表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

247/395

グリーンエメラルド領土へ

 馬車の改造も終えた、買い物も終わった、いっぱい寝て元気も出た。

 ナクシャトラの話の翌日。俺たちは馬車に乗り、グリーンエメラルド領土に続く門へ向かった。

 俺は馬車の屋根。プリムたちは馬車の中。アイシェラが御者と相変わらずの位置だ。

 門の入口に、ナクシャトラが待っていた。


「よぉ、待ってたぜ」


 ナクシャトラは軽く手を上げ、馬車の屋根の上へ。

 俺はちょっと邪魔だなと思いつつ聞く。


「えーと、お前が案内してくれるんだよな」

「ああ。村にいるグレンデルに報告しに行くって建前だ。お前たちはオレが捕まえた労働力で、村に入ってグレンデルに会わせるから後は暴れてくれ」

「シンプルでいいな。そういうの好きだぜ」

「シンプルだけどヤバいんだよ……グレンデルはオレが十人いても勝てねぇ。それくらい龍人は強い。いいか、何度も言うが、オレはお前たちを捕獲してグレンデルに報告するだけだ。お前たちが暴れようと」

「関係ない。だろ? 別にいいよ」

「すまん……その代わり、報酬は支払う」

「ああ。なんかナクシャトラって特級冒険者っぽくないな」

「人間が勝手にそう呼んでるだけだ。それと、ナクシャトラって長いからナキでいいぜ」

「お、愛称か。じゃあ俺もフレアでいいよ」

「おう。短い付き合いだがよろしくな」


 ナクシャトラことナキは軽く手を上げたので、俺はその手を軽く叩く。

 

「ところで、お前の部下は?」

「ああ。人攫いは一時的に休み。グレンデルに報告してから続きをってことにしてある」

「……俺たちがグレンデルに負けたら?」

「代わりの奴を探すさ。悪いな、オレも手段を選んでられないんだ。お前たちみたいな強いお人好しが現れるまで続けるさ」

「……お前が強くなるって手段もあるじゃん」

「……お前。本当の龍人のこと知らないんだな」


 ナキは憐れむような目で俺を見た……なにこいつむかつく。

 

「天使、龍人、吸血鬼。この世界最強の三種族……知ってんだろ?」

「まぁ知ってる」

「天使は聖天使教会、んで最強の十二使徒。吸血鬼はブラックオニキス、んで最強の三大真祖。龍人はグリーンエメラルド、んで最強の闘龍四天王……これが大まかな『強い奴』だ」

「ふむふむ」

「龍人は、四天王の更に上に『王』がいるんだよ。龍人族最強にして全ての龍人を束ねる王。『龍王ヴァルトアンデルス』がな。龍王は聖天使教会十二使徒トップのアルデバロンと引き分けた伝説の龍人だ。存在そのものが奇跡。強いとか弱いなんて次元じゃねぇ」

「ふーん」

「……お前、聞いてんのか?」

「聞いてるって。龍人の王だろ?」

「……まぁそういうこった。このグリーンエメラルドは龍人の土地だ。オレ一人が強くなってあがいたところでどうにもなんねぇよ。だから、せめてオレの村だけでも取り返してえんだ」

「ふーん……」


 龍人族かぁ。

 吸血鬼の時にチラッと名前聞いたけど、けっこうヤバそうだ。

 あのセキドウとかいう奴、グリーンエメラルドで強くなれっていうの、龍人族と戦えってことなのかな。

 

「とにかく、よろしく頼むぜ」

「おう。任せとけ」


 まぁ、戦えばわかるけど……問題が一つ。

 俺は仰向けになり、空を見上げた。

 木々が生い茂り空があまり見えない。そう、ここは森なのだ。

 俺の武器は格闘と炎。こんな森の中じゃ第一地獄炎は使えない。

 第二地獄炎は水がないとできない。第三地獄炎は大地があるからまぁ大丈夫。第四地獄炎は相変わらず使いにくいし……第五地獄炎は飛行系だけどこう木々が多いと飛びにくい。第六は人間にしか……いや、エルフにも効いたし龍人にも効くかな?

 

「うーん……けっこう厳しいかも」

「あ? 何がだ?」

「なんでもない。とりあえず俺寝るから」

「寝る!? おいおい、こんな屋根の上で……マジで寝やがった」


 俺は目を閉じ、緑の匂いを嗅ぎながら眠りに落ちた。


 ◇◇◇◇◇◇


 ナキの村は、国境の町から馬車で一日のところにあるらしい。意外と近いな。

 村の住居は全て龍人に奪われ、住んでいたエルフは奴隷となったらしい。この辺り一帯を任されているのが、闘龍四天王の一人グレンデルってわけだ。

 龍人族は、グリーンエメラルドを支配したときにエルフたちにこう言ったらしい。『その地を治める龍人族を倒せば、その地はエルフに返す』って。つまり、闘龍四天王四人を倒せばエルフの地は全て返還される。

 だが、四天王を倒せば『龍王ヴァルトアンデルス』が出てくる。そうなったらせっかく取り返した土地もまた奪われる……なので、グレンデルだけを倒してナキの村を取り返す。それで終わり……というのが

ナキの計画だ。


「その龍王ヴァルトアンデルスっての倒せばいいじゃん」


 と、カグヤが言う。

 現在野営中。クロネの作ったシチューを食べながら焚火を囲んでいた。もちろんナキも。

 すると、ナキは頭を抱えた。


「フレアにも言ったが……そう簡単じゃねぇんだって」

「なんでよ」

「あぁ~……ネコミミちゃん、任せた」

「うちはクロネ!!」


 クロネがカグヤにあーだこーだ説明する。

 プリムはシチューを食べながらアイシェラに言った。


「このグリーンエメラルドの隣は、ホワイトパールなんだよね……」

「ええ。長いようで短い旅でした……お嬢様、どうされますか?」

「……わたし、もう王族じゃないし。でも……お父様は」

「……」


 なんかプリムが暗い。

 そっか。この隣ホワイトパールなのか。

 そういや、ホワイトパールって行ったことない。冒険したいけど今は言うのやめとこう。

 ナキは、シチューを完食。全員に言った。


「お前たち、明日は頼むぜ」


 とりあえず、明日は戦いになる。

 いい機会だ。龍人族の強さ、体験してみよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ