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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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蜘蛛の森

 蜘蛛族のレイナと出会った翌日。

 朝食はシラヌイが捕まえたヘビ。この森って毒蛇めっちゃいるのな。

 皮を剥ぎ、串焼きにして四人で食べる。


「整理するにゃん。目的地はレイナの村で、そこを支配した龍人族を排除。その後は毒の森中心に行って、四天王の一人『毒龍ヴェノムスネーク』を倒す。にゃん?」

「それそれ。で、レイナ。村は近いのか?」

「えっと……ここから半日くらいのところ」

「もぐもぐ……けっこう近いですね。追手とかは大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だとおもう。わたし一人逃がしても、龍人族には何の影響もないから……」

「ははは。大丈夫じゃなかった結果を見せてやろうぜ」


 俺は蛇を完食し、シラヌイと一緒にストレッチをする。

 クロネたちもメシを終え、荷物を片付け立ちあがる。


「じゃ、レイナ。案内よろしく」

「うぅ……あの、本当に大丈夫なの? 人間二人と獣人一人で、あれだけの龍人族をどうにかするなんて……」

「大丈夫だって。お前は案内だけして隠れてろ。カグヤじゃないけど、俺が大暴れしてやる」

「カグヤ?……よ、よくわかんないけど、わかった」


 レイナは八本脚で歩きだす。

 下半身が蜘蛛……それぞれの足が器用に動き、藪や岩なんかを綺麗に躱して歩いている。

 俺は気になって聞いてみた。


「なぁレイナ。木登りとかできるのか?」

「できるよ。ってか木登りできない蜘蛛族はいないし」

「へぇ~……じゃあさ、家とかはどうしてるんだ? やっぱり糸……なぁ、糸ってどっから出すんだっぶぁ!?」

「フレアの変態!」

「デリカシーがないにゃん!」


 なぜかプリムとクロネにブッ叩かれた……レイナはなぜか照れてるし。

 頭を押さえる俺。どうやら質問はここまでだった。

 だが、レイナは言う。


「えっと……糸は、大人にならないと出せないの。わたし、まだ子供だから」

「そうなのか。ちょっと見てみたいなー」

「「フレア!!」」

「わ、わるかった……もう聴かないから」


 プリムとクロネに怒られ、糸の話題は終わった。

 たぶん、尻から糸は出るんだろうけど……どうも触れちゃいけないことみたい。


 ◇◇◇◇◇◇


 森の奥に進んでいくと、ちょっとずつ景色が変わっていった。

 まず、木々に蜘蛛の糸のようなものが引っかかっていた。


「おお、糸だ」

「触っちゃ駄目だよ。あれ、虫や小動物を捕まえるトラップだから」

「へぇ~……」

 

 よく見ると、あちこちに糸がある。

 プリムが引っかかりそうだったので、クロネが誘導していた。


「罠はいっぱいあるけど、龍人族には通用しなかったの……糸が絡まっても、力任せに引きちぎって……」

「龍人族、いっぱいいるのか?」

「うん。村に来たのは二十人くらい……村には五十人くらい大人の蜘蛛族がいるんだけど、みんな敵わなかったの……パパ、ママ」

「レイナ……大丈夫です。わたしたちがいますから!」


 プリムはグッと気合を入れ、蜘蛛の糸に足をひっかけずっこけた。

 そんなプリムに、レイナはくすっと笑う。ちょっとだけ元気が出たようだ。


「いたたた……うぅ、恥ずかしいです」

「プリム、大丈夫か? ははは、おっちょこちょいだなぁ」

「むぅぅ……」

「……二人とも静かにするにゃん。見えてきた」


 クロネが言うと、レイナは驚いていた。


「よくわかったね。村、すぐそこだよ」

「うち、眼がいいにゃん。そんなことより……いっぱいいるにゃん」

「龍人族か?」

「にゃん。入口に三人、村の中に十人以上……」

「わかった。じゃあ、後は任せろ。シラヌイ、みんなを守れ」

『わん!』


 俺は堂々と歩きだす。

 レイナが慌てて止めようとしたが、プリムとクロネに言われた。


「大丈夫。フレアにお任せです」

「あいつが負けるとこ、みたことないにゃん」

「えぇ!? でで、でも……」

「フレア、怪我したら戻ってきてくださいね」

「ああ。わかった……さぁて、やるか」


 俺は右手を軽くスナップさせ、シラヌイと一緒に蜘蛛族の村へ。

 周囲を見るとやっぱり緑が多い……炎は使いにくいな。

 まぁいい。ただ燃やすだけが炎じゃない。


「こんにちわー」


 俺は堂々と村に乗り込んだ。

 すると、案の定……村の入口にいた龍人族がギロリと睨む。


「なんだ貴様。こんなところに……人間か?」

「うん。ここ、蜘蛛族の村でしょ? ここを龍人族が支配してるっていうから、お前ら全員ブチのめして、蜘蛛族を解放することにしたんだ」

「「「…………は?」」」

「ってわけで、やろうぜ」


 俺は構え、右手に炎を纏わせる。

 燃やさないように最小限の規模で燃える拳。すると、龍人族の一人が笑った。


「ふぁっはっはっはっは!! 人間がたった一人で何ができる? ここは『毒龍』様の避暑地として使う予定だ。お前のような弱者が汚していい場所ではないわ!!」

「いや、ここは蜘蛛族の村だろ。汚してんのはお前らじゃん」

「ほざけ!! ここはヴェノムスネーク様の領地。蜘蛛族など奴隷にすぎん!!」

「もういいって。かかってこないならこっちから行くぞ」


 俺は拳を握り、龍人族の懐へ潜り込む。


「矮小な人間の拳など効かん。好きなだけ殴れ。殴った後、貴様は捕らえて──」

「滅の型、『轟乱打』!!」

「おぼぼぶふぇっ!?」


 炎を込めた拳が龍人族の腹に突き刺さり、肉を焼く。

 グレンデルの時から思ってた……龍人族って、焼けるとめっちゃいい匂いするんだよな。ゴクリ……っと、いやいや、さすがに喰わんぞ。

 腹を火傷した龍人族はそのまま蹲る。

 龍人族は再生力が強いけど、再生力は個人差があるらしい。四天王クラスは瞬時に回復が始まるが、重症レベルだと普通の龍人族は数時間かかるらしい。

 まぁ、数時間動けないなら十分だ。


「このガキ!!」

「流の型、『浸透打』!!」

「ごえっ!?」


 腹に掌底を当て、内臓を狙った衝撃突きを食らわせる。

 皮膚ではなく、内部を狙う技。『螺旋巡』の下位技だが十分だろう。

 残りの一人。背後に回り、背中を蹴って肩車状態に。そのまま頭に両手を当てた。


「流の型、『揺船』」

「おっ……~~~っ!?」


 ぐりんと世界が回り、龍人族は倒れた。

 三人を無力化した俺は、その三人を引きずって村の中へ。

 そして、三人を思いっきりぶん投げて叫んだ。


「たのもーう!! わっはっはー!! 龍人族はかかってきやがれーっ!!」


 豪快に叫ぶ。すると、わんさと集まってきた龍人族たち。

 蜘蛛族も奴隷としてすでに働いていた。外にいた全員が俺に注目する。

 

「レイナの両親いますか!! 俺、あいつに頼まれてきた!! レイナは無事だから安心してくれ!!」


 すると、動物の解体をしていた男女の蜘蛛族が顔を押さえて泣きだした。

 さらに、二十人近い龍人族が俺を包囲する。それを確認し、俺は構えを取った。


「呪闘流甲種第三級呪術師ヴァルフレア。呪いは効かないから……ぶん殴る!!」


 まずは、この村にいる龍人族をぶちのめしますか!!

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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