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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十一章・暁の呪術師

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BOSS・裏切りの八堕天使『力』のエゼキエル

「神風流、『流星杭』!!」

「ぐっ!?」


 カグヤの飛び蹴りが、エゼキエルの防御に直撃する。

 両腕を交差させた十字受け。それだけで岩をも砕くカグヤの蹴りを防ぐこと自体不可能だ。だが、エゼキエルの両腕が青白く発光し、なんとか防御できた。

 エゼキエルは、流星杭の着地の瞬間を狙って蹴りを放つ。


「だらぁっっしゃ!!」

「っぐ!? この……ッ!!」


 着地の瞬間。それが弱点となることはカグヤにはわかっている。だからこそ、着地の瞬間を最も警戒していたのだが、エゼキエルの蹴りは鋭く、身体を捻ってようやく回避できた。

 互いに距離を開け、肩で息をしながら構えを取る。


「あんた、人間のくせにやるね……あたしの『闘気(オーラ)』を貫通しかける蹴りなんて、人間でここまでの強さ、数百年ぶりかも……!!」

「アンタこそ……そのオーラとかいうの、なに?」

「これ、あたしの天使としての力。元聖天使教会十二使徒『力』のエゼキエルとはあたしのことよ」

「ふーん……十二使徒」

「元、ね。今は裏切って堕天使だけど」

「裏切って、って……なんで?」

「決まってる。聖天使教会じゃ私闘禁止だから。強いやつと戦いたいのに、アルデバロンの奴はそれを許してくれない。だからガブリエルの誘いに乗って聖天使教会辞めたのよ」

「わお……アタシ、アンタみたいな奴けっこう好きかも」

「やっぱり。あんたも?」


 エゼキエル。

 カグヤは、なんとなく嫌いになれなかった。

 足を合わせてわかった。この力は、鍛錬に鍛錬を積んだ者の技であると。


「あんたのこと、嫌いじゃない。でも……あたしは呪術師ヴァルフレアと戦う。だから、あんたを倒す」

「そ……でも、それは無理。アイツを倒すのはアタシよ」

「「…………」」


 互いに構え、ニヤリと笑う。

 すると、エゼキエルの背から灰色の翼が開いた。


「改めて名乗る。あたしは『裏切りの八堕天使(ブリューゲル・エイト)』所属『力』のエゼキエル。あんたを強者と認め、最大の奥義を放つ」


 カグヤも、右足、左足を交互に掲げて構えを取る。


「神風流皆伝七代目『銀狼』カグヤ。エゼキエル、アンタに敬意を表し……アタシも全力を」


 カグヤ、エゼキエルの間に、緊張が走る。

 エゼキエルの全身が『闘気(オーラ)』に包まれ、両拳に灰色の籠手が装備された。


破神器(はじんぎ)───『オーラ・ブレイカー』」


 壊れた神器。

 神と天使を裏切ったことで変異した神器。堕天使の持つ力の象徴だ。

 装備すると同時に、エゼキエルのオーラが跳ねあがった。

 そして、エゼキエルは翼を広げ跳躍。莫大なオーラが拳の形となり、そのままカグヤに向かって振り下ろされた。


「『力の堕天使(エゼキエル)闘魂爆拳(オーラインパクト)』!!


 オーラの拳。

 単純な力が、カグヤを押しつぶそうと振り下ろされる。

 カグヤは、右足を掲げ───深呼吸。


「この技は───……対アイツ(・・・)用に生み出した奥義」


 神風流は、足技。

 その足技をベースに、特異種の力を加えた裏神風流を作りだした。

 対フレア用。

 ずっと考えていた。フレアに対抗するには、格闘技はもちろん、呪術に地獄炎も考慮しなければならない。なら……どんな呪力も通さない、地獄炎でも焼き尽くせないとしたら?

 カグヤは、左足で立ち、右足をオーラの拳に向かって全力で突き出した。


「裏神風流『地獄』奥義!! 『銀牙咬合(ぎんがこうごう)紅蓮咀嚼(ぐれんそしゃく)』!!


 カグヤの『神風零式・甲脚』の右足が、巨大な狼の咢に変形。そのままオーラの拳を咥え、ガチガチと咀嚼した。


「喰らい尽くせぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッ!!」

「やってみろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」


 カグヤの足が咀嚼するか、エゼキエルのオーラが足を砕くか。

 結果は───相打ち。


「っがぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 爆発。

 カグヤ、エゼキエルともに吹き飛ばされた。

 カグヤは数十メートル離れた大木に激突。血を吐いた。

 右足はグチャグチャに折れ曲がり、鎧も砕けていた。

 エゼキエルは反対側の森に突っ込み、木々を砕きながらようやく止まった。


「っが……あ」


 そして、細い枝が腹部を貫通……吐血した。

 急激な眠気が襲ってきた。

 死。エゼキエルは実感した。

 だが……満足もしていた。

 最後の最後に、こんな強い人間と戦うことができたのだ。

 呪術師ヴァルフレアとは戦えなかったけど、最後の相手がカグヤでよかったと、心から満足した。

 そのまま目を閉じ───襲ってくる睡魔に身を委ねる。


「こら、寝るな!!」

「え……」


 すると、目の前にカグヤがいた。

 カグヤは、上半身こそボロボロだが、下半身は傷一つない。

 『神脚』という能力は、『下半身に限りなんでもできる』だ。カグヤの両足はもちろん、装備した物もカグヤの『足』として認識されている。なので、装備が砕けても一瞬で回復する。

 カグヤは、すぐにエゼキエルの元に来ていた。


「このままじゃ死ぬわね。待ってて、アタシの仲間んとこ連れてってあげる。ちょっと痛いからね」

「う、っぎ!?」


 刺さった枝を根元からへし折り、エゼキエルを担ぐ。

 エゼキエルは、カグヤに聞いていた。


「な、んで……」

「助けるのか、って? そんなの決まってる。アンタが死んじゃうからよ」

「…………」

「それと、アンタは最初から戦いしか見ていない。アタシと似てるし……悪い奴には見えないの。あーもう今のなし!! ともかく、怪我の手当てするわよ!!」

「…………」


 エゼキエルは敗北を感じ……そのまま静かに目を閉じた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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