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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第九章・からくりの王国パープルアメジスト

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参加決定!

「ゴーレムバトル大会? おお、出てくれるのかい!?」


 さっそくモルガンにゴーレムバトル大会のことを話すと、なぜか目をキラキラさせて俺の手をがっちり掴んでブンブン振る……なんか、意外にも意欲的だ。

 俺はモルガンから手を放す。


「ああ。ってかこっちから頼もうと思ってたんだけど」

「いやいやいや!! ゴーレムバトル大会にも参加してみたかったんだけど、ゴーレムマスターを雇うお金はないし、今までは参加を見送ってたんだ。でも……きみたちが参加してくれるなら、喜んで登録するよ!!」


 モルガンは鼻息をフスフスさせながら立ち上がる。

 すると、ため息を吐いたメイカが言った。


「あの、本当にいいんですか……? バトル大会は完全な自己責任、怪我とかはもちろん、ゴーレムマスターが死んでも文句の一つも言えない、ある意味危険な大会です」

「そんなの怪我しなきゃいいだけでしょ!! ってか、アタシが負けるわけないじゃん」


 カグヤは胸を張る。

 そして、プリムがそっと挙手した。


「あの、怪我なら治せます」

「ふんっ!!……お嬢様、怪我しちゃいましたので治してぇ~♪」

「アイシェラ邪魔」

「あうぅんっ!!」


 プリムに治してもらいたいがために机に頭を打ちつけたアイシェラを無視した。

 メイカは、少しだけ悩み、うなずいた。


「わかりました。では、ゴーレムバトル大会にエントリーしましょう。結果はどうであれ、参加実績が付けば後々有利になるかも……」

「メイカよ。目指すは優勝だぞ? くふふ、オリジナルゴーレム大会にゴーレムバトル大会……まさか、両方に参加できるとは!!」

「にゃん……じゃあ、細かい話を詰めるにゃん」


 クロネが懐から何枚かの羊皮紙を取り出し、テーブルに並べた。


「ゴーレムバトル大会は、三対三の総当たり戦にゃん。それぞれの企業はゴーレムとマスターを三人登録する必要があるにゃん。それと、形式上、フレアとカグヤもゴーレムを使わないとダメにゃん」

「こ、これ……ゴーレムバトル大会の応募用紙、ですよね?」

「こんなこともあろうかと、準備しておいたにゃん」


 メイカが驚きの視線をクロネに向けるが、クロネは適当に返事した。

 三人登録ってことは……。


「俺とカグヤ、あと一人か……」

「……私はやらん。私がお嬢様の傍から離れるわけがないだろう」

「だよなー……」

「……うちも嫌にゃん」

「まだ何も言ってないぞ」

「言いそうだったにゃん」

「あ、あの……私が」

「お嬢様、命に代えても止めさせていただきます」


 俺とカグヤはともかく、参加者があと一人足りない。

 すると、モルガンが眼鏡をくいッと上げる。


「ふふ、もちろん「あたしが出ます」……え?」


 メイカが言った。


「ゴーレムバトル大会、あたしが三人目になります。兄さんはオリジナルゴーレム大会を」

「え? お、おいメイカ……それはボクが」

「駄目。兄さん、最高傑作を紹介するんでしょう?」

「だ、だが……」

「いいから! じゃあ名前を書きますね。それと、フレアさんとカグヤさんのゴーレムもなんとかしないと……」

「それなら、うちにいい考えがあるにゃん」


 メイカが応募書類に名前を書き、登録ゴーレムも決めた。

 

「ふんふん。実装型ですか」

「にゃん。こいつらは素手でゴーレムを叩き壊せるにゃん。実装は最低限で、動きに支障がないタイプで。形は任せるにゃん」

「なるほど。実装型なら、ゴーレムマスターじゃない人でも使えますしね」

「にゃん。それで、いつまでできるにゃん? 応募締め切りが明日までにゃん。今日中に提出したいにゃん」

「えっと……じゃあ、フレアさん、カグヤさん」

「ん?」

「なーに?」

「好きな動物はなんですか?」

「犬」

「狼」

「……わかりました。じゃあ、さっそく作らせてもらいます」


 よくわからんが、メイカはスクラップを漁り始めた。

 また明日来てくれということで、今日は帰ることに。

 クロネは書類を提出しに『ゴーレムバトル大会・事務』とかいう窓口に行った……クロネ、かなり本気になってるな。


 ◇◇◇◇◇◇

 

 翌日。

 再びみんなでモルガンの工場へ。

 何度か来ているので迷わず来れた。さっそく工場内へ入る。


「ちーっす。来たぜー」

「あ、いらっしゃい。さっそくですけど、最終調整したいので、フレアさんとカグヤさん、ちょっといいですか?」


 メイカが、金属製の犬と狼の前でガチャガチャやっていた。

 これにはカグヤが興味津々だ。


「なにこれ!!」

「簡易版ですが、実装型ゴーレムを作ってみました。その、パワーアシスト機能とかも付けたかったんですけど……素材も時間もなかったので、有り合わせの合金板で組んだだけですが……」

「これ、ゴーレムなのか……犬だよな?」


 赤い鉄製の犬と、緑色の狼だった。

 なぜかクロネが言う。


「ふっふっふ。ちゃーんと昨日のうちに登録はしたにゃん。二人とも、このゴーレムを使って予選会で入賞、そして本選でも優勝するにゃん!!」

「クロネが張り切ってます!」

「……妙な欲望の影がチラついて見えるな」


 プリムはにっこり笑い、アイシェラは不審げだった。

 だが、俺とカグヤは目の前にあるゴーレムに魅入っていた。

 

「で、どうやって使うんだ?」

「はい。まずは音声登録しますので……」


 メイカが出した妙な鉄の塊に声を吹き込み、それをゴーレムの体内に入れる。

 それだけで終わった……簡単だな。


「これで登録完了です。あとは音声認識で実装できます。コマンドは【実装】です」

「「実装?」」


 カグヤと被って言うと、ゴーレムの眼がギラっと光った。


「「『ウェアライズ』」」

「「え」」


 すると、ゴーレムが変形した。

 赤い犬が分解し、左腕と左足に装着される。右半身はいつもと変わらず、犬の頭が左肩にくっついた。

 カグヤは、背中と右腕に狼がくっつき、狼の頭が右肩にくっついた。

 これで実装完了。なんとなくカグヤと顔を見合わせる。


「ど、どうでしょう? クロネさんの言う通りに作ったんですけど……」

「にゃふふ。どうにゃん?」

「……なんか、いいな」

「うん!! すごいわね……このくらいなら動いても邪魔にならないわ」

「だな。へへ、ゴーレムと思いっきり戦えるってわけか」


 俺とカグヤは軽く動いてみるが、特に動きに支障はなかった。


「本来、実装型はパワーアシスト機能や各種武器を内蔵して、装着者の戦闘機能を高めるモノなんですけど……まさか、装着者の負担にならないような装備って聞いて驚きました。普通の実装型とまるで逆なんですもの」


 メイカがくすくす笑う。

 ま、普通のゴーレムなんかより俺とカグヤは強いからな。

 ここで、プリムが言う。


「そういえば、モルガンさんは?」

「兄さん、オリジナルゴーレム大会に出すゴーレムの調整をしています。一度やり始めると朝まであのままです……ほっといてください」


 メイカが苦笑した。

 そして、カグヤがクロネに聞いた。


「そーいや、バトル大会っていつ?」

「明日、予選にゃん」

「「明日!?」」


 またもやカグヤと被った。

 明日って……いきなりすぎだろ。

 

「お嬢様、我々は高みの見物といきましょうか。もちろん二人きりで」

「クロネ、シラヌイ、一緒に観戦しましょうね!」

『わん!』

「参加関係者は、最前列で見れるにゃん。一応うちらも関係者ってことで登録しておいたにゃん」

「やった! ありがとクロネ!」

「ぐぬぬ……クロネめ、お嬢様に気に入られようとするなんて!!」

「……面倒くさいにゃん」


 ギャーギャー騒ぎ出したアイシェラは無視。

 俺とカグヤは鎧の感触を確かめていた。


「明日かぁ……楽しみだな」

「そうね。ふふ、最近遊んでばっかりだし、たまには運動しないとね!」

「だな……よっし、頑張るぞ!」


 目標は、予選突破。

 久しぶりに、思いっきり遊べそうだ!

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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[一言] これは……大丈夫なのか?w
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