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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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BOSS・ロードマンティス(?????) 

 森の中を進んでいると……さっそく出た。

 

「お、あれか。って……小さいな」

「か、カマキリ……」

『グルルルルッ』


 全長二メートルほどのカマキリがいた。

 全身濃い緑色で、姿はまんなデカいカマキリ。俺たちを見て両手の鎌を振り上げ、翅を広げて威嚇している。鳴き声を上げないのは、発声器官がないからだ。

 だが、翅がばたつき大きな音を立てている。


『ガァァァッ!!』

「あ、シラヌイ」


 シラヌイは一瞬で全身が燃え上がり、カマキリに突っ込んで行く。

 カマキリは向かってくるシラヌイに向けて鎌を振るが、ただ振るだけの鎌がシラヌイに当たるわけがない。あっさりとシラヌイは躱し、カマキリの首に噛みつくとそのまま食い千切った。

 ボトリと頭が落ち、カマキリは翅と鎌をばたつかせ、少しすると動かなくなった。


『ワォーーーン!!』

「よしよし、よくやったぞ」

『わんわん!!』


 シラヌイを撫でまくると尻尾が左右にブンブン揺れた。

 だが、カグヤは不満げそうにカマキリの死骸を眺める。


「ねぇ、これで終わりじゃないよね」

「ん~……どうなのかな。あ、依頼書!」


 俺は、受付でもらった依頼書を見る。

 そこには、『ロードマンティス。ケイブマンティスの大型特殊個体。全長十メートル以上あるA+~レートの魔獣』と書いてある。


「これ、ケイブマンティスってやつだ。ロードマンティスはこれよりもでっかいみたい」

「じゃあそれを探しましょ。シラヌイにばかりいいとこ取られたくないしね」

『わん!』


 そういうことで、俺たちは森の奥へ。


 ◇◇◇◇◇◇


 途中、何体かケイブマンティスが現れた。

 シラヌイが倒すが、何体か逃げ出してしまった。

 カグヤが追おうとするが……ふと、あることを思いつく。


「カグヤ、ちょっと待て!!」

「あぁん!? ちょ、逃げちゃうでしょ!!」

「見ろよ。あのカマキリ、同じ方向に逃げていくぞ。もしかしたら……」

「なーるほどね……追うわよ!」


 俺とカグヤとシラヌイは、ケイブマンティスを追って森の奥へ。

 虫の知能なのか。俺たちが追ってきていることを知りながら、ただ目的地へ向かって走っていく。普通は目的地を悟られないように二手に分かれるとか……まぁ、いいや。

 そして、ケイブマンティスを追って森の奥へ……いた。


「うわ、いたぞ……」

「…………」

『グルルルルッ!!』


 森の奥は小高い丘のようになっており、その丘の上にケイブマンティスの五倍以上大きいバケモノが……そう、ロードマンティスがいた。ロードマンティス、緑じゃなくて白いんだな。

 さらに、ロードマンティスの周りにはケイブマンティスが百、いや二百以上いる。

 俺たちを見るなりケイブマンティスが威嚇のポーズ。そして、ロードマンティスが起き上がり、ケイブマンティスと同じ威嚇のポーズ。だが、その巨体から繰り出される威嚇は相当な重圧だ。


「…………」

「おい、虫苦手なら引っ込んでろよ」

「べ、別に苦手じゃないし!!」

「じゃあどうする? 大物と小物」

「…………小物で」

「うん。じゃあ俺が大物『わんわん!!』……シラヌイ?」


 シラヌイが全身を燃え上がらせ、俺を見ていた。

 その眼は力強い……シラヌイ、こんな目をするなんて。

 ああ、そういうことね。


「……いけるのか?」

『わぅん!!』

「よし。じゃあ任せる。カグヤ、俺たちで小物をぶっ潰すぞ」

「え、じゃあ」

「ああ。ロードマンティスはシラヌイに任せる……行くぞ!!」


 俺は四肢を燃やし、シラヌイと一緒に走り出す。

 遅れてカグヤも走り出し、ロードマンティスとケイブマンティスの群れに突撃した。


 ◇◇◇◇◇◇


「久しぶりに熱くいくぜ!!……って言いたいけど、森が火事になっちまう。地味にいくか……」


 俺は拳を握り、ケイブマンティスの一匹に突っ込む。

 俺を両断しようとした鎌を紙一重で躱す。


「流の型、『刃砕』」


 鎌を拳で叩き砕く。

 けっこうな硬さだが、俺の拳でも砕けた。

 そして、左手に第三地獄炎を纏い、地面に突き刺し大地を燃やす。


「第三地獄炎『泥々深淵』───【泥沼】」


 ケイブマンティスの立つ地面が一瞬で泥化。そのまま水に落ちるようにケイブマンティスはトプンと沈んでいった。

 そして、背後にいるケイブマンティスに向かって後ろ蹴り。ケイブマンティスは地面に倒れた。

 さらに、俺は右の五指に黒い炎を灯し、ケイブマンティスに顔を掴んで燃やす。


「第六地獄炎、『人間道』───あれ? あれれ」


 黒い炎は消えた───え、まさかこれ、人間じゃないと効かないの?

 すると、ケイブマンティスが暴れ出した。俺は慌てて手を放す。


「おわわわっ、あっぶね……えぇ~、第六地獄炎って、人間専用かよ……」


 仕方ないので普通に殴った。

 そして、背中から緑色の第五地獄炎を燃やす。

 向かってくるケイブマンティスに、緑色のダンゴムシを放つ。


「第五地獄炎、『硬蟲ダンゴロ』!!」


 背中の翅から圧縮空気のダンゴムシが放たれ、ケイブマンティスに直撃。圧縮した空気がさく裂し、ケイブマンティスが砕け散った。

 さて、十体は倒したか。


「カグヤは……お、やってるな」


 カグヤは、ケイブマンティスを十体以上倒していた。

 虫が苦手とか言ってたくせに、戦いになると嬉々として戦ってやがる。

 さらに、シラヌイは……おお、いいね。


『ガルルルァァァァッ!!』

『シャーーーーーッ!!』


 シラヌイは、炎を噴射させ機動力に変え、ロードマンティスの鎌を躱す。

 そして、鎌が振り下ろされたタイミングを狙い、柔らかい腹部に噛みついたり、関節部分に体当たりしてダメージを与えていた。

 シラヌイとロードマンティスじゃ頭の良さが違う。これは手を貸さなくてもシラヌイの勝ちかな。


「さて、俺もさっさと終わらせるか!!」


 それから、五分と経たずケイブマンティスは全滅。ロードマンティスもシラヌイの牙に敗北した。


 ◇◇◇◇◇◇


「お、終わったぁ……うっげぇ、気持ち悪い」

「えーと……ロードマンティス討伐の証として、頭の中にある『核』を持って来いだって」

「は? 頭って……え、頭カチ割るの?」

「おう」

「ぜっっっっっったいにイヤ!! やるならアンタ一人でやってよ!!」

「俺だって嫌だっつーの!! 虫の頭カチ割るって……冒険者ギルド、エグすぎんぞ」

『くぅん』

「おいカグヤ、覚悟決めろ」

「嫌!!」

「俺だって嫌だっつーの!! やるなら一緒にやるぞ!!」

「いやぁ!! 気持ち悪いっての!!」

「だーかーら


 ───次の瞬間、俺は飛んできた『矢』を叩き落した。

 シラヌイが矢を躱し、カグヤも矢を蹴り落とす。


「───誰?」

「さぁ?……ずいぶんと舐めた真似するな」

『グルルルルッ……』


 矢は三本。

 そして───気配が十以上。

 木の上を見ると、無数の弓が俺たちを狙っていた。

 そして、弓を引く男が、俺たちに言う。

 

「動くな」


 襲撃者は───エルフだった。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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