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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第九章・からくりの王国パープルアメジスト

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ゴーレムバトル大会・本選

 早朝。

 俺は一人、パープルアメジスト王国から離れた平原にいた。

 見渡す限り、周りにはあまり物がない。近くに大きな泉と大きな岩があるくらいで、魔獣の気配もない。

 

「ふぅ~……」


 呼吸を整え、精神を集中。

 ゆっくりと構えを取り、全身の力を抜く。

 ゆらり、ゆらりと拳を突き、足を高く上げ、身体をほぐしていく。

 一通りの動きを終えた俺は精神集中───そして、カッと目を開いた。


「第一地獄炎、『火炎砲』!!」


 両手に真っ赤な炎を集中させ放つ。

 炎はまっすぐ飛び、大地を焦がした。

 そして、そのまま右手に炎を纏わせ、上空に向けて拳を突き出す。


「第一地獄炎、『紅蓮焦天(ぐれんしょうてん)』!!」


 右拳から、螺旋を描くように炎が発射される。これは上空にいる敵を焼き尽くす技だ。

 そしてそのままダッシュし、全身に炎を纏わせる。


「第一地獄炎、『烈火衝突(れっかしょうとつ)』!!」


 炎を纏った体当たりは、三メートル以上ある大岩を粉々にする。そして、岩の破片がメラメラ燃えた。

 第一地獄炎を解除した俺は、近くの泉に向かって飛ぶ。

 そして、右足を青い炎で燃やし、泉の中心に向かって着地───泉の中心、俺の足下だけ凍り付いた。


「第二地獄炎、『ヴォーパル・ニードル』!!」


 泉から細い氷の槍が何本も突き出す。

 俺はその槍を二本掴み、近くに岩に投擲した。


「第二地獄炎、『ダーツ・オブ・ブレイク』!!」


 岩に突き刺さった一本目の氷の槍が岩を凍らせ、二本目が岩を砕いた。

 氷を解除し、俺は跳躍。背中から緑色の炎が噴射する。


「第五地獄炎、『緑炎(りょくえん)モルフォ蝶』」


 背中の炎から緑色の蝶が何匹も舞う。

 蝶が近くの岩に止まると、そのまま緑色の炎となって燃えだした。

 そして、何匹もの蝶が止まった岩は、緑色の炎に包まれ、あっという間に灰すら残らず消えた。

 これは炎を宿した蝶。気体を操る蝶だが、本来の特性である炎を内包させた。この蝶が身体に止まった時、その対象は燃え尽きるって技だ。

 俺は第五地獄炎を解除。そのまま左手に『大地の爪(テラ・ペ・ウェイン)』を装備する。


「第三地獄炎『大地讃頌(だいちさんしょう)』───【砂蜥蜴】!!」


 着地と同時に左手を地面に突っ込み、一瞬で周囲の大地を砂に変える。

 そして、砂を固めて全長一メートルほどのオオトカゲを作りだした。

 数は三体。砂地に踏み込んだ獲物を狩るオオトカゲだ。


「───よーし、こんなところか」


 炎を解除するとオオトカゲは消え、地面も戻る。

 俺は両手をプラプラさせ、首をコキコキ鳴らし、大きく伸びをした。


「いやぁ~……街中じゃ炎は使えないし、たまには思いっきり暴れたいよなぁ」


 早朝。わざわざパープルアメジスト王国の郊外に来たのは、久しく使っていない地獄炎を思いっきり使うためだ。

 久しぶりに使うと気持ちいい。

 ゴーレム相手だと呪術も使えないし、こうやって身体を使うのはいい運動になる。

 修行は継続してるけど……たまに、格上と戦ってみたい気持ちが強くなる。


「格上、か……」


 ふと、あの呪術師たちが思い浮かぶ。

 

「ジョカ、だっけ……あいつ、かなり強かったなー」


 流の型を使い、俺の拳を流した。

 技を受け流す技、他の流派にもあるかもしれないけど……あいつは確かに『流の型』って言った。

 それに、もう一人。ハクレンとかいう女もいた。


「呪術師……村出身じゃないとは言ってたけど。他にも呪術師っているのか? でも、あの炎……ジョカってやつ、紫の炎使ってた……焼き鳥は何も教えてくれないし、わけわかんねーや」


 俺は地面に座り、そのまま寝転がる。

 空は青く、今日もいい天気だ。


「───ま、俺は俺だ」


 起き上がり、そのまま立ちあがる。

 他に呪術師がいるならそれでいい。俺が千年前に死んで、地獄炎を取り込んで復活したことに変わりない。だったら、それでいい。

 そう思った瞬間───俺は手を背後に伸ばす。


「ふにゃぁっ!?」

「って、なんだクロネか……いきなり背後に立つなよ」

「にゃにゃ……て、手を離すにゃん!!」

「ん、ああ」


 俺が伸ばした右手は、ふにふにとした柔らかい物を掴んでいた。

 どうやらクロネの胸を鷲掴みしていたようだ。うーんやわっこい。ヴァジュリ姉ちゃんのも触ったことあるけど、女の胸ってなんでこんなに柔らかいんだろう。

 

「ま、また揉まれたにゃん……うぅぅ」

「で、なんか用か?」

「……開会式が始まるにゃん。さっさと行くにゃん」

「あ、もうそんな時間か」


 睨むクロネの頭を撫でると手を払いのけられた。うーん、怒らせちゃった。

 

「じゃ、行くか。開会式はどうでもいいけど、試合に遅れるわけにはいかないからな」

「……ってか、準備運動とかいってこんな郊外まで行くにゃ。うち、けっこう探したにゃん」

「悪い悪い。あとで魚買ってやるから」

「いらな……まぁ、許してやるにゃん」


 魚と聞いて、クロネのネコミミと尻尾が揺れた。

 さて、機嫌もよくなったし、戻るとするか。


 ◇◇◇◇◇◇


 クロネと一緒に本戦会場へ向かうと、案の定だった。


「ひ、人多すぎ……なんだこれ」

「観光客、ゴーレム関連企業、町の住人や他国からの貴族、まだまだいっぱいにゃん」


 人込みが酷かった。

 クロネはスイスイと人を避けて進み、俺もクロネについて行く。

 会場前は、さらに盛り上がっていた。

 大きなボードの前には対戦名簿やトーナメント表が張られ、さらに賭けまで行われている。

 出店やトイレには大勢並んでいるし、正直息が詰まりそうだ。


「こっち、関係者用の入口にゃん。参加企業と選手だけの入口があるにゃん」

「おお、ありがとな」

「にゃん。うちは企業用の観客席に行くにゃん。プリムたちがいるはずにゃん」

「わかった。人いっぱいいるし、気を付けろよ」

「にゃん。企業用の観客席には護衛が付くし、大勢の前で暴れる馬鹿はいないにゃん」

「それもそうか……」

「控室はまっすぐ行けばいいにゃん。じゃ」


 そう言って、クロネはすいすいーっと消えた。

 俺も関係者入口から控室へ。控室に『モルガン整備工場』と書かれたプレートがあったのでそこへ入る。

 

「よぉ、遅くなった」

「遅い! 開会式もう終わったし!」

「悪い悪い。準備運動してたら遅くなっちまった」

「アタシも行きたかったのに!! あんたばっかり「はいはい、落ち着いてください」


 荒ぶるカグヤをメイカが止める。

 メイカは、深呼吸して俺に言う。


「フレアさん。いよいよ本選です……組み合わせは確認しましたか?」

「いや、ぜんぜん」

「…………まぁいいです。最初はパープルアメジスト王国の大手企業、『タンカーズファクトリー』です。タンク系ゴーレムを作りだした有名企業……き、緊張します」

「タンク系?」

「…………」


 メイカに呆れられました……ちなみにタンク系ってのは、下半身が足じゃなくて車輪になっているゴーレムらしい。二脚より移動性に優れてるだってさ。

 

「ま、そんなの関係ないわ。ねーハヤテ丸」

『ウォウ!』

「俺たちも頑張ろうな、シラヌイ弐型」

『ワン!』

「……ま、まったく緊張してない」


 さて、試合までシラヌイ弐型を撫でてやりますかね。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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