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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第九章・からくりの王国パープルアメジスト

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優勝の権利

「そうそう! 喜びなさいフレア。すっごくいい話があるの」

「……なんだよ急に」


 試合まで時間があるので柔軟していると、カグヤが嬉しそうに言う。

 ちなみに、俺たちの試合は第一試合。順番は抽選クジで決めたのだが、メイカが引いたくじが『1番』……つまり、第一試合に当たったのだ。

 メイカのくじ運すげー……本人も泣きそうになってたし。


「で、なんだよ」

「ふふん。優勝者の権利よ」

「権利? ゴーレム販売できるとかじゃねーの?」

「それもあるわね」


 ここで復習。

 オリジナルゴーレム大会とゴーレムバトル大会で優勝した企業は、自社が作ったオリジナルのゴーレムを製造、販売する権利を得ることができる。

 それがないと、『ゴーレム・エンタープライズ』が作ったゴーレムしか販売してはいけないという決まりなのだ。だから各企業は、一年に一度開かれるこの大会で優勝を目指している。大会期間中だけ、自社が作ったオリジナルゴーレムを使用していい決まりだからな。

 はい、復習終わり。


「で、権利って?」

「聞いて驚きなさい! なんと、優勝企業には『黄金級(ゾディアック)』と戦う権利をもらえるのよ!」

「え、なんだそれ」


 さすがに驚いた。黄金級って……マジで?

 すると、キュータマ二号を磨いていたメイカが補足する。


「実は、会場に『玄人(スペシャリスト)』ゴーレムマスターと、二体の黄金級ゴーレムが来ています。黄金級の技術を見せるため、大会優勝企業とのスペシャルマッチを行うんです……実は、サプライズだったようで、開会式でわかりました」

「おおー……じゃあ、なんの問題もなく黄金級と戦えるのか!」

「そーゆうこと!」


 カグヤが手を出したので俺も出しハイタッチ。

 二体ってことは、俺とカグヤで一体ずつか。


「初めて見ました……『黄金級(ゾディアック)』ゴーレム、『獅子座(レオ)』と『水瓶座(アクエリアス)』……そして、玄人(スペシャリスト)ゴーレムマスターのドミニク様とレイニーゼ様」

「すげぇの?」

「んー、デカい銀色の獅子と水色の壺ね」

「……獅子はわかるけど、壺ってなんだ?」

「知らないわよ。デカい壺持った女みたいなゴーレムよ」

「ふーん。ま、別にいいや」

「あ、獅子はアタシがやる。めっちゃ面白そうだし」

「はいはい。俺が壺か……」

「……なんでこんなに楽天的なの?」


 メイカが額を押え、ため息を吐いた。


 ◇◇◇◇◇◇


 というわけで第一試合。

 係員が呼びに来たので、ゴーレムを連れて会場入り……で、驚いた。

 会場は、とんでもない人数であふれかえっていた。


「「「「「ワァァァァーーーーーーッ!!」」」」」

「うおっ」

「うるさっ」

「…………すごい」


 中央の巨大なオリハルコン製ステージを囲むように観客席がある。

 プリムたちは最前線の、仕切りがされた個室みたいな場所にいた。椅子に座り、軽食まで用意されている……いいなー。

 モルガンが立ちあがって何やら叫び、アイシェラがやかましいとモルガンを叩き、それをプリムが止め、クロネはクッキーを齧りながら欠伸していた。

 俺は軽くプリムたちに手を振ると、プリムがブンブン手を振る。


「すごいわね。ここ、何千……いや、何万人いるのかしら?」

「五十万人です。この会場は五十万人入れるように設計されています」

「アホみたいな数字だな……お、見ろよ」


 会場がさらに熱狂した。

 理由は、俺たちの真正面にある巨大なゲートから、デカい三体のゴーレムと、タンクトップにハゲ頭の三人組なぜかすごいムキムキがやってきたからだ。


「あれが『タンクファクトリー』……スキンヘッドにタンクトップがトレードマークの、タンク系ゴーレム専門の企業……!!」

「メイカ、張り切ってるわね」

「でも、けっこう強そうだぜ」


 タンク系ゴーレム。

 下半身が箱みたいになってて、小さな車輪がいくつも付いている。

 両腕はガトリング砲や大砲になってるし、とにかく全身がゴツかった。

 

「「「うーっ!! マッスル!!」」」

「「「「「「「「「「ウォォォォォーーーーーーッ!!」」」」」」」」」」


 三人が妙なポーズをとると、会場がさらにヒートアップ……いや、なにこれ。

 

「あれがマッスルポーズ……初めて見ました。タンクファクトリーの戦いの儀式!!」

「「…………」」


 俺とカグヤはドン引きだ。

 すると、会場内に声が響く。


『えー、お待たせしましたぁ!! これより第一試合。タンクファクトリーVS初登場!! モルガン整備工場の試合を始めまぁぁーーっす!!』

「「「「「ウォォォォォーーーーーーッ!!」」」」」

『わたくし、本日の試合解説をさせていただきます、不器用で整備はできないけど知識だけは誰にも負けないゴーレム解説者、マックスでーっす!! よろしくぅ!!』

「「「「「マックス!! マックス!! マックス!!」」」」」

『セインキュゥ!! ではでは、面倒くさいルール説明だ!! ルールは簡単。一対一の総当たり戦!! 先に二勝した企業の勝利!! 棄権はできるが生死は問わない!! 死んでも文句ないよなぁ!?』

「「「「「あるかボケーーーーーーッ!!」」」」」

『そう!! ま、【実装型】や【装備型】でもない限り、死にはしないっしょ!! はい説明終わり!! さぁさぁ、第一試合、最初の最初出てこーいッ!!』


 うるっせぇなぁ……マックスとかいう解説、やかましすぎだろ。

 あ、そういや順番決めてねーや。


「じゃ、俺行くわ」


 そう言って、シラヌイ弐型とステージに上がる。


「あーっ!! アンタ、おいしいとこ持ってくのズルい!!」

「あっはっは。早いモン勝ちだぜ?」


 ステージに上がると同時に、透明な膜のような物が張られた。

 

『当然だが、観客のみんなを守るために、オリハルコン製の防護膜を張らせてもらうぜ? みんな、安心して観戦してくれよな!!』


 なるほどね。マックスの声はやかましいが解説はありがたい。

 目の前には、タンク系ゴーレムとハゲ頭のゴーレムマスターが。ゴーレムマスターはリングの外で腕組みをしている。


『さぁ、準備はいいかぁ!? そっちの兄ちゃん!! ゴーレムを装備するならさっさとしな!!』

「はいよ。よし、いくぞシラヌイ弐型」

『ワン!!』

 

 メイカの改造により、シラヌイ弐型の装甲は強化され、ちょっとだけ武装も付いた。

 たぶん使うことないけど、相棒だし素直に喜ぼう。


「実装」

『ウェアライズ』


 シラヌイ弐型が分離し、俺の右腕と右半身にシラヌイ弐型がくっつく。

 鎧と考えるのが普通だが、これは俺の動きを邪魔しないようにくっつくようにしている。だってゴーレムいないと試合に出れないからな。


「うし、完了……いくぞ」


 甲の型で構えを取ると、タンク系ゴーレムの砲身が俺に向く。


『それでは、レディィィ~~~~~~ッ!! ゴーレムファイトォォォッ!!』


 マックスの合図の元、試合が始まった。

 さぁて、思いっきり暴れてやりますか!!

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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