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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第二章・風のラーファルエル

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実力を測りましょう!!

「落ち着いたか?」

「は、はい……見苦しいところをお見せしました」

「いいよ。お前も溜まってたんだな」

「……恥ずかしいです。男の人の前で、こんな大泣きを……うぅ」

「ぐ、おぉぉ……わ、わたしも、なお、せぇぇ……は、腹が、痛いぃぃ」


 急性胃腸炎でアイシェラのお腹がピーピー音を立てている。このままでは決壊する……見た目も臭いもヤバそうなので、仕方なく治してやった。


「じゅ、呪術恐るべし……大昔、呪術師が最強と言われたのがよくわかった」

「言っとくけど、俺はまだ優しいからな。先生なんて全身に腫瘍を作ったり、本気の時は容赦なく死の呪いを叩き込むぞ」

「…………」


 先生、危険な魔獣との戦いでは触れるだけで殺してた。

 呪闘技を使わず触れるだけで殺す。それは先生が強者と認めた証であり、手加減せずに倒すということ……一応、俺も死の呪いは教わったけど、使ったことはない。

 ま、それは別にいいとして。


「で、どうすんだ? 俺は一緒に行っていいのか、悪いのか」

「私は一緒がいいです!!」

「姫様!! まだそんなことを!!」

「じゃあアイシェラはここでお別れ。私にはフレアが必要です」

「なっ……」

「アイシェラ、お願い。私……フレアにいろいろ教えてもらいたいの」

「いや、むしろ俺が教わりたい。千年ぶりの世界で知らないこといっぱいなんだよ」

「姫様には私が手取り足取り教えて差し上げます!! あんなことやこんなことも!!」

「アイシェラ、テメーはクビだ」

「うっほぉぉぉんんっ!! じゃなくて!! ああもう!!」

「アイシェラ、忙しいなぁ」

「やかましい!! っく……はぁぁ、わかりました……そいつも連れていきましょう」


 お、アイシェラが折れた。

 つーか、今も言ったけど俺が知りたいんだよな。プリムとアイシェラに同行したのも、この世界が千年前と違うし、そもそも俺は故郷から出たことがない。まぁ……こいつらと一緒だと退屈しないけど。


「ただし。ブルーサファイア王国に入国後、姫様が無事に亡命できるまでだ」

「ああ、それでいいよ。送り届けたら次の冒険に出るし」

「ふん……それと言っておく。天使が現れたら責任を持って倒せ。姫様の御身に何かあったら、私は貴様を許さんぞ」

「はいはい。わかってますー」

「それと、姫様の初めては私の物だ。いいな」

「別にいいけど……」

「テメーのもんじゃねぇよクソ野郎が」

「くっはぁぁぁぁっ!? 姫様の言葉が突き刺さるぅぅぅっ!!」

「プリム、マジでこいつをクビにしろよ」

「考えておきます」


 というわけで、俺はブルーサファイア王国までの同行を許された。


 ◇◇◇◇◇◇


 それから、魔獣を倒しつつ海沿いの町に向かった。

 広い街道沿いなのにけっこう魔獣が現れる。俺の炎とアイシェラの剣、そしてプリムの護衛にシラヌイを付け、旅は進む。

 けっこう、面白いモノもたくさん見た。


「なぁ、あれなんだ?」

「あれは滝ですね」

「たき? 水がどどどーって落ちてるな!! すっげぇ迫力!!」

「近くに行くともっと迫力がありますよ!!」

「へぇー……なぁ、行ってみないか?」

「はい!!」

「姫様可愛い。おい貴様、姫様をむやみに連れ出すな」

「本音が最初に出るのがあんたらしいな……」


 川の流れが激しい場所の先に、スゴイ落差の地面があった。そこに水が流れ落ち、すごい音がした……世界にこんなすごい川、じゃなくて滝があるなんて。


「……ん?」

「フレア?」

「あ、いや……誰かいないか? ほら」

「え?……誰もいないですけど」

「んー……気のせいか」


 ふと、滝に人影が……まさかまた変態天使かと思ったが、どうやら気のせいみたいだ。

 すると、アイシェラが言った。


「滝もけっこうだがそろそろ行くぞ。この滝があるということは町まで近い……恐らく、明日には到着するだろう」

「お、そうか。じゃあ今日はとびっきりの野営料理を作らないとな」

「やったぁ! で、ヘビですか!?」

「お前、すっかりヘビ好きになったよな……まぁいいけど」


 この日は、全長十メートルのヘビを捕獲。大蛇の丸焼きを作り大いに盛り上がった。


 ◇◇◇◇◇◇






「目標発見」

「第七王女確認」

「呪術師確認」

「目標確認」

「戦術固定」

「よろしく頼むよみんな~♪ 呪術師の少年をツツいてくれ♪ 量産型天使クン♪」

「「「「「十二使徒の御心のままに」」」」」






 ◇◇◇◇◇◇


 もうすぐ海沿いの町に到着。とはいかなかった。

 広い街道の真ん中を歩き─────俺は気付いた。


「…………アイシェラ、シラヌイ、プリムを頼む」

「え……?」

「わかった。お前が言うなら間違いないのだろう」

『グルル……』


 アイシェラが剣を抜き、シラヌイの身体が燃える。

 俺はプリムたちから離れるように前に出ると、空から光の槍が何本も振ってきた。


「燃えろ、『火乃加具土命』!!」


 右腕をすっぽり覆う籠手を出し、炎の壁を空に造って光の槍を相殺する。

 右手の指を二本立て、空から降ってくる何者かの一つに狙いを定め『呪炎弾』を発射……うっぉお、籠手から出した呪炎弾、いつもよりデカくて速度も半端じゃない。


「─────っ!?」

「命中!!」


 空から来た何者かは五人。そのうちの一人に命中し、骨も残らず燃え尽きた。

 威力も上がってるし、呪術を込めなくても燃え尽きちまった……この籠手ヤバいっす。

 そして、残り四人。

 やっぱり天使……背中に天使の翼がありやがる。

 四人の天使は俺を囲むと、それぞれの光の槍を生み出した。


「呪術師抹殺」

「第七王女抹殺」

「呪術師抹殺」

「第七王女抹殺」

「抹殺・抹殺・抹殺・抹殺」

「……なんだこいつら。四つ子か?」


 四人は同じ顔だった。

 光の槍の形状だけ違う。

 一人は巨大な槍を両手に持ち、もう一人は帆先が長く柄の短い槍を両手に、もう一人は短剣のような槍を何本も持ち、最後の一人は普通の槍を一本構えている。


「あの、何か御用……ですよね!!」


 短剣サイズの光の槍が飛んできた。

 俺は全身を炎で覆い、籠手を構えて短剣天使に向かう。すると双剣天使が俺に向かって突っ込んできた。


「抹殺」

「知るかボケ!!」

「ごぁぁっ!?」

「お前も、邪魔ぁぁっ!!」

「ぐっぶっ!?」


 交差して斬りかかってきたのでしゃがみ、そのまま飛び上がり膝蹴り。顎にヒットし、そのまま全身が火達磨になって燃え尽きた。

 もう一人も回し蹴りで首の骨をへし折る。するとやっぱり火達磨に。


「抹殺」

「ふんっ!!」


 巨大槍天使は槍を斧のように振り下ろす。だが、火力を上げ籠手で受けると、巨大槍はジュワっと蒸発した。

 巨大槍天使の顔が驚愕に歪むと同時に顔面パンチ。巨大槍天使の顔と身体が燃えあがる。

 最後、俺は拳を構える。


「第一地獄炎、『噴射砲』!!」

「─────っ!?」


 全身の炎を後方に向かって噴射。推進力に変え、短剣天使のボディに向かって飛び殴る。

 短剣天使は火達磨になりながら吹っ飛び、消滅した。


「押忍!!」


 襲撃開始から約二分。天使は消滅した……なんか弱かった。


 ◇◇◇◇◇◇


 天使の襲撃が終わった直後。

 フレアですら気付かない上空に、一人のイケメン天使がいた。


「ふむふむ。やっぱり量産型天使じゃ傷一つ付けられない……こりゃ第五階梯天使でも無理かなぁ~……それに、戦い方を見ると彼、接近戦はすごいけど遠距離が大したことないねぇ。炎の弾を撃つだけ、それだけじゃぁオレには勝てない……」


 聖天使教会十二使徒・『風』のラーファルエルは、量産型天使という十二階梯よりも弱い天使をフレアにぶつけ、実力を測っていた。

 そして、改めて思う。


「魔神器の炎だけじゃオレには勝てない。よーし、情報は集まったしそろそろオレがツツいてやろうかな……ふふ、久しぶりに楽しくなってきた♪」


 久しぶりに、『風』のラーファルエルは楽しくなってきた。

 


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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] ラーファエルさん、情報集めに勤しんでるし、慎重だけど負ける未来しか見えんなぁwまだ炎の精霊?的なやつも何人もいるし
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