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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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特級冒険者序列7位『森人』ナクシャトラ

 プリム達と合流し、宿近くの食堂で飯を食った。

 エルフの森が近いせいか、肉よりも山菜や野菜、魚が多い。まぁ好きだからいいけど。

 さっそく今日のことを話すと、アイシェラが言う。


「この町、長居は禁物だな……お嬢様と婚約指輪を探してたんだが、私に嫉妬する視線がかなりあった。恐らく、お嬢様の柔らかな肢体はエルフや獣人にも魅力的に映ったのだろう」

「アイシェラ真面目に話して。ってか婚約指輪なんて選んでないし」

「はぁぅっ……ふぅ、まぁそういうことだ」


 いや、意味わからん。

 プリムは魚の身をほぐしつつ言う。


「実は、何人かのエルフに絡まれて……路地裏に連れて行かれたんです」

「「え!?」」

「あ、でもアイシェラがやっつけました」

「よかったぁ……まぁ、無事で安心したわ」


 カグヤが魚の頭をバリバリ食べ、骨も食っている。

 俺はすでに完食。クロネに聞いた。


「なぁクロネ、ここけっこうヤバいのかな」

「ヤバいにゃん。いろいろ調べたけど……たぶん、あんたらが倒した盗賊はナクシャトラの手下にゃん。この辺りを縄張りに冒険者狩りをしている特級冒険者序列七位、ナクシャトラ」

「強いのか?」

「すっごく。エルフと人間の混血ハーフエルフにして特異種にゃん。龍人と手を組んで、裏では人間売買に手を染めてるって話にゃん。それと、ナクシャトラの組織は全員がエルフとハーフエルフで構成されてるにゃん。全員が人間嫌いでもう大変にゃん……」

「うわぁ……」

「……フレア。どうするんだ?」


 アイシェラが真面目な顔で聞いた。

 何が?……って聞かなくてもわかる。


「もちろん、グリーンエメラルドは行くぞ。面白そうだし」

「はぁ……正直、気乗りはしない。ブラックオニキスでは我らを救うという目的があったが、今回は完全に危険地帯に踏み込むだけ。さすがに危険すぎる……」


 と、魚を三匹食べて満足したクロネが言う。


「グリーンエメラルドには三大ダンジョンの一つ、『古代遺跡マガツマンダラ』があるにゃん。そこのダンジョンはお宝の宝庫で、危険を冒してでも行く価値があるって話にゃん」

「よし行こう」

「面白そう!」

「ダンジョン……うう、あまりいい思い出はないけど、最初からフレアと一緒なら」


 俺、カグヤ、プリムは乗り気だ。

 アイシェラは大きくため息を吐き、グラスに残ったワインを飲み干した。


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日。

 アイシェラ、プリム、クロネは馬車の強化をするため整備屋を待つことに。護衛としてさらにシラヌイを置き、俺とカグヤは盗賊の報奨金を得るために冒険者ギルドへ。

 アイシェラは言った。


「いいか。余計な争いを起こすなよ」

「それは相手次第。だよな」

「そーいうこと! じゃ、いってきまーす」


 アイシェラたちに見送られ、冒険者ギルドへ。

 俺はカグヤに言った。


「念のため、準備運動しておくか」

「なんの?」

「喧嘩に決まってんだろ」


 俺は両腕と両足をしっかり伸ばし、カグヤも軽く足の曲げ伸ばしをした。

 そして、冒険者ギルドへ到着……ああ、やっぱりな。

 なんとなくわかった。中はけっこうヤバい。


「ふふん。スリル満点で楽しいわねぇ!」

「俺は面倒くさいけどな」

「ほら、行くわよ。ドア開けなさいよ」

「へいへい」


 適当に返事しつつ、ドアを開ける───……。


「───っと、おお?」


 なんと、俺の顔面……いや、右目めがけて細い『矢』が飛んできた。

 たいして驚かなかったが、とりあえず矢を片手で掴む。すると、冒険者ギルド内がドヨドヨとし始めた。なんか驚かせたらしい。

 すると、パチパチと手を叩く一人の男が、受付カウンター正面にわざわざ椅子を持ってきて座っていた。


「やるじゃねぇか」


 男は、褐色肌のエルフだった。

 エメラルドグリーンの髪は濁ったような灰色に、肌は赤褐色、目は灰色。長い灰色の髪を何本かの三つ編みにして流し、バンダナのようなものを額に巻いている。

 上半身は裸で肩がむき出しのジャケットを直接羽織り、下半身はジャラジャラした宝石がいっぱいくっついたズボン、素足にサンダルを履いていた。

 腰には小さな矢筒がいくつもベルトに括られ、矢筒の中には銀色の細い矢が何十本も入っている。とんできたのはそのうちの一本みたいだ。

 なんとなくわかった……この矢はこいつの仕業だ。


「お前、誰?」

「おいおい、オレ様を知らないとはなぁ? 特級冒険者序列七位『森人(ハイエルフ)』のナクシャトラ様だ。記憶したか、小僧?」

「ナクシャトラね。で、これは?」


 俺はギルド中に視線を浴びた。

 冒険者最強の一ナクシャトラにタメ口をきいたのだ。信じられない、といった視線だ。

 すると、数人のエルフたちがナクシャトラの両脇に……こいつら。


「そいつら、昨日俺たちが引き渡した盗賊じゃん……なんでそこに?」

「ああ~……こいつら、盗賊じゃなくて冒険者なんだよ。お前、こいつらをいじめくれたようじゃねぇか。オレ様の可愛い舎弟どもを傷つけた報い、受けてもらおうか?」

「…………」


 すると、冒険者ギルドのドアが閉じられた。

 冒険者たちが俺とカグヤを囲む。


「あのさ、こんなことしていいのかよ? そこにいる連中、俺たちを捕まえて売り飛ばそうとしたんだぞ?」

「なんのことだ? なぁおめえら、そんなことしたのか?」

「知らねぇなぁ?」「ああ、知らねぇ」「売り飛ばす?」

「兄貴、こいつら初めて見たぜ?」「へへへ……なんのこった?」

「……ってわけだ。全員、おめえらのことは知らねぇとよ。だが……言いがかりを付けられて喧嘩売られたことは覚えてるみたいだぜ?」


 受付カウンターにいた受付嬢さんを見ると、すまし顔で目を反らした。

 他のギルド職員も同じだった。人間や獣人の冒険者に視線を送っても、ニヤニヤしているだけ。

 俺はカグヤを見た。


「ここまで腐敗してるとはなぁ……どうする?」

「ここ、潰しちゃっていいんじゃないの?」

「だな。全員ブチのめすか」


 俺は四肢と顔半分を燃やし、ギルド内の床を思い切り踏み砕いた。


「最初に言っておく。今、すぐに謝るなら許す……謝らないなら容赦しないぞ」

「おいおいおいおい、オレらに喧嘩売ってどうなるかわかるのか? 冒険者資格はく奪は免れないぞ?」

「いいよ別に。冒険者はいい奴もいるし悪いやつもいる。お前らは……腐ってやがる」

「フン、人間がイキってんじゃねぇぞ……お前ら、この特級冒険者序列七位ナクシャトラが命じる。やっちまえ!!」

「「「「「オォォォーーーっ!!」」」」」


 冒険者たちは雄たけびを上げ、俺たちに襲い掛かってきた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] 相手にならんだろうなぁ。フレアといい勝負できる人間なんて1位のメテオくらいだろうし
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