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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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BOSS・闘龍四天王『毒龍』ヴェノムスネーク①

 さて、蜘蛛族の村から徒歩で進む。

 プリムは、毒の森にも慣れたのか、周囲をキョロキョロしている。

 そして、木の幹でしゃがみ、何かを見ていた。


「なにしてんだ?」

「あの、この穴……蛇ですよね?」

「にゃん……ほんとだ」


 なんと、蛇の巣穴を見つけた。

 俺は右手のブレードを展開し、シャベル代わりに穴を掘る。

 そして、少し広くなった穴に手を突っ込み……よし、掴んだ。

 手を引き抜くと、全長一メートルくらいの蛇を掴んでいた。


「ほいっと……おお、いい長さだ。晩飯にするか、昼飯にするか」

「お昼にしましょう!」

「……蛇好きお嬢様にゃん」


 プリムのテンションが高い。

 さっそく頭を落とし、内蔵を抜いて皮を剥ぎ、串に刺す。

 下準備を終え、袋に入れた。


「あとは、俺とクロネの分か」

「うち、魚があるからいいにゃん」

「じゃ、俺のぶん……」

「フレア!! こっちにも毒蛇の巣穴が!!」


 プリム、いつの間にか別の木の幹にしゃがんでいた。

 そして毒蛇を捕獲……あっさり捕まえちゃったよ。

 

「よし。メシにしよう!!」

「はい!!」

「テンション高いにゃん。よっぽど蛇好きにゃん」


 蛇は相変わらず絶品だった。

 ついでに、クロネが予定を確認する。


「うちらが向かってるのは『毒の森』の中心部。そこにグリーンエメラルドの希少種族が捕らえられてるにゃん。ついでに、四天王の一人『毒龍』ヴェノムスネークも。目的は、毒龍を倒して希少種族を解放……で、いいにゃん?」

「ああ。今さらすぎるけどさ、龍人族って大したことないな」

「……あんたとカグヤが強すぎるだけにゃん」

「んー、そうかな」


 そう言うと、プリムが言う。


「フレア、油断しないでくださいね。わたしがいるからどんな怪我や病気をしても平気ですけど……やっぱり、無事な姿でいるのが一番ですから」

「わかってる。ありがとな、プリム」

「はい……」

「にゃん。ところで、カグヤたちと合流してから戦うのかにゃん?」

「そんな面倒なことするわけないじゃん。早いモン勝ちだ」

「……カグヤも同じ事考えてそうなのがすぐわかったにゃん」


 というわけで、俺たちはのんびり観光気分で『毒の森』中心部へ。


 ◇◇◇◇◇◇

 

「さーて。掃除も終わったし毒の森中心へ!」


 カグヤたちは、蛇族の村にいた龍人族を一掃した。

 そこそこ大きな龍人が何やら『オレはこの地を治める……』みたいなことを喋っていたが、カグヤの蹴り技で再起不能に。

 カグヤたちが脅すように睨むと、龍人族は『森の中心で待つ!』とわけのわからないことを言って逃げるように去って行った。

 シェザは、両親と抱き合いながらカグヤたちにお礼を言う。


「ありがとうございます!! まさか、人間やエルフが龍人族を倒せるなんて」

「楽勝。ってか、骨のないやつばっかりよ」

「おめーが強すぎんだよ……フレアといいお前といい、外の人間でこんなのがいたとは」


 ナキは煙草を吸いながら言う。

 ブルーパンサーを解除したアイシェラはシェザに言った。


「シェザ。我々はもう出発するが、大丈夫か?」

「え、もう行っちゃうんですか? まだお礼もしてないのに」

「いや。礼はありがたいが、先に進まねば。カグヤ、ナキ、お前たちもいいか?」

「アタシは戦いたいからいいわよ」

「オレも構わねぇ。早く大本を叩いた方がいい」

「というわけだ。礼なら不要、毒の森にいる四天王を倒し、森に平和を約束しよう」


 アイシェラは、シェザと握手。

 シェザは少し悲し気だったが、すぐに笑顔になった。


「わかりました。みなさん、ほんとうにありがとうございます!」

「ああ。ではな」

「じゃ、またねー」

「蛇族の長には適当に言っといてくれ。ああ、『戦士たちは近いうちに戻る』ってもな」


 こうして、アイシェラたちは蛇族の村を解放した。


 ◇◇◇◇◇◇


 真っ黒な葉っぱ、濃い紫の木、ドロドロしたピンクの沼。

 瘴気が立ち込めるこの一帯に、その男はいた。


「キシシシ……来たかぁ」


 その男は、蛇のように細長い身体をしていた。

 人間のような姿だが細い。身長は二メートル以上あるのに、体重は五十キロもなさそうに見えた。

 濃い群青の髪は箒のように逆立っており、目は蛇のようにギョロっとしている。

 上半身は裸で、下半身は蛇柄のズボンだけをはいていた。

 闘龍四天王の一人、『毒龍』ヴェノムスネークは嗤う。


「グレンデルを倒し、ロズワールを瞬殺した人間かぁ……キシシ、楽しみだねぇ」


 ヴェノムスネークは、長い爪をカチカチ鳴らす。

 そして、近くにいた部下に命じた。


「おい、人間が来たら『洗礼』を。それと、兵士たちに迎撃させろ……ああ、話は一切聞くな。姿が見えたら攻撃開始。んで、ここまでたどり着けたらオレが相手する。キシシ、まぁ無理だろうけどなぁ?」

「か、かしこまりました……」


 部下の龍人は顔色が悪い。

 同族ですら蝕む瘴気は、ヴェノムスネークから発していた。

 存在自体が『毒』の龍は、舌を出す。


「キシシ、侵された身体でどこまでヤレるか……見せてもらおうじゃないの」


 猛毒の瘴気が、ヴェノムスネークの口から吐きだされた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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