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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第十章・深き森のグリーンエメラルド

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ミカエルとアルデバロン、時々ズリエル

 聖天使教会。

 十二使徒のアルデバロン、ミカエル、ズリエルは、ズリエルの執務室にいた。

 ミカエルは苛立ち、ソファに座ったままムスッとしている。

 そんなミカエルを諫めるように、アルデバロンが言った。


「落ち着け、ミカエル」

「落ち着いてるし」

「待機命令が不満なのか?」

「当然でしょ……ムトニエル……じゃなくて、あのハイシャオとかいう奴、神様の言葉ってだけであたしらに待機とか……なによそれ」


 聖天使教会十二使徒は待機。ハイシャオを待て。

 それが天使の神『アメン・ラー』の言葉だった。

 呪術師と神。一体どういう繋がりがあるのか……ミカエルどころか、アルデバロンにもわからない。

 だが、推測はできる。


「……推測だが、呪術師があのハイシャオだけとは限らん。堕天使、黒天使の組織にも潜り込んでいる可能性もある」

「それはあたしも思う。ってか、呪術師は千年前に滅んだでしょ? 地獄炎が消えて、全ての力を失って……あたしたち天使が滅ぼした」

「ああ。地獄門も力を失い、ただの門となった。それは違いない」

「まさか、フレアの奴が魔王宝珠を全て取り込んだせいで、炎が使えなくなったなんてねー」

「……問題は、奴が地獄炎を使ったということだ」


 地獄炎。

 七つの魔王が使う炎。地獄炎の呪術師たちが使う呪いの炎。

 地獄門に眠る魔王宝珠から漏れ出た炎を使っていると天使たちは思っていた。だが、全ての宝珠がフレアの魂と同化している今、地獄炎を操れるのはフレアだけのはず。

 だが、ハイシャオは第三地獄炎を使用した。


「……神が絡んでるのかもね。地獄炎の魔王とあたしたちの神は同列の存在でしょ」

「あ、あの~……お茶です」

「かもしれん。だが……理由がわからん。なぜ神は魔王宝珠を欲しがる?」


 ズリエルが出したお茶をミカエルは一気に飲み干す。

 

「わからないわね……あのハイシャオ、フレアのこと兄上とか呼んでたし。それに、フレアと同化した魔王宝珠をなんとかするとも言ってた……」

「気になる……いや、心配か?」

「…………なによその目、ムカつく」

「ふっ……お前も女なのだな」

「……死にたいの?」


 ミカエルの翼が広がり、炎が舞う。

 アルデバロンの持つ湯飲みが真っ赤になり、お茶が一瞬で蒸発した。

 だが、アルデバロンの表情は変わらない。


「そんなことより、待機中に執務を片付けておけ。知っているぞ、自分の仕事をラティエルに押し付けていることをな」

「は、はぁ~? そ、そんなことしてないし~」

「それと、心配する必要はない」

「……なにがよ」


 アルデバロンはカップを置いて立ちあがる。

 

「地獄炎の呪術師ヴァルフレア。奴は十二使徒を悉く撃退し、お前すら倒す強者だ。たとえ同じ呪術師だろうと敗北はないだろう。それに……『呪神』タックの弟子となれば、なおさらな」

「あんた、呪神と戦ったんだっけ……」

「ああ。一撃しか入れられなかったがな」

「ふーん……」


 そう言って、アルデバロンは退室した。

 ミカエルは大きく伸びをして、ため息を吐く。


「フレア……会いたいな」


 アルデバロンの言うことを認めるのは癪だが、ミカエルはフレアに惹かれていた。

 自分より強く、頼りになる。

 もっと話をしたいし、一緒に旅も……。


「って、馬鹿みたい……あたしは天使なのに」


 ミカエルは立ち上がり、部屋を後にした。

 そして、残されたのはズリエル。


「…………なんでここで話をしたんだろう」


 ズリエルの執務室は、ミカエルの炎で酷い有様になっていた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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