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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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森の襲撃者

 大量のエルフが弓矢を俺たちに向けていた。

 ちょっとだけ驚いた。俺やカグヤもここまで接近されて気配を感じなかったし、シラヌイも臭いを感じていなかった。

 周囲を見回していると、エルフの一人が枝の上から言う。


「そのまま動くなよ。少しでも動けば、お前たちの脳天に矢をブチこむぞ」

「あの、お前ら何? なんか用か?」

「動くんじゃねぇっつってんだ!!」


 すると、矢が俺の足元へ。

 なかなかの腕前だ。あと数センチずれてたら、俺の足に矢が刺さってた。

 俺は、シラヌイとカグヤを押さえ質問する。


「動かないから教えてくれよ。なんで俺たちを狙う? 俺たち、ロードマンティスを討伐しに来た冒険者だ。狙われる理由がわかんねーよ」


 エルフの一人が木から飛び降り、俺たちから離れた場所で言う。


「この森、正確にはこの区画……ここはエルフの縄張りだ。知らねーのか? グリーンエメラルドはエルフと龍人の国。入るのはいいが完全な自己責任……ここでお前たちを殺して、死体を冒険者ギルドに投げ込んでもいいんだぜ? 冒険者ギルドはグリーンエメラルド領土側に建ってるからな。ここじゃオレらのルールが適用されるんだよ」

「ふーん……で、目的は?」

「有り金全部。それと、お前たちの身柄を拘束して、本国へ連れて帰る」

「え、なんで?」

「決まってんだろ。若い労働力として死ぬまで働いてもらうんだよ」

「…………」


 俺は少し考えこむ。

 そろそろカグヤが限界だし、ずばり聞いてみた。


「あのさ……冒険者ギルドにいた冒険者たち、知り合い?」

「あぁん?……くははははっ!! もちろん知り合いだぜ? 知ってるか? ここに初めて来た冒険者に親切にして依頼を受けさせ、オレらに引き渡す……それがあそこの冒険者ギルドにいる連中の仕事だ。依頼受けるより、冒険者売った方がいい金になるんだとよ」

「ああ~……どうりで親切なわけだ。俺たち、売られたのか」

「そうさ。今頃、仲間がギルドの連中に金を払ってるだろうよ。ああ、お前たちの仲間もいたなぁ? へへへ、いい金になったぜ?」

「そっかそっか……」


 一つだけ、間違いないことがあった。


「ははは。エルフってクズ集団なんだな。よくわかったよ」

「あぁん? おい教えてやる。グリーンエメラルド本国でそんな舐めた口聞いてみろ? 一瞬で挽肉にされるからな?」


 エルフ男は俺に近づき、ナイフで頬をぺちぺち叩いた。

 長い耳、白い肌、整った顔立ち、エメラルドグリーンの髪。なんとなく植物っぽい匂いがする……ああ、うん。もういいや。

 すると、カグヤが言う。


「何人残す?」

「全員。せっかくだし、冒険者ギルドに連れていこうぜ。カグヤ、賊に出会った時の対処法だけど」

「なんだ? お前ら何言ってる?」

「賊に出会ったら、冒険者は身を守るため自衛が認められるのよ。捕らえれば報奨金も出るわ」

「よし。と言いたいけど……あのギルド、機能してんのかね?」

「ま、別にいいでしょ。それよりいい? アタシ、そろそろ限界」

「俺も。じゃあやるか」

「はぁ? お前ら───」


 次の瞬間───俺とカグヤの殺気が周辺を包む。


「滅の型、『百花繚乱』!!」

「おぼぐぶげっ!? っげぁぁぁっ!?」


 顔面だけを狙った拳が、エルフの顔を叩き潰す。

 気絶しないように手加減した───すると、矢が飛んでくる。


「神風流、『嵐轟脚』!!」


 カグヤの蹴りの風圧で矢の軌道が変わる。

 そして、俺をも超える速度でカグヤは走り、跳躍───矢を番えていたエルフの女性めがけて蹴りを放った。


「神風流、『三雷雨』!!」

「ぎゃっはぁ!?」


 顔面、心臓、股間を狙った蹴りを喰らい、女エルフは吹っ飛んで木にめり込んだ。

 その後も、矢を番えるエルフを優先してカグヤは蹴りを放つ。股間、顔面、両腕、両足……骨を丹念に折り、男の股間を丁寧に潰し、女は顔面を蹴っていた。ほんと容赦ねーやつだ。

 弓では不利と感じたエルフは、ナイフを抜いて木から飛び降り俺に向かって来た。


「舐めんな人間っ!!」

「舐めてんのはお前だろ。第六地獄炎、『天道』」


 右の五指に黒い炎を灯し、エルフに触れた。

 

「───」


 エルフはビクンと痙攣し、自らの武器で太ももを刺した。さらに腕を刺し、脇腹、目を刺し、脚の指を切り落とす───え、えっぐぅ……『自傷行為させる呪い』ってヤバいな。

 だが、エルフは泣いていた。そして苦しんでいる。


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!! 痛い、痛いぃぃぃぃぃぃっ!! でも、でも、傷付けずにはいられねぇぇぇぇぇっ!!」


 俺はそのエルフを無視。

 『天道』を喰らった人間は『自傷行為』を行う。だが、第六地獄炎の炎は呪いだが死なない。苦しませるための炎だ。現に、切り落とした足の指は勝手に止血されてるし、血をいっぱい流しているのに血色はいい。

 俺は、迫ってくるエルフに向かって拳を握る。


「だりゃぁぁっ!!」

「滅の型、『桜花連撃』!!」


 拳を固め、骨を狙った連撃……エルフの骨が砕け倒れた。

 同様に、向かってくるエルフは全て骨を狙った。立てないように、逃げないように。

 俺とカグヤ、そしてシラヌイから逃げられるはずもなく、エルフの集団は全滅した。

 全員が、数十箇所の骨折だ。カグヤにやられた奴は出血も多いが。


「で、まだやるか?」


 俺は、最初に話しかけてきたエルフリーダーに聞く。


「ま、待て!! お、オレたちに手を出すとボスが黙っちゃいない。今逃がしてくれたら何もしない。頼む、もうやめてくれ」

「そういう奴に限って復讐してくるんだよな。なぁカグヤ」

「うんうん。まぁそっちのが楽しいけどね……どうする?」

「冒険者ギルドに引き渡す」


 ───と、俺は見逃さなかった。

 引き渡すと言った瞬間、エルフの顔が笑ったのだ。


「なーに笑ってんだ?」

「え、いや別に」

「うし。じゃあ引き渡すか。カグヤ、その辺の樹から蔦持ってきてくれ。全員に巻いて引きずるから」

「はいはい。で、いいの? そいつそのままで」

「いや?」

「え───はぎゅっ!?」


 俺はエルフの顔を殴った。


「おい、一つ教えてやる……死なない方が苦しい場合もあるからな」

「ふぇ、ふぇ……」

「まぁ、いっか」


 そう言って、俺はエルフたちを蔦でぐるぐる巻きにし始めた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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