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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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雑魚の悲鳴

「ギャァァァァァァァァァァァ!?」

「ひぃぃぃぃ!? 悪かったっがぁぁぁぁ!?」

「嫌だっぁぁぁぁぁぁっ!!」


 冒険者ギルド内は、下っ端冒険者たちの悲鳴が鳴り響いた。

 俺とカグヤが向かってくる冒険者相手に大立ち回り。殴っては蹴って、殴っては蹴って。今日はそれプラス火傷と呪術も追加してある。


「蝕の型、『口内炎になっちまえ(グォー・ナイ・エィン)』」

「お? おっご、ごぉぉぉぉぉっ!?」

 

 女冒険者の顔が一気に腫れあがる。口内炎三十個はキツイぞ?

 そして、カグヤの足技が冴える。


「神風流、『四結柱打(しけつちゅうだ)』」


 トトトトン、と軽く蹴る。狙いは両肩関節と股関節……すると、蹴られた衝撃が関節の結合部に伝わり、カコンと脱臼した。

 男は立っていることができず、そのまま崩れた。


「おお、お前にしては繊細な技じゃん」

「たまにはね。最近、大技ばかりだったし、たまには繊細な技を使うのもいいかなって」


 そう言い、カグヤは剣を持って向かってくる女の両手首を狙い蹴りを放つ。


「神風流、『亡分なきわかれ』」


 カコンと、手首の関節が外れた。


「いっぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」

「関節外しただけよ。大げさ、ねっっと!!」

「おがっ!?」


 そのまま女の顎を蹴り上げた。女は気を失い地面に転がる。

 カグヤ、すごいな。爪先で正確に関節の結合部を叩いて外してる。大技ばかりの印象だったから、こういう繊細な小技を見ると余計にすごく感じる。

 冒険者たちは、あっという間に半分以下になった。


「───ぴゅぅ」

「───っと!? おわっ」


 すると突然、細い矢が飛んできた。

 複雑な軌道を描き、俺の首に向かって正確に飛んでくる。

 躱そうと身体を捻るが、その躱した先に矢の軌道が変わり、俺はその矢を素手で掴む。


「これ、さっきの……お前か!!」

「チッ……なんなんだオメェら。これだけの数を……クソが!!」


 ナクシャトラは立ち上がり、腰の両側に付いている矢筒に両手を突っ込む。そして、細い矢を何本も空中に放り投げると、口笛を吹いた。


「ぴゅぅるるるる───……」

「なんだ?……口笛?」

「浮いてる……」


 口笛に合わせ、矢が浮かんでいた。

 そして、鏃部分が俺とカグヤの方に向く。


「ぴゅぅい!!」

「おわっ、来たぞ!?」

「まさか───……特異種!?」


 そういやクロネが言ってたっけ、特級冒険者は全員が特異種だって。

 ナクシャトラの能力は矢の軌道を操作することか。それも一度にこんなたくさん。数は二十を超える矢が、俺とカグヤに向かって飛んできた。

 が、問題はない。


「第一地獄炎、『紅蓮掌』」


 両手に炎を纏わせ振る。

 すると、炎が舞い炎に触れた矢が一瞬で燃え尽きたのだ。


「なっ!? この……」


 ナクシャトラは再度、矢を抜いて投げる。口笛を吹くと矢が飛んできた。


「いや……同じ手、俺に通じると思うか?」


 矢は再び燃えカスに。

 気が付くと、冒険者たちは全員カグヤに倒された。

 そして、最後の矢を投げ切ったナクシャトラの顔色が悪くなる。


「カグヤ、とどめどうする?」

「じゃあ一緒に」

「おう」

「ちょ、待て待て!! まっ」

「「せーのっ!!」」


 俺とカグヤは一瞬で飛び出し、ナクシャトラにトドメを刺す。

 ナクシャトラの顔面に拳、腹に蹴りを突き刺し、そのまま壁に吹っ飛んで激突。ナクシャトラは動かなくなり、そのまま気を失った。


「おしまい。なーんだ、特級冒険者っていうから強いと思ったけど、こんなモンか」

「期待外れねー……それより、こいつらどうする?」

「んー……」


 俺は受付カウンターを見ると、職員がビクッと震えあがった。

 せっかくなので受付嬢さんに聞いてみる。


「なぁ、冒険者資格はく奪する?」

「え、えーと。その……」

「ま、いいや。とりあえず見てたと思うけど、売られた喧嘩買って返り討ちにしただけだから。もうここでは依頼受けないし、盗賊の報酬もいらない」

「は、はい……」

「よくわかんねーけど、こういうのやめた方がいいよ。じゃ」

「ばいばーい。ねぇフレア、お腹減った」

「俺も。露店で買い食いしようぜ」

「アンタのおごりでね!」

「なんでだよ……」


 そんな会話をしながら、俺とカグヤは冒険者ギルドを後にした。

 もうこの冒険者ギルドはいいや。明日には出発だし、今日はのんびりしよう。


 ◇◇◇◇◇◇


 カグヤと一緒に買い食いを楽しんでいると、聞き覚えのある声がした。


「い、いた!! おい、そこの二人!! おーい!!」

「ん……あれ、ナクシャトラじゃん」

「なによ。まだボコられたいの?」

「違う!! っと……ここじゃ目立つ。ちょっと来い!!」

「「は?」」


 俺とカグヤはナクシャトラを睨む。

 ナクシャトラはビクッとした。


「つーか、なんで命令口調なんだよ。お前、俺たちに喧嘩売ったの忘れたのか? 俺、売られた喧嘩は買うし、買ったあとも忘れないぞ」

「アタシも。正直ぶっ殺してやりたい」

「うっ……す、すまんかった。その、お前らの強さを見込んで頼みたいことがあるんだ!!」

「「…………」」

「頼む。メシなら奢ってやるから、話を聞いてくれ」

「……どうする?」

「面白い話ならいいわよ」


 そりゃ聞かないとわからん。

 ナクシャトラを見ると、最初の態度が噓みたいに弱く見えた。

 まぁ、事情があるのかもな。


「わかった。聞いてやるけど……メシ、もうちょい食べたらな」

「わ、わかった。奢ってやる」

「やった! じゃあアタシあっちの海鮮焼き食べたーい」

「俺、あっちの肉串がいいなー」

「ああもう、いくらでも奢ってやる!!」


 ナクシャトラの金が尽きるまで、俺とカグヤは露店を満喫したのだった。

 さて、ナクシャトラの話とはなんだろうか?

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] しっかり戦闘力がある特級冒険者ってあんまいないのかな 学者肌なやつも多かったし…天使とまともに戦えるのなんてどのくらいいるんだろう
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