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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第九章・からくりの王国パープルアメジスト

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モルガン整備工場の優勝

 モルガン整備工場の優勝。

 モルガンとメイカは莫大な優勝賞金を手に入れた。いや……賞金はあくまでついで、本命はオリジナルゴーレムの販売権利と、ゴーレム・エンタープライズ規格のゴーレム販売権だ。

 これがあれば、モルガン整備工場で作ったオリジナルゴーレムを販売できる。明日のオリジナルゴーレム大会でモルガンの『キュータマ1号』をアピールすれば、きっと売れる。


 賞金もあるし、エルモアの一等地に店舗を構えることも可能だ。

 工場も建て直せるし、少しずつ生活も楽になっていくことだろう。

 こんな話を、優勝パーティーをするためにやってきた城下町の居酒屋でしていた。

 

「あの、本当にいいんですか……? 優勝賞金」

「いいよ。なぁみんな」


 困惑するメイカに、俺は言う。

 アイシェラもプリムもカグヤもクロネも、みんな頷いた。ってか、俺たち別に金に困ってないしな。

 アイシェラは、エールを飲みながら言う。


「工場を建て直すのに金が必要だろう。今日、この居酒屋で奢ってもらうだけで十分だ」

「う、むぅ……でも、それじゃボクたちの気が晴れないというか」

「構いません。わたしたち、すっごく楽しかったですしね、フレア」

「おう。黄金級ゴーレムと戦えてサイコーだったぜ!」

「いや、普通は喜ぶことではないのだが……こほん。そこまで言うのなら甘えよう。それに、明日はオリジナルゴーレム大会がある。ふふふ、そこでも優勝して、さらに賞金を……」

「兄さん、欲張るのはよくないよ。ゴーレム販売権に優勝賞金だけで十分じゃない」

「いや! ボクの設計士としての腕前を見せる機会なんだ! ぜったいに優勝してみせぇる!!」


 モルガンは立ち上がり右手を突き上げる。

 それを見たカグヤが言う。


「はりきるのはいいけど、大丈夫なの? 明日、アタシもフレアもいないのよ?」

「護衛なら私に任せろ。ブルーパンサーがいる今、天使にも後れを取らん」


 アイシェラ専用実装型ゴーレム、ブルーパンサー。

 アイシェラのほぼ全財産をつぎ込んで作ったゴーレムだ。今は整備場で寝ている。

 それを聞いた俺は、ちょっとだけへこんだ。


「はぁ~……シラヌイ弐型」


 シラヌイ弐型。

 アクエリアスとの戦いで大破しちゃったんだよな……メイカも渋い顔してたし、修理は無理っぽい。

 新しいのを作ることはできるけど、それはもうシラヌイ弐型じゃない。敢えて言うなら参型だ。

 同じく、カグヤのハヤテ丸も壊れてしまった。


「ハヤテ丸……かっこよかったのに」

「ご、ごめんなさい……メインフレームが損傷していたので、修理しても全く別物になっちゃいます。それはもう、フレアさんとカグヤさんの使っていたゴーレムとは別物で……」

「ま、いいよ。なぁカグヤ」

「ええ。楽しかったしね、ちゃんと供養だけしといて」

「はい……」


 それに、俺とカグヤは生身のが強いからな。

 しばし、料理をモグモグ食べていると、今まで静かだったクロネが言う。


「ところであんたら、明日はラングラングラー博士のところに行くにゃん?……その、あまりいい噂は聞かないから、気を付けるにゃん」

「「噂?」」

「わわ、フレアとカグヤ、また被りました」

「仲がいいことだ……全く」

「ちょっと、こいつと仲がいいとかやめてよ」

「話が進まないにゃん……」

「いいから、話せよクロネ」

「にゃん」


 クロネはジュースを飲み欲し、喉を潤した。

 ネコミミがぴこっと動き、尻尾もくるんと揺れる。


「特級冒険者は、基本的に頭の狂ったやつばかりにゃん…………序列四位ブリコラージュみたいな」


 ブリコラージュ。

 ああ、俺が『禁忌』で呪った女か。今頃苦しんでるだろうなー。


「序列五位『魔動探求狂学者クレイジー・マッド・ラプソディア』ラングラングラー・マッドサイエンティスト・デ・ラノ・スパンキーデンジャラス。噂では『黄金級(ゾディアック)』を超えるゴーレムを開発しているとか、人間の内臓とゴーレムの部品を『交換』する実験を行ってるとか……」

「こわっ……マジかよ」

「あくまで噂にゃん。でも、頭のネジがぶっ飛んでる人ってのは事実らしいから気を付けるにゃん」

「特級冒険者ねぇ……」


 カグヤがしみじみと呟く。

 クロネはジュースをお代わりして言う。


「特級冒険者の七人はこんな感じにゃん」


序列1位『覇王拳(はおうけん)』メテオ・ブルトガング

序列2位『天上天下(てんじょうてんげ)』イザナギ

序列3位『乱れ髪(ミダレガミ)』ヨモツシコメ

序列4位『虹の魔法使いアルコバレーノ・ウィッチ』ブリコラージュ・デ・アルコバレーノ

序列5位『魔動探求狂学者クレイジー・マッド・ラプソディア』ラングラングラー博士

序列6位『血祭組組長ちまつりぐみくみちょう』ゼンジュウロウ・チダマリ

序列7位『森人(ハイエルフ)』ナクシャトラ


「みんなバケモノばかりにゃん。ブリコラージュは再起不能、ナクシャトラはグリーンエメラルド王国にある聖域の森から出てこない、メテオ・ブルトガングは所在不明、イザナギとヨモツシコメは自分の王国をどっかに作って神様気取り、ゼンジュウロウ・チダマリは裏組織の大ボスって話にゃん」

「ロクなのいないわね……」

「できれば会いたくないな。特にお嬢様には関わらせたくない!!」

「なんでもいいよ。特級冒険者はともかく、クレイ爺さんは何の用事だろうな?」

「それを確かめるのがあんたとカグヤの仕事にゃん。うちらはモルガンの晴れ舞台を見てるから、せいぜい頑張るにゃん」


 用事ねぇ……ろくでもないことにならないといいけど。

 つーか、俺としてはモルガンのオリジナルゴーレム大会見たいんだけどなぁ。モルガンもメイカも「ゴーレム・エンタープライズのトップからの指名を無視なんて許さない!」とか言うし……はぁ。

 

 とりあえず、さっさと終わることを祈りたい……マジで面倒くさい。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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