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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十一章・暁の呪術師

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ホワイトパール王国へ向かって

「ホワイトパール王国へ~♪」


 俺、カグヤ、ミカエル。そして新しくアブディエルを加えた四人は、ホワイトパール王国への道をのんびり歩いていた。

 不思議と、プリムたちに危害が加えられる気がしなかった。なので、余裕な感じで歩いている。

 先頭は俺。その後ろにアブディエル。その後ろにカグヤとミカエルという並びだ。なんとなく気配でわかる……ミカエル、カグヤがアブディエルを警戒していた。

 俺は、アブディエルを真正面から見る。


「……何?」

「いやお前、もうちょい明るく行こうぜ。ミカエルとカグヤが警戒してんだよ。お前、もうちょいこう、明るくパーッとした感じでさ」

「嫌よ……そんなの意味ないし」

「あるって。ほらほら」

「ちょ、やめ……」


 俺はアブディエルに手を伸ばす。頭の帽子をクルクル回したり、ほっぺを引っ張った。


「ほれほれほれ、笑え笑えー」

「ちょ、あうっ、ふぁぁはははははぅ!?」


 脇をくすぐったり、背中に指を這わせたりする。

 アブディエルはケラケラ笑い、涙目に……すると、いきなり頭に衝撃がきた。


「あぶっ!? な、なにすんだ!?」

「……アンタ、調子乗りすぎ」

「……そうよ。余計な真似すんな」

「え、いや、あの」

「「…………」」

「わ、悪かったです。はい」

「はぁ、はぁ……た、助かったぁ」


 アブディエルは俺から離れ、息を整えていた。

 それから、アブディエルはミカエルとカグヤの間に入って歩きだした……なんというか、俺を警戒してるっぽい。ミカエルとカグヤもアブディエルを守ってるみたいだし。

 こうして、三人の冷たい視線を背中に浴びながら、俺が先頭でホワイトパール王国への道を歩いていた。


 ◇◇◇◇◇◇


 その日の夜。

 適当な森で野営することにした。

 食事はパンに焼いた干し肉と水で戻した乾燥野菜を挟んだ、シンプルなサンドイッチ。

 明日にはホワイトパール王国へ到着するし、簡単に済ませた。

 そして、四人で焚火を囲む。


「プリムたち、いるかなー」

「たぶんだけど、アタシはいるって思う」

「そんなことより、プリムは天使たちに攫われたのよ? 戦いになる可能性大ね」


 ミカエルがきりっとした表情で言う。

 すると、アブディエルが挙手した。


「それなら……ホワイトパール王国付近で、私が探知魔法を使う。隠蔽魔法と探知魔法を融合させた『捜索魔法』なら、天使に気付かれずに位置を探れる」

「おお、お前そんなことできるのか」

「私、魔法の腕だけなら天使最高だから」


 特に誇るでもなくいうアブディエル。

 こいつ、魔法を開発した張本人だもんな。目的はともかく、仲間としては頼れる。

 カグヤは、水のボトルを一気に飲み干す。


「とりあえず、天使が来たらボコね」

「待って。理由なく喧嘩売るのはよくない。ダニエルかラティエルだったら説得してみましょ」

「えー?……まぁ、いいけど」

「アブディエル。あんた、戦いたくない天使とかいる?」

「…………ジブリールとガブリエル。あの二人は私に優しかった……」


 ミカエルの問いに、アブディエルは俯きながら答えた。

 それからしばし無言。

 そして、ミカエルが言う。


「とにかく……向かってくるなら潰す。フレア、呪術師はあんたが相手して。あたしらだと呪われて動けなくなるかもしれないし」

「わかった。えーと……セキドウ、フウゲツ、ジョカ、ヒョウカは倒したから……あと三人だ。えっと、オグロにハクレン、ハイシャオだったかな。あと先生たち入れて七人か」


 タック先生、ラルゴおじさん、ヴァジュリ姉ちゃん、マンドラ婆ちゃん……たぶん、四人との戦いは未だかつてない戦いになるはず。

 今の俺には零式創世炎がある。きっと倒せるはず。

 さらに、ミカエルは付け加える。


「天使側も、そこそこ倒したわね。サリエルにキトリエルにドビエルでしょ、ラーファルエルにサンダルフォンにメタトロン。それと……ロシエル」

「聖天使教会十二名、堕天使八名、黒天使七名。合計二十七名。残りは十八名」

「待って。ラティエルとダニエルは抜いて。あと……ズリエル、コクマエルもかな。ズリエルはたぶん一人で聖天使教会の雑務やってるだろうし、そのうち過労死するでしょ。コクマエルは戦闘能力ないし」

「じゃあ合計十四名ね。多いわねー……まぁ、楽しめそうだからいいけど」


 カグヤは拳をパシッと合わせた。ってか天使って過労死するのか?

 天使は残り十四。呪術師は先生たち入れて七人か。

 こいつら全員倒せば、残りは神様三人だけか。


「全部終わったらどうすっかな……」

「そんなの決まってる。冒険でしょ!」


 カグヤが拳をグッと突き出す。


「あのねフレア。いろんな場所を冒険したけど、まだまだやってないこと山ほどあるんだからね! 例えば、パープルアメジスト王国にいるゾディアックゴーレムとか」

「あ!! そういやそんなのいたな」

「ブルーサファイア王国だって冒険してないし!」

「確かに!」

「それにダンジョン!」

「うおお……なんだよ、まだまだ冒険したりねぇじゃん!!」

「ふふん。これで決まりね。神とか天使とかのいざこざ終わったら、また冒険するわよ!」

「おう! なんだカグヤ、お前すげぇじゃん!」

「当然!」


 うむむ、急に冒険したくなってきた。

 アブディエルは興味なさそうにそっぽ向き、ミカエルはため息を吐く。


「……私はどうでもいい」

「あたしはまぁ……その、ついて行くけどね」


 この日。俺たちは夜遅くまで冒険の話をして盛り上がった。


 ◇◇◇◇◇◇


 わかっていた。

 でも、目の前に来たら、心が揺れてしまった。

 

「…………」


 ホワイトパール王国へ続く街道。

 もうすぐで到着する。そんなところで……出会ってしまった。

 いや、待っていた。


「ひっひっひ……久しいねぇ、フレア」

「……マンドラ婆ちゃん」


 呪術師の一人、マンドラ婆ちゃん。

 大きな水晶玉の上に座布団を敷き、その上に座っている。

 第七地獄炎を操る、呪術師の村で最強の一人。

 俺が知っているのは、マンドラ婆ちゃんが『占い師』ということだけ。

 そして、先生の飲み友達……そんな人だ。


「フレア。そろそろ……大人しくしてもらうぞえ」

「……それは無理だよ。だって俺、やることあるから」

「そうかい……なら、仕方ないねぇ」


 マンドラ婆ちゃんの周囲に、紫色の炎が燃えあがる。

 第七地獄炎。今ならわかる……マンドラ婆ちゃんは、先生に匹敵する強さを持つ。

 俺は、ミカエルたちを睨むように見た。


「絶対に手を出すな。下がってろ」

「「「…………」」」


 三人は、無言で下がった。

 俺は、首をコキっと鳴らし、前に出て構えを取る。


「呪闘流甲種第三級呪術師ヴァルフレア。マンドラ婆ちゃん……あんたを解放する」

「呪闘流幻種皆伝『予言者』マンドラ・カララ・ベロ・ジャノベ。フレア、お尻ぺんぺんの時間だよ」


 こうして、俺とマンドラ婆ちゃんの戦いが始まった。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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