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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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BOSS・闘龍四天王『花龍』ロズワール

 俺は、馬車に向かってきた龍人を相手に戦っていた。

 花畑を燃やさないよう戦うには、炎を使わないのがベスト。全く、本当にめんどくさい土地だ。

 なので、素手で龍人と戦っていた。


「甲の型───『三撃打突』!!」


 龍人の懐に潜り込み、掌底の三連撃。

 一撃目は軽めに。二撃目で皮膚と筋肉を緩めるための一撃。そして三撃目は内臓に衝撃を伝える本気の掌底を食らわせる。すると、龍人はゲロを吐いて蹲る。

 何度か検証したが、龍人は打撃に強い。だが内臓は普通だ。

 あと、皮膚が強いので武器は通じない。回転式の弾丸も弾かれた。

 内臓に衝撃を与える技なら通じる……でも。


「流の型、『揺船(ゆらしぶね)』」

「おっご……おぉ?」


 龍人の頭部に衝撃を与え、脳震盪を起こし気絶させる。

 こういう技、俺の好みじゃないんだけどなー……まぁ仕方ない。

 とりあえず、向かってきた龍人は全員倒した。


「終わったか」

「ああ。そっちはどうだ?」

「問題ない。表皮は硬いが中身は普通だな」


 ブルーパンサーを装着したアイシェラの手がバチバチしていた。

 どうやら、電気攻撃で龍人の頭を狙ったらしい。アイシェラ、ブルーパンサーを装備してからホントに強くなったよな。

 クロネとナキは馬車の周りを固め、プリムは馬車の窓から村を見ていた。


「……カグヤ、どうしたんでしょうか」

「さーな。あいつの逆鱗に触れる何かがあったんだろ。とりあえず、俺が様子見てくるから、お前たちはここから動くなよ」


 そう言い、俺は村に向かって歩き出す。

 村の入口に到着。そして、先程のカグヤの一撃を思い出していた。


「……なんつう威力だよ」


 入口には、龍人の下半身だけ残されていた。

 老夫婦を殴っていた龍人のものだ。まさか、蹴りの威力だけで上半身が千切れて吹っ飛ぶとは思わなかった……俺の『破戒拳』と同等か、それ以上の威力。

 怒りが加わり、かなりの威力に引き上げられた蹴り。俺は冷や汗を流す。

 そして───……聞こえてきた。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!?」

「たす、たすけ……」

「ひぃぃぃっ!!」


 情けない声だった。

 それが、誇り高い龍人族が、十六歳の女に怯え逃げ惑う叫びとは。

 俺は村の中へ。すると……いた。


「神風流、『絶狼牙』」

「おげっ……」


 ジュパン!!と、龍人の首が綺麗に切断され、頭がゴロゴロ転がった。

 村の周りには、龍人の死体が山ほど転がっていた。どれも四肢が欠損し、凄惨な状態で事切れている。そこに慈悲などなく、怒りのまま殺したことがわかった。


「あいつ……マジでなにやってんだよ」


 龍人たちは怯えていた。

 それだけじゃない。奴隷のエルフ族も腰を抜かして怯えていた。

 俺はカグヤを止めるべく気合を入れ、最悪の場合を想定してカグヤの元へ───すると、龍人たちが村の奥からゾロゾロやってきて整列し跪いた。

 

「なにやら騒がしいわね。サルが暴れてるって───」


 ぼじゅん!!と、整列した龍人の間を優雅に歩いてきた龍人族の女の首が、綺麗に吹っ飛んだ。

 ぶしゅーっと首から噴水のように血が噴き出し、女の身体が数歩、ゆっくり進み……そのままばたんと倒れた。


「邪魔……」


 跪いた龍人は、ようやく気付く……女が、一瞬で殺された。

 俺ですら、かろうじて見えた。

 女が見えた瞬間カグヤが飛び出し、その首を回し蹴りで刈り取ったのだ。


「残りはこれだけね。ちょうどいい、さっさと殺してやる」


 自分たちの主が瞬殺されたことに気付いた龍人族は、四十秒かからず全滅した。


 ◇◇◇◇◇◇


 龍人族が全滅したのを見計らい、俺はカグヤに声を掛けた。

 

「おい、終わったぞ」

「…………うん」

「ったく、暴走しやがって……お前、周りを見ろよ。エルフ族全員、お前に怯えてるぞ」

「…………」


 腰を抜かしていたエルフ族の奴隷たち。

 カグヤを見る眼は、恐怖以外なかった。

 すると、ナキがやってくる。


「あー……とりあえず、ここはオレとネコミミちゃんに任せろ。フレア、お前はカグヤを連れてけ」

「ああ。わかった」

「うちはネコミミちゃんじゃないにゃん!!」


 ふしゃーっとキレるクロネの頭を軽く撫で、俺はカグヤを連れて村の外へ出た。

 近くには花畑と川が流れており、俺は手拭いを絞ってカグヤに渡す。


「ほれ、顔拭けよ」

「ん……」

「それと、気を抜け。いつまでも臨戦態勢でいるなよ」

「あ、うん……ごめん」


 カグヤは顔を拭き、ようやく肩の力を抜き……盛大にため息を吐いた。


「はぁ~~~……やっちゃったぁ」

「お前、どうしたんだよ。あんなにキレてさ……正直、ビビったぞ」

「……おじいちゃんおばあちゃん」

「え?」

「女の子のおじいちゃんおばあちゃん、いじめられてたでしょ? あれ見てちょっとキレちゃった。アタシを育ててくれたのも、おじいちゃんおばあちゃんだったから……」

「ふーん……」


 カグヤは川べりの岩に座ったので、俺も隣に座る。

 距離は近かったが、拒絶されることはなかった。


「あんなので心を乱すなんて。アタシも修行不足ね……」

「お前、たぶんだけど四天王の一人を瞬殺したぞ。名乗るくらいの暇は与えてやれよ」

「えー?……四天王って、マジで?」

「なんか偉そうに歩いてる女がいたじゃん」

「……? わかんない」


 周りも見えてないくらいキレてたのかよ。

 俺は苦笑すると、カグヤも苦笑した。こうやってこいつと二人きりになるの久しぶりだな。

 

「プリムたちは?」

「あっちのことはナキに任せてる。あとはエルフの問題だ」


 この村を占拠していた龍人族は死亡。たぶん、村は解放される。

 

「俺が倒した生き残りもいるし、そいつらは逃がして龍人族の王様に報告させよう」

「そうね……はぁ」

「ま、気を落とすなよ。つーか、キレたお前強かったぞ? 十二使徒くらい強かったんじゃね?」

「ふん……慰めはいらないし」

「へいへい。じゃ、落ち着いたところで村に戻ろうぜ。いろいろ手伝いが必要そうだ」

「うん。それと、ありがとね」

「…………お前が素直に礼を言うとはねぇ」

「うるっさい!!」


 さーて。残務処理の時間だ。

 ちなみに、カグヤが倒した女龍人は、四天王の一人『花龍』ロズワールだったそうな……なんとも憐れな四天王で。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[気になる点] 四天王って12使徒より強いんじゃないの? なんかカグヤ怒っただけで何倍も強くなるの謎 第3神祖ごときにボコられてたのに
[一言] ロズワール...かわいそうに...ww
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