントね。魚の塩焼きうまぁ~」
「もぐもぐ……ねぇ、のんびり進んでるけど、大丈夫なの?」
「…………」
俺たち四人は、のんびりホワイトパール王国へ向かっていた。
街道を進んでいると川を発見。大量の魚が流れに逆らって泳いでいたので捕まえ、昼食として食べていた。川魚の塩焼きすげぇ美味い。
ミカエルは、三匹目の魚(ユアっていう魚らしい)を完食。四匹目に手を伸ばす。
「天使の襲撃はまだないけど……ラティエルが探知してるならすぐに見つかっちゃうかも」
「襲って来たら返り討ちでしょ。ね、フレア」
「ああ。んっぐ……ぶっちゃけ、どんな天使が来ても怖くないぞ」
「……ま、あたしがいる時点で、天使側の勝利はほとんどないわね。それに、これもあるし」
ミカエルは、胸の谷間から透き通った玉を出した。
すると、俺の右腕が燃え上がり『火乃加具土命Spec2』が現れる。おかげで、右手で持っていた魚の塩焼きが一瞬で燃え尽きた。
「あぁぁぁ!? おま、いきなり出てくんなよ!?」
『うっせぇな……それより、そこの天使』
「じ、地獄炎の、魔王……声を聞くのは初めてかも」
ミカエルは魚を食べる手を止め、俺の右手を見た。
『その力、トリウィアのモンだろ? 相棒と違ってお前ら天使は純粋な神の力に耐えられる器じゃねぇ。過剰な力の底上げは大きな負担……ああ、まどろっこしいな。端的に言うと寿命を縮めるぞ』
「…………」
ミカエルは黙り込む。
『戦うのは相棒に任せて、おめーらはサポートを務めな。原初の炎を宿した相棒なら、アメン・ラーたちをブチのめせる』
「「「…………」」」
「あむっ……なぁ焼き鳥、力は借りるけど、戦いに関しては俺らが決める。余計なこと言うなよ」
『あぁん?』
「ミカエルもカグヤも、ここまで命賭けて敵と戦ってきたんだ。今さら死ぬのにビビったりしないって。な? あ、アブディエルは別だけど」
カグヤとミカエルは「ふん」と鼻を鳴らる。こいつらマジでそっくりだな。
アブディエルは、もくもく魚を食べるだけで返事すらしない。
「当然。アタシはやるわよ」
「あたしもよ」
「……どうでもいいし」
『……野暮だったな。それならいい』
すると、『火乃加具土命Spec2』は消えた。
今度は燃えないように左手で魚を持ってたから安心だ。
「悪いな。こいつ、けっこう心配性でさ」
「いいわ。でも……まさか、地獄炎の魔王に心配されちゃうなんてね」
ミカエルはクスっと笑う。
でも、念のため俺は言う。
「でも、火乃加具土命の言うこともわかる。ミカエル、カグヤ、ついでにアブディエル。俺はお前たちに死んでほしくない。本当にヤバかったら、戦うことより生きることを考えろよ」
「「「…………」」」
「へへ。神を倒しても、俺たちの冒険はまだまだ続くしな」
俺は、最後の魚を掴み、頭からバリバリ食べた。
◇◇◇◇◇◇
焚火の残骸を片付け、再びのんびりと街道を歩いていた。
すると、後ろから数名の冒険者たちが歩いてきた。さらに、前から、両側から冒険者たちが現れ、ゆっくりと近づいてくる。
なんとなく嫌な予感。
「なぁ、お前たち……冒険者?」
と、前から来た冒険者の一人が声をかけてきた。
「そうだけど。で、なんか用か?」
「いやぁ……その、等級は?」
「一等、だっけ?」
「そーよ。アタシもすっかり忘れてたわ」
「一等か……」
目の前の男は、手を差し出してきた。
「悪い。その……金、貸してくれないか?」
「「「は?」」」
「お前ら、他領土からきた冒険者だろ? 知らないなら教えてやる……ホワイトパール王国は財政難でよ、ギルドに依頼される仕事をいくつ掛け持ちしても、大した稼ぎにならねぇんだ……」
「財政難……おいおい、ホワイトパール王国って栄えてるんじゃねーの?」
「そりゃ貴族たちやホワイトパール王国の一般市民層だけだ……貧困層は、明日食う物もろくにない」
よく見ると、俺たちを囲んでいる冒険者は、ボロッちい胸当てに鉄板を削って作ったような、剣ともいえない剣しか持っていない。
歳もかなり若いし、みんなやつれていた。
「頼む!! 金を貸してくれ……その代わり、何でもする!!」
「うぅーん……」
参ったな。
悪意ある連中だったらブチのめして終わりだ。でも、ここにいる連中は物乞いと変わらない。精一杯の装備を作って、物乞いするために街道に出てきたんだ。装備は護身用かな……この辺、魔獣も出るし。
すると、カグヤが言う。
「気に入らないわね。子供を引っ張り出して、みすぼらしい姿見せて、同情を誘うつもり?」
「ちがう!」「おれたちは自分の意志できた!」「そうだそうだ!」
と、子供たちが反発。
困ったな。マジでどうしよう。
「あんたたち、どこに住んでるの?」
と、ミカエルが目の前の青年に言う。
青年は、少し悩んだようだが、答えた。
「ホワイトパール王国郊外。『貧民街』だ……」
「貧民街ね。じゃ、そこにいくわよ。フレア、途中で狩りをするわよ。獲物、探せる?」
「ああ。気配を探れば」
「カグヤ、あんたも手伝いなさい」
「命令すんな。って言いたいけど、戦えるなら別にいいわ」
「そういうこと。じゃあ、案内しなさい」
「あ、ああ……」
それと、あんたの名前は?」
「お、オレか? ガッシュだけど……」
「ガッシュね。じゃ、行くわよガッシュ」
ミカエルはスタスタ歩きだす。
俺はガッシュの肩を叩く。
「金やるより、うまい肉腹いっぱい食ったほうがいいだろ? 行こうぜ」
「……あ、ああ」
こうして、俺たちはホワイトパール王国の貧民街へ向かった。
ちょっとだけ寄り道……プリムたち、大丈夫だよな。




