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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第七章・闇夜に煌めく吸血鬼

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BOSS・懲罰の七天使『神の答』キトリエル②

 勝てる気がしない。そんな気になったのは先生以来だった。

 この黒い天使。全くもって本気じゃない。ふわふわした動きで俺の動きを全て読み、ステッキで俺を軽く叩くだけだ。

 こいつ、俺を殺す気がない。その気になればいつでもできそうなのに。


「くっそ……」

「ほほ。どうやらあちらも終わりそうですな」


 でかい氷の花と炎の柱が激突した。

 俺は地上に降り、第五地獄炎を解除する。

 構えを取るが、このステッキ男にはどんな攻撃も通じない気がした。


「さて、もうおしまいにしましょう。小生も少し用事が出来ました故」

「…………っ」


 俺は一筋の汗を流す。

 まずい。真正面から挑んで勝てる相手じゃない。

 考えろ……こいつは本当に俺を上回る格闘技の使い手なのか。

 こんな細い身体で、なぜ俺の攻撃を読めるんだ。


「ふ、フレアっ!! 大丈夫ですか!?」

「は?……ぷ、プリム?」


 考えこむ俺の耳に、プリムの声が聞こえてきた。

 視線を向けると、プリムとアイシェラとシラヌイがいた。


「な、なんでここに!?」

「あの、教会の近くにおっきな黒い『蟲』が現れて……カグヤが一人で戦ってて、わたしとアイシェラはフレアを探してて、シラヌイがここへ」

「マジかよ。くそ、下がってろ!! アイシェラ、プリムから離れんな!!」

「当然だ。私がお嬢様の前から離れるときは死ぬときだけだ!!……訂正する。死んでも離れん!!」


 アイシェラはステッキ男を一瞬で敵と認識、剣を構える。

 シラヌイが身体を燃やし、俺は二人に近づけまいとステッキ男に向かって行く。


「……まぁ、問題ないでしょう」

「あぁ!? この野郎がっ!!」


 俺は桜花連撃で連続攻撃を繰り出すが、ステッキ男は難なく躱した。


「無駄なんですがねぇ!!」

「へへ」


 ステッキで頬を張られる。

 口の中が切れたが、そんなの関係ない。

 俺は大きく息を吸い、ステッキ男に向かって行く。

 そして───。


「すぅぅ……」

「ふむ。観客の前で戦うのは小生の流儀ではないので。これにて終了!!」


 俺は、限界まで声を振り絞った!!


「ああぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっ!!」

「!?!?!?」


 ステッキ男の耳元で、全力で叫ぶ。

 さすがのステッキ男も、『声』までは防御できなかったようだ。突然の叫びに耳を塞ぐ間もなく、目を白黒させていた。

 おかげで、大きな隙ができた。


「滅の型、『百花繚乱』!!───えっ?」


 百花繚乱が、弾けた(・・・)

 なんだこれ? 当たった……けど、弾かれた?

 

「くぅぅぅぅっ!! 耳が痛いという『答』はあり得ない!!……ふぅ」

「…………」

「少々、お痛が過ぎましたなぁ!!」

「ぐっ……っ!?」


 ステッキ男のステッキが振られ、俺の腕にぶち当たる。

 細腕のくせになんて力……というか、痛みより妙な気分だった。

 俺の攻撃、当たったよな?

 なんで弾けた?……まさか。


「…………答え」

「これで終わりにしましょう!! では!!」

「お前、答え……答えなんだな?」

「な、なにがです?」

「来い、シラヌイ!!」

『わぉぉぉぉーーーんっ!!』


 シラヌイを呼ぶと、一瞬で俺の隣に。

 ついでに、アイシェラにも言った。


「アイシェラ、その辺の石を拾ってこいつに投げてくれ」

「は?」

「頼む。たぶんだけど、こいつの能力がわかった気がする」

「……いいだろう」


 アイシェラが石を拾い始めると……ステッキ男から汗がダラダラ流れ始めた。


「しょ、少々お待ち「いくぞシラヌイ!!」


 俺とシラヌイはステッキ男に向かって走り出した。

 まず、俺から。


「甲の型、『撃鉄』!!」

「ぬぅん!!」


 俺の突進は難なく躱され、ステッキで叩き落される。

 だが、一瞬で真横に移動したシラヌイがステッキ男に飛び掛かった。


『ガルルアァァァッ!!』

「あいっだぁぁぁぁっ!? あづ、あっづぅぅっ!?」


 燃えるシラヌイに右腕を噛まれ、ステッキ男は初めてダメージを受ける。


「こ、この犬に小生が噛まれる『答』は存在しな───うげっ!?」


 アイシェラの投げた石が、ステッキ男の頭に命中。シルクハットが吹っ飛んだ。

 すかさず、俺が追撃する。


「滅の型、『鉄扇華』!!」

「ごぶえぇっ!?」


 連続回し蹴り。

 弾かれるような感覚はなく、腹・胸・顔面に連続ヒット。ステッキ男は吹っ飛ばされる。

 そして、ヨロヨロしながら身体を起こし───。


『ガルルルルっ!!』

「いだだぁぁっ!? ちょ、いだ、あっづぁ!?」


 シラヌイに襲われていた。

 さらに、アイシェラの石も飛んで腕や足に命中する。

 さっきまで勝てる気がしなかったのに、今見るとただの中年おっさんにしか見えなかった。

 俺は、ゆっくり近づきながら言う。


「お前の能力、自分が口にした『答え』を現実にすることができるんだろ? でも、現実にできる対象は一つだけ、さらに大掛かりなことは実現できないってところか。一対一なら無敵だけど、多人数相手はめっちゃ不利だな」


 こいつは最初に言った。『俺ではこいつに勝てるという答えはない』みたいな。

 シラヌイに腕を噛みつかれたままのステッキ男は、投石でタンコブと痣だらけの顔をにっこりさせた……たぶんこいつ、一対二じゃ近所の子供にも負ける強さだな。


「そ、その通り……小生の黒神器『答えは我の望むままに(アンサー・アンサー)』は、『小生が関わる問の【答】に干渉する』……一対二では勝ち目がありませんでしたな」

「ったく、タイマンじゃ先生も勝てないな。で、まだやるか?」

「……いえ、小生の敗北です。負けを認めましょう」


 シラヌイが離れると、ステッキ男は立ち上がり砂を払う。

 そして、満足げに言った。


「あちらは、もう終わったようですからな」

「滅、蝕の型、『桜花連撃・四苦八苦(イダ・イダイ)』!!」

「ごっぼぇぎゅあっぷぇ!?」


 満足げにほほ笑むステッキ男がむかついたので、呪いを込めた連撃をお見舞いした。

 ステッキ男は吹っ飛び地面を転がる……どうやら、完全に気を失ったようだ。


「ふ、フレア……大丈夫ですか!?」

「ああ。それと悪い、ここまで来てもらったけど、俺はミカエルのところに行く。お前たちはカグヤのとこに戻れ」

「で、でも」

「心配すんな。あいつは強い。ってか、俺のが助けられたな、ありがとう!!」

「あっ」


 プリムが何か言う前に、俺は走り出した。


「お嬢様、戻りましょう……やはりあいつは問題なかった」

「そうですね……ミカエルのこと、気になるのかな」

『くぅん』

「ん、シラヌイ……うん。わたしは大丈夫。戻ろう」

「では参りましょう」

「……アイシェラ、お尻触らないで」


 なんかブツブツやってる声が聞こえたが、今はミカエルのところに!!

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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