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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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取り戻した領土(3/4)

 四天王をなんとか撃破。

 さっそく、後始末の開始だ。

 今回は毒龍だけが敵みたいな感じだったので、龍人族を含む全ての種族を治療する。

 ついさっき倒れたプリムだったが、治療となると気合が入るのか、怪我人や毒に侵された病人を治療しまくった。

 クロネとナキも治療を受け、毒龍の野郎が残した荷物から、最後の四天王についての情報を探している。

 ついでに、少し毒をくらった俺も治療を受ける。

 

「なぁプリム、さっき何やったんだ?」

「えっと……わたしの中にある『神癒』の力を一気に高めて、体外に放出してみたんです。なんとなく、できるような気がしたのでやってみました」

「ほぉ……すげぇな」

「わたしもビックリです。わたし、毒が効かないみたいで……ガブリエル様からもらった力が、役に立ったみたいです!」

「うん。ありがとな、プリム」


 怪我と毒を治療してもらい、俺はカグヤを呼んだ。


「おーいカグヤ、お前も毒消しやってもらえよ」

「…………」

「カグヤ?」

「…………アンタ、さっきの」

「さっき?」


 カグヤはそっぽ向く。なぜか耳が赤い。

 首を傾げると、カグヤは言った。


「あ、アンタ……アタシに、口移ししたこと、あれ……な、なによ?」

「えっ」


 プリムが目を見開いた。

 俺は意味がわからず、首を傾げたまま言う。


「口移しって、ああ……さっきの。あれ、俺の体内にあった空気をお前にやっただけだぞ。大丈夫だったろ?」

「そういうんじゃない!! アンタ、アタシはあれ、初めてで……」

「???」

「っぐ……お、女に言わせんな!! もういい!!」

「……フレア、カグヤ、あとでその話聞かせて下さいね」


 なぜかプリムが恐かった……え、なにこれ、俺そんなに変なことしたのか?


 ◇◇◇◇◇◇


 怪我や病気の治療を終え、それぞれの種族が全員集まった。

 こうしてみるとけっこうな人数だ。

 すると、それぞれの種族の代表者が俺たちに頭を下げる。


「感謝している。こうして命を救ってもらったこと、忘れない」

「同じく、感謝しかない。異種族の友よ」

「ありがとう……これで家族の元へ帰れる」


 蛇族や蜘蛛族が頭を下げてきた。

 こういうの苦手なので、怪我や毒の治療をしたプリムに任せる。

 あっという間にプリムは囲まれ、お礼ラッシュを受け始めた。

 すると、俺の元に龍人族の集団が。


「ありがとう」

「え、ああうん。それよりお前ら、これからどうすんだ?」

「我らの国に帰り王に報告をする。お前たちのことは……」

「いいよ。どのみち、エルフの領土解放したら行くつもりだしな」

「……すまん。我らが王は、お前たちを許さないだろう」

「いいって。それに、龍人族の王様にはガツンと言いたいしな。こんなクソみたいな毒ホウキ頭を野放しにしやがって……」

「……お前たちに礼がしたい。何かあるか?」

「んー……じゃあ、最後の四天王について教えてよ」

「凱龍、花龍、毒龍は倒したのだな。最後は……『天龍エルドラド』様だ。天空を統べる空の龍……実力は四天王最強だ」

「お、いいね。で、どこにいる?」

「ドラゴンキングダムの近くにある『浮遊石地帯』だ。そこにエルドラド様の治めるエルフ族の領地がある」

「ふゆうせき……ってなに?」

「その名の通り、岩が空に浮いている。エルフの秘術とやらだが……詳細は不明だ。わかっているのは、その浮かぶ岩にエルフの神像が祀られているらしい」

「ほうほう。なるほど」

「この辺りでいいか?」

「うん。ありがとう。龍人族って下衆な連中かと思ったけど、お前たちみたいなのもいるんだな」

「……褒め言葉として受け取っておこう。ではな」


 龍人族の男性は去って行った。

 さて、次の行先は決まったな。


 ◇◇◇◇◇◇


 それぞれの種族を見送り、残ったのは俺たちだけになった。

 せっかくなので、今日はここで野営をすることにした。

 龍人族から食材をもらったので、今日は焼肉パーティーだ!

 夕飯は豪勢な焼肉。ワインなどももらい、四天王を三人撃破したお祝い気分だったので、けっこう盛り上がった。

 肉がなくなり、食後のお茶を飲み始めると、クロネが言う。


「さて、宴会も終わり。最後の四天王について話すにゃん」

「天龍とかいうのだろ? んで、浮遊石地帯に住んでるとか」

「……なんで知ってるにゃん」

「え、龍人族から教えてもらった」

「にゃにぃ!? うち、どうせ話してくれないと思って、毒龍の荷物漁りして調べたのに……にゃぅぅ」


 クロネが落ち込んだ。

 プリムがネコミミを揉むように撫でると、気持ちよさそうに蕩ける。


「やわっこいです……きもちいい」

「にゃぁぁ……って、さわんにゃ!! ああもう、じゃあ確認にゃん!! 明日目指すのは『浮遊石地帯』にいる『天龍エルドラド』のところにゃん!! 四天王最強の龍人で、そいつを倒せば全てのエルフ族の土地を奪還できる。そして、浮遊石地帯の先には、龍人族の王国ドラゴンキングダム……そこに、龍人族の王、『龍王ヴァルトアンデルス』がいるにゃん」

「そいつを倒して、エルフ族に手を出さないように言えば、このグリーンエメラルド領土も平和ってことか」


 俺がそう言うと、ナキはため息を吐いた。


「あのなぁ……ヴァルトアンデルスに勝つとか、普通の奴なら考えすらしないぞ。まぁ……お前らの強さを間近で見た今なら冗談とは思えねーけどよ」


 ナキは煙管を取り出し煙草を吸う。

 カグヤは、骨付き肉の骨をしゃぶりながら言う。


「王様かぁ……どんなのだろう」

「デカい。んで強い……」


 ナキは煙を吐きだす。


「とりあえず、死ぬな。エルフの領土を取り返すだけで十分すぎるくらいだぜ。正直、戦いを挑まなくても、全ての土地を奪還した流れで和平交渉に持って行けるかもしれねぇ……」

「え、アタシはヤダ。戦う」

「俺も俺も」

「言うと思ったぜ……」

「ナキ、こいつらに言っても無駄だ」


 アイシェラは、自分の隣に座るブルーパンサーを撫でる。

 プリムは、デザートのリンゴを食べながら言った。


「あの、王様を倒したら……グリーンエメラルドの冒険はおしまい、ですか?」

「いや、ダンジョンあるぞ。ふふふ、ダンジョンで冒険だ!」

「わぁ! 楽しみです」

「おい、その次だ。ここから近いのはホワイトパール王国……フレア、行くのか?」

 

 アイシェラは、俺をまっすぐ見た。

 俺もアイシェラを見返しながら応える。


「行きたい。ホワイトパール王国ってどんなとこかよく知らないしな。七つの領土を全部回ったけど、正直物足りない」

「…………」

「お嬢様……」

「いいの。わたしはもう王族じゃないしね」

「プリム、行ってもいいか?」

「はい。フレアの冒険ですから」


 プリムはにっこり笑う。

 なんとなく空気が重くなり……クロネが言った。


「とりあえず。今日はここまで。明日もあるし交代で休むにゃん」

「じゃ、最初の見張りは任せるぜ。フレア、オレとお前は先に寝るぞ」

「え? 最初でいいのか?」

「ああ。女の子ってのはな、夜はしっかり寝ないといけないんだよ」

「ふーん」


 よくわからないが、ナキが言うなら正しい……のか?

 俺とナキは、片付けを女性たちに任せてテントへ。

 寝袋に横になると、ナキが言う。


「なぁフレアよ。お前たちの冒険話、あとで聞かせてくれ」

「いいぞ。そういや、けっこうな大冒険してきたなぁ……」

「……冒険ね。なぁ、もしオレがお前たちの旅に同行したいって言ったらどうする?」

「歓迎する。お前と話してると面白いし」

「そりゃどうも。まぁ、考えさせてくれや」


 そう言って、ナキは大きな欠伸をして目を閉じた。  

 明日は最後の四天王と戦えるかな……そう思い、俺も目を閉じた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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