表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第六章・魔法王国イエロートパーズ/天使の炎と地獄炎

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

122/395

物知りダニエル

 フレア、カグヤ、シラヌイ。そしてダンジョン案内人のダニエルを加えた一行は、三大ダンジョンの一つ『アメノミハシラ』に挑戦していた。

 現在の階層は一階層。ダンジョンに入って数分である。

 ダニエルは、キョロキョロしながら言った。


「ここがダンジョンかぁ〜、テンション上がるなぁ〜」

「何言ってんだ? あんた、案内人だろ」

「おっと失礼。ま、場を和ませるギャグだ」

「「??」」


 フレアとカグヤは首を傾げる。シラヌイは欠伸し、後ろ足で耳の裏をカリカリ掻いていた。どうやらダニエルのギャグは伝わらなかったようだ。

 カグヤは、ダンジョンの壁に触れる。


「これ、どうやって造ったの?」


 壁は煉瓦造り。古さを全く感じさせない真新しさがある。人がせっせと積んだようなものではなく、神秘的な何かを感じた。

 ダニエルはのんびり言う。


「噂じゃ、天使様が造ったとか特異種の能力で造ったとか言われてるぜ」

「ふーん······おりゃっ!!」


 カグヤは壁を蹴り砕く······つもりで蹴ったが、傷一つ付かない。

 

「アタシの蹴りも効かないなんてね。大した壁だわ」

「俺も試そうかな······ま、やめとくか」


 フレアも右手を燃やすがすぐに止めた。

 すると、ダニエルが目を見開く。


「おま、フレア······今の」

「ん、ああ。えーっと、俺、炎を出せる特異種なんだ」

「…………へぇ、スゴイネ」

「なんで片言なんだ?」

「いや、別に」


 フレアは首を傾げたが、ダニエルは笑ってごまかした。

 ダニエルは咳ばらいをしてフレアとカグヤに説明する。


「ここは一階層。ま、何もない階層だ。準備階層とも呼ばれて、ここでダンジョンがどういう造りでどういう構造なのかを知ることができる。歩きながら説明してやるよ」

「「よろしく」」

『わぅん!!』


 三人とシラヌイは、ダニエルの案内で歩きだす。

 真新しい煉瓦造りの壁、いつ灯したのか不明な松明、地面もタイルが敷かれ歩きやすい。道幅は大人五人で歩いても問題ないくらい広いし、天井まで三メートルほどの高さがあった。


「次の階層から魔獣が出る。ま、十階層くらいまでは大したことのない、三等冒険者なら雑魚くせえレベルの魔獣しか出ない。宝箱も傷薬だったり包帯だったりと親切なモンばっかりだ」

「へぇ~……宝箱、便利だな」

「ああ。だが、十階層を超えると厳しくなってくる。トラップや毒宝箱なんてものあるし、階層を登れば登るほど魔獣も強くなっていくからな」

「アンタは最高どのくらいまで行ったの?」

「オレは八十階層まで行った。ちなみに、十階層ごとに出口へ戻るための転移魔法陣が敷かれている」

「へぇ~、親切だなぁ」

「ああ……っと、着いたぜ。ここが二階層への階段だ」


 少し広い空間の先に階段があった。二階へ続く道に違いない。


「細かいルールは進みながら教えてやる。他の冒険者に出会った時のルールとかな」

「おう。あんたも親切だな」

「仕事だからな。ダンジョン踏破なんてもっと高等級の冒険者がやるだろ。オレは中堅冒険者として日銭稼いで、美味いメシと酒が飲めればいい」

「欲がないわねぇ……」

「それがオレさ。あ、戦いとかはお前らに任せるから。オレ、そんなに強くないし」


 そう言って、ダニエルは階段を進む。

 フレアとカグヤは互いに顔を見合わせ、カグヤが言った。


「どう思う?」

「何が?」

「あいつ、怪しいと思う?」

「別に。ま、親切そうだしいいだろ。俺らみたいな冒険者を嵌める理由もなさそうだしな」

「……ま、そうね。それより、魔獣はアタシがやっつけるから」

「俺もやるっつの。お前、一人じめすんじゃねーぞ」

『くぅん』

「あ、シラヌイもいたわね。じゃ、行くわよ」

「おいこら、話聞けっての!」


 フレアたちは、二階層へ進んでいく。


 ◇◇◇◇◇◇


 二階層も、一階層と全く同じ造りだった。


『ガルルルルッ!!』


 四本の足と顔の一部が燃えたシラヌイが、ゴブリンという一メートルくらいの小鬼に飛び掛かり、喉笛を噛み千切った。

 数は二体。雑魚中の雑魚であり、ゲタゲタ笑いながら襲い掛かってきたのだ。

 体臭がキツくカグヤは顔をしかめ、フレアはブレードで喉を切り裂こうとしたが、真っ先にシラヌイが飛び掛かったのだ。まるで「ここはまかせろ」と言わんばかりに。

 ゴブリンを始末すると、シラヌイは尻尾を振ってフレアの元へ。


「よくやったぞ、シラヌイ」

『くぅん』


 褒めてほしいようで、フレアはシラヌイを撫でまくった。

 

「おい、見ろ」

「え?……あ」


 ダニエルは、シラヌイが始末したゴブリンの死体を指さす。

 すると、ゴブリンの死体が溶けるように消えてしまった。


「なにこれ? 消えちゃったわよ」

「ダンジョンの魔獣はあんな風に消える。人が触ってればずっと消えねーけどな」

「人が触ってれば? なんで?」

「魔獣の素材を手に入れるために解体とかしてるときに消えたら損だろ?」

「……ほんと親切ね」

「ははは、そうだな」


 話をしながら進むと、またもやゴブリンが。

 

『ギャッギャッ!!』『ギャハハ!!』『ギャッヒ!!』

「キモいなぁ……ま、やるか」

『わんわんっ!!』

「ん、アタシはパス。臭いから」

「……まぁいいけど。行くぞシラヌイ」

「がんばれよー、オレはカグヤの嬢ちゃんと見てるからよ」


 二階層の魔獣はゴブリンしか出なかった。初心者向けの階層なのは言うまでもない。

 フレアはブレードで斬り、銃で脳天をぶち抜く。シラヌイは喉を噛み千切る。

 当然ながら、現れる魔獣は敵ではなかった。

 そして、あっという間に三階層へ続く階段がある小部屋へ。


「最初はこんなモンだが、油断はするなよ」

「わかってるよ。な、シラヌイ」

『わんわん!!』

「アタシ、もっと強いの出たら戦うからよろ~」

「ったく、怠け者め」


 フレアの視線も意に介さず、カグヤは口笛を吹く。

 そして……あっという間に十階層まで到着した。

 真の強敵は、ここから先の階層に潜んでいる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
[気になる点] こんな雑魚相手に弾が量産品ではない特殊な銃を使用するのは勿体ないと思うんですけど、娯楽に金を掛けすぎってイメージで印象悪い
[気になる点] ダンジョンの名前、ヒノカグツチと記載されていますが 前後の章だとアメノミハシラと記載されています。 正しくはどちらですか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ