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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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蜘蛛の村

 レイナの村を解放した。

 龍人族を全員ブチのめした後、全員を村の外に放り出した。

 けっこうな火傷をしていたが、全員動けるようになるとそそくさと退散。

 レイナは村に飛び込むと、両親と抱き合い泣き出した。そして、俺たちのことを説明してもらい、村に受け入れてもらう。

 プリムは、さっそく始めた。


「怪我や病気をされてる皆さんは、わたしの元へ! わたしが治します!」

『わんわん!』


 すると、何人かの蜘蛛族がプリムの元へ。

 やはり、龍人族に虐待されていたようだ。足が何本か無くなっていたり、下半身に大きなケガをしていたりと様々だ。

 プリムの傍にいると、レイナが来た。


「蜘蛛族は、足が何本か無くなっても動けるの。時間はかかるけど、生えてくるのよ」

「へぇ……」

「それより、お礼したいから家にきて。村長もいるから」

「お、いいね。実はお腹減ってさぁ」

「ふふ、もちろんご飯も用意してるよ。クロネはお魚好きだよね?」

「大好物にゃん!」


 と……プリムを置いていくのはな。まだ怪我人いっぱいいるし。


「わたしは後で行くので、シラヌイだけ置いてもらえれば」

『わぅん』

「わかった。じゃあ先に行ってるぞ」

「家はこっち! 早く早く!」


 カサカサと八本脚で移動するレイナは、なかなかの素早さだった。

  

 ◇◇◇◇◇◇


 蜘蛛族の家。

 ちょっと入口が大きいだけで、普通の家だった。

 中も広い。テーブルはあるけど椅子はないな……ああ、必要ないのか。

 キッチンからはいい匂い。そして、テーブルにはレイナとレイナの父親、そして老いた蜘蛛族の男性……村長かな?がいた。

 クロネと一緒にテーブルへ。


「ありがとうございます。あなたは蜘蛛族の恩人です」

「いやいや。龍人族はムカつくし、大したことしてないっすよ」


 村長が頭を下げた。

 レイナの父親とレイナも頭を下げる。

 すると、クロネが言った。


「うちら、この『毒の森』中央にいる『毒龍』もやっつけるつもりにゃん。何か情報ないかにゃん?」

「ど、毒龍を……? いや、あなたがたならもしくは……」


 村長は少し考えこみ、首を振る。


「申し訳ない。大した情報はありません……」

「なんでもいいにゃん。どんな些細なことでもいい。うちにとってはお宝にゃん」

「なーレイナ、この匂いなに?」

「ふふふ。ママの得意料理、毒魚の煮つけ! この辺りに泳ぐ魚はみんな毒を持ってるんだけど、蜘蛛族の薬草を使って煮込めば解毒できるの。解毒した毒魚は絶品なんだから!」

「うっひょぉ! すっげぇ楽しみ!」

「そこ、うるさいにゃん!…………毒魚」

「なんだ、気になってんじゃん。このネコミミめー」

「うにゃにゃにゃ!? み、耳を触るにゃ! ふっしゃー!」

「あ、あの……」


 村長が困惑していた。

 クロネは俺を小突き、咳払いをする。

 

「にゃほん。とにかく、なんでもいいから話すにゃん」

「わかりました。そうですねぇ……毒の森中央は、我々ですらあまり近づきません。あそこに向かうのは蜘蛛族の中でもさらに毒に詳しい者だけ。この村にも何人かいましたが……誰も戻ってきません。恐らく、龍人族に捕らえられたのかと」

「なるほど……あとは?」

「この辺りに住む種族は、我々蜘蛛族、そして蛇族、百足族、蛾族などです。それぞれが薬草の知識に深い種族ですな。そして、我々は互いに生産品を交換したりしています」

「生産品?」

「はい。我々蜘蛛族ですと『糸』ですな。蛇族は『皮』で、百足族は『毒針』、蛾族は『鱗粉』など、どれも生活には欠かせない物ばかりです」

「……にゃん」


 クロネは考えこむ。

 生活には欠かせない物なのか俺にはよくわからん。

 

「……もしかして、森の中央にはその種族たちが捕まっている?」

「恐らく……」

「ま、いいだろ別に。毒龍ブッ倒せばいいじゃん」

「あんたはいつも単純でいいにゃん……不測の事態ってのを想定しないと」

「ま、そういうのは任せる。俺はぶん殴るだけだ」

「はぁ……」


 と、ここでプリムとシラヌイが戻ってきた。


「こんにちはー……お邪魔しまーす」

「あ、いらっしゃい!」

「レイナ。あ……村長さんですか? あの、怪我人や病人は全て治療しましたので」

「なんと……本当に、ありがとうございます」

「いえいえ」

 

 と、ここでプリムの腹が豪快に鳴った。


「~~~~~~っ!!」

「あっはっは。でっかい腹の音だなぁ」

「ふ、フレアのバカ!!」

「え、俺のせい?」

「あはは。お母さん、そろそろご飯にしよう!! お父さん、おじいちゃんもいいよね?」

「ああ。もちろん……ネコミミのお方、話は食事の後で構いませんかの?」

「いいにゃん。それと、うちはクロネにゃん」

「わかりました。クロネニャンさん」

「…………クロネ、にゃん」


 こうして、夕食の時間は過ぎていく。


 ◇◇◇◇◇◇


 食事が終わり、その日はレイナの家に泊った。

 後日。宴会でもてなしたいというが拒否。さっさと毒龍倒したいって言ったら驚かれた。

 クロネは村長から話を聞き、情報をまとめていた。

 プリムはレイナの部屋で楽し気に話し、俺は父親から酒を勧められたので少しだけ飲む。

 その翌日。俺たちは村を出ることにした。


「うぅ……まだちゃんとお礼してないのに」

「気にすんなって」

「レイナ、また来ますね」

「約束だよ?」


 プリムとレイナは指きりをしていた。

 クロネは干した魚をもらい満足げで、俺は村長と握手する。


「どうかお気を付けて」

「うん。そっちも気を付けてな。なる早で終わらせるけど、また龍人族が来たら教えてくれ。森の中心に向かうからさ」

「はい。ありがとうございます」


 こうして、俺たちは蜘蛛の村を出て、森の中心へ向かうのだった。

 毒龍、さっさとぶちのめしてみんなを安心させてやろう。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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