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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第九章・からくりの王国パープルアメジスト
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買い出しとゴーレム

 買い出しをちゃっちゃと終えた俺たちは、荷物を置いて再び町へ。

 手ぶらで町を歩き、気になった店の覗いてみる。


「あ、なんだかいい匂いがしますー」

「肉!! 肉の匂いだ!!」

「見てみてあそこ!! 串焼き売ってるわよ!!」


 カグヤが指さした先に、露店があった。

 串焼きが売っていたので三本購入。俺とカグヤは豪快にかじり、プリムはちょっとオロオロしていた。

 そして、意を決したようにガブっとかじる。


「ん、ウマイな。塩利いてる」

「んー!! しあわせねぇ~♪」

「こ、こういう食べ方、すっごく憧れてました!! おいしいですー!!」


 ガフガフと肉をかじるプリム。

 町を歩きながら露店巡りをしてお腹を膨らませ、冷たい果実水を買って町の公園に来た。

 公園は狭く、ベンチくらいしかない。なんとも寂しいね。

 とりあえず、果実水のカップを持って座る。


「はぁ~、腹いっぱいになったかな」

「そーね。じゃ次は買い物しましょ!! 買い出しじゃない、面白そうなもの!!」

「面白そうなもの……この町でしたら、ゴーレムでしょうか?」

「あ、そういや……ゴーレムのパーツショップとか、ゴーレム本体を売ってる店があったな」

「お、いいわね。行ってみる?」


 果実水を飲み欲し、カップをゴミ箱へ。

 三人で並んで歩いていると……馬鹿は寄ってくるもんだなと思い知らされた。

 町の大通りに出ようと、人通りのない裏道を通ったところ。


「へっへっへ……兄ちゃん、ちょっといいかい?」

「カワイイ子連れてんじゃん。どっちかくれよ?」

「ぶひひ、金髪と銀髪……お、おっぱい大きいんだな」


 不細工なチンピラに絡まれた。

 どこにでもこういう馬鹿はいるもんだな。

 とりあえず、俺は言う。


「やめとけやめとけ。こっちの金髪の子はともかく、こっちの銀髪はガチな狂犬だぞ。ゴーレムを素手で蹴り壊すような魔獣に手を出したら、お前ら全員蹴り殺されるぞ」

「……アンタ、死にたいようね」

「ふ、フレア!! 言いすぎですぅ!!」

「だって事実だし。なぁ?」


 不細工三人組に言うと、なぜか切れた。


「兄ちゃん、舐めんじゃねぇぞ!!」

「そうだそうだ!! オレらC級冒険者クラン『エルモアの肉食獣』を相手に落ちなかった女はいねぇ!! へへ、男付きだろうと可愛がってやるぜぇ?」

「お、おっぱい……うひひ、ぶっひひぃ」


 な、なんかマジでキモイな。

 カグヤの額に青筋が入った……プリムも気持ち悪いのか嫌そうにしてる。

 とりあえず、カグヤが蹴り殺す前に、全員呪術で腹痛に───。


「……ん? なんだあれ?」

「あぁん!? おい兄ちゃん、たっぷり可愛がってやるぜ!!」

「いや、あれあれ、後ろ」

「へん、そんな手に乗るかよ」

「あれ……ゴーレムか? 変なの」

「ぶひい、ぶひひ」


 次の瞬間───不細工三人組が謎のゴーレムに吹っ飛ばされた。

 俺はプリムを抱え横っ飛び、


「「「ぶっひゃぁぁぁぁーーーっ!?」」」

「だから言ったのに……」

「ひゃぁぁっ!? な、なんですかあれ!?」


 路地裏を一直線に通り過ぎたのは、妙な形のゴーレムだった。

 寸胴に車輪を付け、半円形の頭にはガラス玉みたいな目、ゴムホースの腕に輪っかみたいな手のゴーレムだ。

 不細工三人組を吹っ飛ばしたゴーレムは急停止し、その場でぐるぐる回る。そして、半円形の頭がぐるぐる回転し、ガラス玉の目が俺たちを捕らえる。

 

「お、こっち見た」

「どうやらアタシたちを狙って……いや、無差別かな」

「あああ、あの、フレア……て、手」

「手? ああ悪い」


 俺の手はプリムの胸をがっちりつかんでた。どうりで柔らかいと思った。

 すると、妙なゴーレムの車輪が回転し、再び突っ込んできた。


「面白い!! 神風流、『破城鉄槌』!!」


 カグヤの両足を揃えたドロップキックがゴーレムの胸に直撃。

 妙なゴーレムは吹っ飛び、地面を転がってバラバラになった。

 なんか弱いな。青銅級か?


「終わり……って、弱っ」

「バラバラです……」

「なんだったんだ?」


 首を傾げていると、俺たちの後ろから人が。


「あぁぁぁぁぁーーーっ!? ぼ、ボクのゴーレムぅぅぅっ!!」


 変な男が、俺たちを無視してゴーレムの元へ。

 見るも無残なゴーレムの残骸を拾い上げ、がっくりとしていた。

 わけわからん……とりあえず、壊したのはカグヤだし、カグヤを見る。


「な、なによ」

「いや、壊したのお前だなーって思って」

「に、ニヤニヤしてんのムカつく!! その顔止めなさいよ!!」

「あっはっは。悪い悪い」

「ふ、二人とも喧嘩は……「こいつを壊したのはキミか!?」きゃっ!?」


 突如、ゴーレムの残骸を投げ捨てカグヤに迫る男。

 いきなりでビビった。カグヤに迫る男は、むむむと唸る。


「ボクの『試作44号』を破壊するなんて。今回のゴーレムはオリハルコンを含んだ合金で作ったのに、見るも無残にバラバラ……きみたちゴーレム持ってない? どうやって壊した……お、この具足……そうかキミの足で壊したのか!! そういえば噂になってたな、素手でゴーレムを破壊する冒険者……」

「ちょ、ちょっと近い……離れなさいよ!!」

「おっと失礼」


 カグヤをジロジロ見ていた男は離れた。

 ゴーレムの残骸など見向きもせず、俺たちを見る。


「見たところ冒険者だね? もしかして噂の『生身でゴーレムを破壊する冒険者』さん?」

「……まぁ、そんな感じだな」

「おおおお!! すごい、すごいぞ!! いやはや、自己紹介しなくては!! ボクはモルガン!! この先で『ゴーレム整備工場』を営んでるんだ!! よかったらお茶でもどう?」

「「「…………」」」


 なんだこいつ……が、俺たち三人の感想だった。

 ぼさぼさの髪、丸い眼鏡、無精ひげ、白衣、サンダル……怪しいな。

 モルガンと名乗った技術者は、頭をぼりぼり掻きながら言う。


「お願いだ、ちょーっとだけお話させてくれ。きみたちを見てると何か掴めそうなんだ!! もうすぐ開催される『オリジナルゴーレム大会』に出すゴーレムの着想が浮かびそうなんだ!!」

「オリジナル、ゴーレム大会……ですか?」


 あ、プリムが乗ってしまった。

 モルガンはニンマリ笑い、大きくうなずく。


「そうなんだ!! この大会で成績上位になれば『ゴーレム・エンタープライズ』が主催で、パープルアメジスト王国で開催される本選に出れるんだ!! そこでいい成績を残せば、オリジナルゴーレムを販売することができる!! 技術者の夢の大会なんだ!!」


 説明ありがとう……なんか面白そうだな。

 

「実は、ちょっと悩んでてね……でも、キミの美しい脚を見ていたら何か浮かびかけた!! 頼む、少し話をしてほしい!!」

「う、美しい脚……ふーん、わかってんじゃん」


 カグヤが上機嫌に……こいつも載せられてる。

 まぁ、面白そうだしいいか。


「プリム、いいか?」

「はい。わたしは構いません」

「カグヤは?」

「アタシもいいわ。足を褒める奴に悪いのはいない」

「おお、じゃあ!!」

「少しだけな」

「やったー!!」


 モルガンは馬鹿みたいにジャンプして喜ぶ……そんなに嬉しいのか。

 

「じゃあこっちに。ボクの工房へ案内しまっす!!」


 モルガンは、ゴーレムの残骸をかき集めて歩きだした。

 オリジナルゴーレムの大会か。せっかくだし見物していくか。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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