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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第六章・魔法王国イエロートパーズ/天使の炎と地獄炎

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BOSS・聖天使協会十二使徒『炎』のミカエル①

 九十階層、九十一、九十二……フレアたちは問題なくダンジョンの階層を駆け上がる。

 フレアとカグヤ曰く『大したことない』だが、フレアたちが異常な強さであって大したことないはずがない。現れる魔獣はS~SSレートの魔獣ばかりで、一等~上等冒険者が出会えば死を覚悟して挑むレベルだ。

 特異種と地獄炎という能力もあり、現れる魔獣を淡々と処理。

 そして、九十九階層の魔獣を倒し終え、最上階に進む。


「なーんか拍子抜け……アタシ、もっと強い魔獣が出てくるのかと思ったわ」

「俺も。ま、こんなもんじゃね?」

「いやいやいや……あのな、この階層の魔獣なんだった?」

「「……でかいウシ」」

「ちっげーよ!! SS+レートの『キングベヒーモス』だっての!? 国家レベルで危険な魔獣だぞ!?」

「「ふーん」」


 フレアとカグヤは『だからなに?』と言った感じでうなずいた。

 たしかに、全長二十メートルほどの『でかいウシ』だったが、フレアの第一地獄炎であっさり灰に……いや、灰すら残さず燃え尽きた。

 プリムも興奮していた。


「フレアにカグヤ、ほんとうにすごいです!」

「……バケモノめ。敵だと思うとゾッとするぞ」

「でも、最上階にゃん。お宝にゃん!!」


 そう、最上階である。

 こんなことがあるだろうか。三大ダンジョンの一つ『アメノミハシラ』が、たった数日で踏破されてしまいそうなのである。前代未聞という言葉が実に相応しい。

 ダニエルは頭を掻きながら言う。


「あー、お宝手に入れたらお役御免だな。ま、たった数日だけど楽しかったぜ」

「おう。終わったらパーッと飯でも食おうぜ。おごってやるよ」

「いいね。酒も頼むぜ?」


 ダニエルはフレアの肩をポンと叩く。

 九十九階層への階段がある小部屋から階段を上ると、最上階だ。

 あっという間のダンジョン攻略が、終わりを迎える───。


「───ん、待て? おい……なんだこの感じ。っ!!」

「ダニエルさん?」

「どうした?」

「……にゃん。なんかぞわぞわするにゃん」


 ダニエルが何かに気付き、プリムとアイシェラが首を傾げ、クロネの猫耳の毛が逆立った。


「……フレア」

「ああ。わかってる……でも、この感じ……知ってる」


 階段を上ると、アメノミハシラの最上階。

 そこは闘技場のリングのような円形の広場だった。柵などなく、落ちたら地上まで真っ逆さまだ。

 その空間の中心に……真紅の髪をなびかせた少女と、深緑の髪を揺らす少女がいた。


「来たわね、フレア」


 フレアは知っている。

 灼眼と真紅の髪、焼き尽くすような闘気をみなぎらせた美少女……。




「み……ミカちゃん」

「ミカちゃん言うなっ!!」




 聖天使協会十二使徒『炎』のミカエルが、そこにいた。


 ◇◇◇◇◇◇


「ま、また女の子……フレアの知り合い、可愛い子ばっかりです」

「誰? 知り合い?」

「ミカちゃん。天使」

「……端折りすぎだ。貴様」

「…………や、ヤバい感じがするにゃん」


 なぜかプリムがむくれ、カグヤが首を傾げ、アイシェラがフレアを睨み、クロネがアイシェラの後ろに隠れ……ダニエルは真っ蒼になっていた。


「み、ミカエル……嘘だろ? なんでこんなところに」

「待ってたわ。フレア……あたしと勝負しなさい」


 ミカエルは指をフレアに突きつける。

 

「勝負って……戦うのか?」

「当然。聖天使協会の十二使徒を三人も再起不能にしたあんたはもう放ってはおけない。あたしがあんたを焼き尽くす」

「あ、ほんとは『呪術師に手は出すな』って命令なんだけど、ミカちゃんが『あたしがやる』って命令に逆らってここまで来たんだよ~」

「ラティエル!! 余計なこというなっ!!」

「う、嘘は良くないよ?」

「あはは。なんか面白いな、ミカちゃん」

「ミカちゃん言うなっつってんでしょ!!」


 ミカエルから炎が噴き出し、全身が燃えた。

 まるで、フレアを見ているようでプリムは思わずつぶやく。


「……綺麗です」


 だが、そんなことはどうでもいいのかミカエルは叫ぶ。


「フレア!! あんたは聖天使協会最強、『炎』のミカエルが倒す!!」

「……わかった。でもその前に、そこの祭壇にあるお宝だけくれよ。それが目的でここまで登ってきたんだからさ」

「……これ? いいわよ」


 ミカエルは近くに祭壇に安置されていた宝箱をつかみ、フレアに投げた。

 意外にも素直で少し驚いたが、宝箱をキャッチしてクロネに渡す。


「持ってろ。それとカグヤ、俺がご指名みたいだし、手を出すなよ」

「……ま、いいわ。アンタが死んだらアタシがやるからね」

「おう」


 フレアは軽く準備運動し、前に出る。

 ミカエルもまた、前に出た。


「どのくらい強くなったのか見てあげる……死ぬ気でかかって来なさい」

「お前こそ、俺の炎で火傷すんじゃねぇぞ? 触れたら最後の地獄炎をな」

「面白いわね。言っておくけど……あたしは殺す気でいくから」

「好きにしな」


 ゴォォッ!!と、フレアとミカエルの身体から炎が噴き出す。

 紅蓮に燃える地獄炎、真紅に燃える天使の炎。


「燃えろ、『火乃加具土』」

「煌めけ、『焱魔紅神剣レーヴァテイン・プロミネンス』」


 炎の籠手と、赤く美しい長剣。

 魔神器と神器から炎が噴き出し、二人の身体を包み込む。


「呪闘流甲種第三級呪術師ヴァルフレア。俺の炎で火傷しな」

「聖天使協会十二使徒筆頭『炎』のミカエル。地獄炎の呪術師フレア。あんたを焼き尽くす!!」


 地獄炎と天使の炎が荒れ狂い、アメノミハシラの最上階で燃え上がる。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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