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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第九章・からくりの王国パープルアメジスト

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特級冒険者序列5位ラングラングラー博士

 パープルアメジスト王国。

 王国って言うから王様がいる。んで城もある。

 城は町の一番奥に建っていたデカい建物……だと思ったら違った。

 パープルアメジスト王城は、王国の隅っこにひっそり建っていた。じゃああの一番奥にある城は……そう、それは城であって城じゃなかった。


「まさか、これがゴーレム・エンタープライズの本拠地とはなぁ」

「本拠地じゃなくて本社でしょ」

「どうでもいいよ。それより、行こうぜ」


 俺とカグヤは、王城にしか見えない会社に向かって歩きだす。

 門の前にゴーレムが二台止まっていた。どうやら門兵っぽい。

 すると、ゴーレムが喋った。


『お待ちしていました。フレア様、カグヤ様ですね? 社長がお待ちですので、中へお進みください』

「うおっ……しゃ、喋ったぞ」

「実装型なのかな?」

『いえ。遠隔起動です。では、案内ゴーレムに付いて行ってください』


 門が開き、車輪が付いた小さなゴーレムが出てきた。

 カグヤと顔を見合わせ、とりあえず案内ゴーレムに付いていく。

 城の中庭を進んでいくと……。


「わぁ……ゴーレム、ゴーレムゴーレム、ゴーレムだらけ」


 そう、中庭は大型ゴーレムだらけだ。

 車輪付きやタンクタイプ、二脚や四脚型など様々だ。まるで巨大ゴーレムの集会だな。

 すると、案内ゴーレムが言う。


『こちらは屋外ハンガーになります。各企業が提出したオリジナルゴーレムを作成した専用ハンガーです。ゴーレム・エンタープライズ製のゴーレムは社内地下にあります』

「へぇ~、面白そうね」

「だな。それとも戦ってみたいなぁ」

『……まずは、社長にお会いください』


 案内ゴーレムに案内され、城の中へ。

 城の中は、外観とは大幅に違っていた。壁はよくわからん材質で真っ白な壁だし、ランプじゃなくて白い光が室内を照らしている。研究員っぽい服装の男女がいっぱいいて、何やら小難しい話をしながら歩いていた。 

 それに、ガラス張りの個室だらけだ。個室内ではゴーレムのパーツっぽいのを何人かで囲んで話し合っているし……素人の俺じゃ何を話しているのかさっぱりだ。もちろんカグヤも。


「で、ラングラングラー博士はどこ?」

『こちらです』


 案内ゴーレムはよどみなく動いて城の中を進む。

 扉の前で止まり、扉横のスイッチを押すと扉が開いた。

 中は狭く、行き止まりだ。


『昇降機です。これで最上階まで進みます』

「「……?」」

『さ、中へ』


 中に入ると扉が閉まり、一瞬の浮遊感……そして、ドアが開くと景色が変わっていた。

 

「え、なにこれ!?」

「なんかふわふわするな……」

『ここが社長室です。中で社長がお待ちです』

「あ、どーも」


 大きなドアが目の前にある部屋だった。

 案内ゴーレムがドアをノックすると、中から『うんうん、入っていいよ』と声が聞こえた。

 案内ゴーレムがドアを開け、俺とカグヤは中へ。


「うんうん。いらっしゃい。悪いね、わざわざ来てもらって」


 そこにいたのは、特級冒険者序列5位ラングラングラー博士だった。


 ◇◇◇◇◇◇


「うんうん。じゃ、仕事の話しようか」

「いきなりだな……まぁ楽でいいけど」


 クレイ爺さんはサイドテーブルにあった水差しを掴み、そのままがぶ飲みした。いやグラス使えよ……って思ったが、『特級冒険者は頭がおかしい』の言葉を思い出す。

 そして、花瓶に生けてあった花の茎を掴み、そのままモグモグ食べ始めた。


「うんうん。植物植物。自然食品は美味しいねぇ」

「「…………」」

「さて、仕事だけど」


 て、テンポ掴みづらい……なんだこいつ。

 俺とカグヤはアイコンタクトし、余計なことは言わずさっさと話しをさせることにした。

 クレイ爺さんは、花を食べ終えると言う。


「きみたち、小生の試作品と最高傑作と戦って欲しいのよ」

「やる!!」

「おいカグヤ、最後まで聞こうぜ」

「むー」


 俺は続きを促す。


「小生の最高傑作、造ったはいいけど会社のゴーレムが束になっても適わなくてねぇ……理論上では、黄金級十二体を一体で相手できるスペックを持つんだ」

「それヤバいだろ……なんでそんなもの作ったんだよ」

「そりゃ思いついたからさ」


 うん……こいつも頭おかしいわ。

 思いついたから作るとか、あとのこと考えろよ。


「それと、試作型だけど。新型の実装型ゴーレムを作ったんだ。それの性能実験もしてみたい。うんうん。けっこうヤバいシステム組み込んでみたし、いろいろデータ取りたいんだよね」

「けっこうヤバい……?」

「うんうん。それを確かめて欲しいんだ。頼むよ」

 

 つまり、クレイ爺さんの作ったゴーレムと戦えってことか。

 カグヤは目を輝かせてるし……まぁいいか。それに、黄金級を超えるゴーレム、興味ある。

 

「じゃ、やるか」

「決まりね!」

「うんうん。よかったよかった。じゃあ冒険者ギルドに指名依頼出しとくから受けてね。ギルド長に口添えしておくから、依頼成功した暁には等級がアップするから」

「え、マジで?」

「やったぁ!」

「もちろん、報酬も払うよ。なにがいい? お金?」


 と、ここでカグヤと俺は顔を見合わせる。

 事前に、メイカから頼まれていたことがあった。


「じゃあさ、俺の仲間がゴーレムを所有する権利をくれよ」

「え? そんなことでいいの? うんうん、いいよ」

「よーし決まりね!」


 ゴーレムは、許可がなければ所有できない。

 現在、アイシェラは違法で所持している状態だ。今のままじゃパープルアメジストからゴーレムを持ちだすことができない。

 クレイ爺さんはちり紙に何かを書き、ポケットから取り出したハンコを押す。


「はい。これを一階の受付で見せて。そうすれば許可証出るから。それとギルドで依頼受けたら戻ってきて。すぐに実験始めるから。うんうん」

「お、おお。ってかこんなちり紙で許可証とか……」

「ほらフレア、行くわよ!!」

「お、おい、引っ張んな!!」


 カグヤに引っ張られ、俺は部屋の外へ出た。


「さーて……小生も準備準備」


 扉が閉まる直前に見たクレイ爺さんは、子供のように嗤っていた。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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