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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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BOSS・闘龍四天王『凱龍』グレンデル②

 戦いの場とかいう場所は、家の裏にある広場だった。

 何もない広場だ。まっ平に舗装された地面は硬く、周囲には木々が一本もない。

 俺は軽く準備運動をしていると、グレンデルが言う。


「一つ、言っておく」

「ん?」

「我が『龍名』は『凱龍』……どんな攻撃もワシの身体を傷つけることはできん。傷を付けられるのは、バルトアンデルス様だけだ」

「はぁ……それで?」

「つまり、『龍化』せずとも勝てるということだ」

「……そ、そうですか」


 意味わかんねぇ。

 なんだよ龍化って。りゅうめい、ってのは龍人としての二つ名みたいなモンで、凱龍ってのは『すっごく硬い龍人』って意味だと思うけど。

 グレンデルは五指を開き、両腕を開く独特の構えを取る。


「さぁ人間、矮小な種族よ!! ワシを楽しませろ!!」

「あのさ、あんまり人のこと馬鹿にしないほうがいいぞ? 俺、めちゃくちゃ強いから」

「くぁっはっはっは!! その意気やよし!! さぁ名乗れぃ!!」


 俺は甲の型で構えを取り、名乗る。


「呪闘流甲種第三級呪術師ヴァルフレア。お前を呪ってやるよ!!」

「闘龍四天王『凱龍』グレンデル。圧して参る!!」


 俺とグレンデルの戦いが始まった。


 ◇◇◇◇◇◇


 俺はグレンデルに向かって突進。拳を握り、先制攻撃を仕掛ける。


「甲の型、『打厳』!!」


 全身を固めた一撃だ。

 巨岩も粉砕できるし、調子がいいと鉄板もブチ抜ける拳だ。

 狙いはグレンデルの腹。身長は俺の倍くらいあるし、打ち上げるように拳を叩きこむ。

 そして、拳がグレンデルの腹筋に突き刺さった……が。


「っぐ……か、かってぇ!?」

「その程度か?」

「───っ」


 グレンデルが拳を握る───まさかこいつ。

 俺は脱力し、グレンデルの打ち下ろしパンチを受け流す。


「『龍拳』!!」

「流の型、『漣』───っ、おっもぉ!?」


 グレンデルの拳側面を叩き軌道をズラそうとしたが───……拳が重く、軌道が完全にずらせない。俺は身体を無理やり捻り、グレンデルの打ち下ろしをギリで躱す。

 そして、グレンデルの拳が地面に叩きつけられ、冗談抜きで地面が揺れた……なんつう威力。

 俺はグレンデルから距離を取るが、グレンデルはすぐさま接近。


「フンフンフン!! フンフンフン!!」

「っく、このっ……」


 連撃。

 確信した。グレンデルは格闘技を使う。拳を見ただけでわかる。かなり熟練した格闘家だ。

 グレンデルの拳を躱すが、威力や重さだけでなく速さもある。

 さらに、『漣』でも完全には受け流せない。


「ゼイハァァァァァっ!!」

「ぐおぁぁっ!?」


 やべ……拳、腹……モロに受けちまった。

 鉄丸で防御したが、衝撃がモロに伝わってくる。まさか鉄丸をすりぬける威力とは。

 俺は腹を押さえ、ゲホゲホむせる。


「げっほげっほ!? っくそ、なんつうパワー……」

「人間とは違う。龍人こそ至高の種族。天使や吸血鬼などと比べるのすらおこがましいわ!!」

「……確かに、強いな」


 俺は腹をさすりながら再び構えを取る。

 グレンデルも構え、ニヤニヤしながら言う。


「多少はすばしっこいようだ。それに技もある……だが、中途半端だな」

「あ……?」

「弱いのだ。所詮は人間の武術。至高の存在である龍人が編み出した『龍闘技』には敵わない」

「……は?」

「だが、人間には小賢しい知能がある。その小賢しい頭で考え、生み出した武術。使いようがあるなら我が『龍闘技』に組み込めるだろう。さぁ人間、もっと小賢しい技を見せろ」

「…………小賢しい?」

「うん? 聞こえなかったのか?」


 俺はふつふつと怒りを感じていた。

 呪闘流が、小賢しいだと?


「……俺の格闘技は、俺が先生から習った俺の誇りだ」

「誇り?……ふざけるなよ人間!! 貴様のような矮小な人間が、容易く『誇り』など口にするな!!」

「はぁ?……なんだよそれ、俺にとっての誇りをお前が馬鹿にする権利なんてない」

「権利ならある。誇りというのは、我ら気高き龍人族が掲げるモノだ。ずる賢こく、同族同士で醜い争いをするような人間が誇りだと……笑わせるな!!」

「…………」


 グレンデルは笑うのをやめ、不快とばかりに言う。


「貴様にその技を教えたのも人間だろう? 弱い人間が教える武術などたかがしれている。せめてもの情けとして我が『龍闘技』の糧にしてやろうというのだ。わかったならさっさと───」

「滅の型『極』───『破戒拳』!!」


 グレンデルが最後まで言い切る前に、俺の拳がグレンデルの腹に突き刺さる。


「!?───お、っごっぼぁぁ!? ゲッヒぃ、げひっ!?」


 グレンデルは血を吐き、腹を押さえた。

 俺の怒りは収まらない。


「お前、先生を馬鹿にしたな?……弱いだと? 呪闘流がたかがしれているだと?」

「ぐ、おぉ…‥こ、この威力!!……し、信じられん。オレの身体に、ここまでのダメージを!!」

「おい……もう一度言えよ。俺の先生が弱いだと?」

「ふ、フフフフフ……がっはっはっはっは!! これほどの拳、どのような技を使ったのだ!? ほしい、欲しいぞ!! 人間んんんんっ!!」


 グレンデルは立ち上がると、構えを取る。

 同時に、身体も変化していく。

 全身に鱗が生え、牙が伸び、ツノも伸び、手足が大きく、尾が生え……まるで巨大な二足歩行の蜥蜴のような姿になっていた。

 トカゲと違うのは、背中に翼が生えているところだ。


『さぁ人間……本気で相手をしてやろう!! もっと貴様の技を見せろ!!』

「……やだね」

『ナニィ!?』

「お前みたいな野郎は万死に値する。地獄の炎で焼き尽くす!!」


 第一地獄炎が俺の全身を包みこむ。

 そして、再び構えを取る。


「こっからは、地獄炎の呪術師として相手してやる!!」

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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