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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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蛇の村

 蛇族のシェザは、突如として村を襲った龍人族から、命からがら逃げてきたことをカグヤたちに説明した。どうやら、四天王が二人陥落したことは、思った以上に龍人族に影響を与えていた。

 ナキは煙管を吸い、煙を吐く。


「ふぅーーーーーー……っ、なるほどね。お嬢ちゃんの村が龍人族に」

「はい……蛇族の戦士はみんな連れて行かれて、村は龍人族に乗っ取られました。村のみんなは戦士たちの家族ばかりで……あたしの両親も」

「なるほど。つまり人質……いや、蛇質か」


 アイシェラが言うと、シェザは俯いてしまう。

 カグヤは大きな欠伸をしながら言う。


「くぁぁ~~~……じゃあさ、シェザの村行って龍人族ブチのめしましょうよ。そっちのが面白……じゃなくて、そうすればシェザの両親も龍人族に従う理由ないじゃん?」

「一瞬本音が漏れるあたりお前らしいな。でも、悪くねぇ……カグヤ、お前の強さなら龍人族相手でも問題ない」

「もち! ふふふ、ようやく楽しめそうね」

「ま、待ってください! だ、だめですよ……村を占拠している龍人族は、『毒龍ヴェノムスネーク』の側近の」

「あーあーあー、いい、言わなくていい。そんなことより、明日はアンタの村に行くから案内よろしくね」

「え……」

「こういう奴だ。まったく……ナキ、お前もいいんだな?」


 アイシェラが最終確認すると、ナキがニヤリと笑う。


「当然だ。言っとくが、オレは弱いわけじゃねぇ。今までは多勢に無勢だったから戦わなかっただけだ。その気になりゃ、龍人族の三人や四人、相手できる」

「頼もしいな。では……明日はシェザの村に行こう」

「え、えぇ……ほ、本気なの?」


 シェザはオロオロしていたが、結局疲れたのかぐっすり寝てしまった。

 その日、ナキとアイシェラは交代で見張りをしていた。

 カグヤは龍人族との戦いで筆頭戦力となる。今日は見張りをさせず、ゆっくり休ませることにした。

 

「やれやれ。カグヤの無鉄砲なところはフレアにそっくりだな」

「同感だ……ところで、聞いてもいいか?」

 

 ナキは煙草をふかし、アイシェラに質問する。

 なぜかニヤニヤしているような気がした。


「お前ら、男が一人、女が四人で旅してたんだろ?……何か面白いことはなかったのか?」

「……何を期待している」

「ま、長生き爺さんの暇つぶしさ。アイシェラ、お前はフレアのことどう思ってる?」

「無礼者で恥知らず、羞恥心の薄い男……」

「ひっでぇな……」

「というのは、昔の評価だ。今は違う……あいつは、どんな相手でも怯まない、強い男だ」

「ほぉ、惚れたのか?」

「私が愛しているのはお嬢様だけだ」

「……まぁ、お前みたいな奴は何人か見てきた。女好きの女、でもよ……そういう奴に限って、男に惚れたらどこまでも突っ走る」

「安心しろ、それはあり得ん」

「そうかい。じゃあ、プリムはどうだ? クロネ、カグヤは?」

「……お嬢様は間違いなく惹かれている。あいつの自由さはお嬢様の憧れそのものだ。それが愛情に変わり、恋に変わるのもそう遠くない。クロネは……自覚しているのかわからんが、撫でられると気持ちよさそうに鳴く。私やお嬢様ではああならん。カグヤは、フレアを認めている。仲間として、ライバルとしてな。もしかしたら、カグヤが一番フレアを気に入ってるかもしれんな」

「よーく見てることで」


 煙草を消し、煙管をしまう。

 なんとなく聞いてみたが、なかなか面白い話だった。


「ま、人の一生は短い……後悔しないような、燃えるような恋をするのをおススメするね」

「そうだな。少なくとも、お嬢様に後悔はしてほしくない」

「お前さんもな」

「……ナキ、そういうお前はどうなんだ?」

「あぁ。オレは二百年くらい前に結婚したんだ。今は離婚してるが、もう結婚生活はこりごりだね」

「……お前の話のが気になるぞ」


 結局、二人は徹夜で語り合っていた。


 ◇◇◇◇◇◇

 

 翌日。

 なぜか眠そうなアイシェラとナキを見たカグヤとシェザ。


「二人とも、たるんでるし」

「……何も言ぇねぇな」

「同感だ……」

「あの、大丈夫ですか? 村に案内しますけど……」


 シェザは不安そうだったが、カグヤがグッと拳を握る。


「ま、アタシがいれば問題なし。二人が昼寝している間に終わらせるから」

「「…………」」

「じゃ、じゃあ案内しますね」


 シェザは、馬車の前を這い出した。

 下半身が蛇なので歩く速度とは段違い。なめらかな動きで地面を這う。

 シェザには余裕があった。けっこうな速度なのに、まるで疲れがない。


「なるほど。蛇族の戦士は強そうだ」

「だな。這う音もほとんどしない……確か、蛇族は夜目も利くんだったな。夜襲や奇襲をさせたら強そうだぜ」


 戦闘訓練などしていない女の子でこれだ。戦士となればさらに違うのだろう。

 そんな戦士が、家族を人質に取られ連れて行かれた。

 もしかしたら、別ルートのフレアたちと戦うかもしれない。


「急がねば……お嬢様に危機が迫っているかもしれん!!」


 アイシェラは白黒号を急がせた。

 カグヤは、馬車の屋根でグースカ昼寝をしていた。

 そして数時間後……到着した。


「つ、つきました……ここが、わたしの村です」


 村から離れた場所に馬車を止めた。

 アイシェラは怪訝な顔をする。


「村……ど、どこだ?」

「よく見ろよ。あの穴倉だ。蛇族は洞窟に家を作って住んでるんだよ」

「なるほど……」


 確かに、大きな洞窟があった。

 カグヤは馬車から降り、その場で跳躍。屈伸をして背伸びする。


「さーて……運動の時間ね」


 カグヤがニヤリと笑う。

 ナキは少し困ったように、アイシェラはブルーパンサーを起動させた。


「チッ……狭い室内だとやりづらいぜ」

「ブルーパンサー、『実装』」

「『ウェアライズ』」


 ブルーパンサーが変形し、アイシェラと合体した。

 シェザが驚き、ナキが口笛を吹く。


「よし。作戦を「おーい!! 龍人族、これから喧嘩しに行くからねー!!」……おい、あいつは何やってるんだ」


 カグヤは、洞窟に向かって宣戦布告していた。

 アイシェラが頭を抱え、ナキは「は?」と口を開け、シェザが青ざめる。

 

「ななな、あああ、あの、カグヤさんは、なにををををを……!?」

「ああいうやつなんだ……全く。ナキ、来るぞ」

「……オレ、帰りたくなってきた」

「っしゃぁ!! 来たぁ!!」


 洞窟の奥から、いくつもの気配が集まってきた。

 アイシェラは馬車と白黒号とシェザを守り、ナキが援護、カグヤが前衛というポジションだ。

 カグヤは、洞窟に向かって駆け出した。


「何者「神風流、『流星杭』!!」ぶわっがぁ!?」


 洞窟から現れた龍人族の顔面に、カグヤの蹴りが直撃した。

 鼻血を噴き出し吹っ飛ぶ龍人族。そして、洞窟からワラワラと龍人族が現れた。

 その数、実に十人。カグヤはウキウキしながら足を構える。


「神風流皆伝七代目『銀狼』カグヤ。龍人族、アタシの足の錆にしてやる!!」


 戦いが始まり───……およそ十分で龍人族は全滅した。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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