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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第六章・魔法王国イエロートパーズ/天使の炎と地獄炎
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懲罰の天使

 『懲罰の七天使アインソフオウル・セブン』。

 聖天使教会とは違う組織で、思想の違いから聖天使教会とは対立している組織である。

 構成員は七人と少ないが、それぞれが十二使徒に匹敵する強大な力を持つ天使で、翼の色が漆黒に染まっているのが最大の特徴である。

 聖天使教会からは『懲罰天使』と呼ばれ忌み嫌われており、いずれ戦う日が来るであろうとアルデバロンは言っていた。

 『懲罰の七天使アインソフオウル・セブン』の本拠地入口で、一人の少女がボンヤリ座っていた。


「ほぁ……たいくつ」

 

 『懲罰の七天使アインソフオウル・セブン』の本拠地は異空間にあり、入口を管理するのは懲罰天使の一人ラハティエル。

 異次元を切り裂く能力を持ち、懲罰天使にしか扱えない『黒神器』の一つ『魔性冥府の鎌(ディ・メン・ション)』を使用して本拠地の入口を管理する『門』の天使である。

 ラハティエルは欠伸をして床に転がる。

 硬くツルツルした床はひんやりと気持ちいい。やることもないので昼寝をしようとすると……誰かがラハティエルの顔を覗き込む。


「感心しませんね。こんなところで昼寝とは。神罰が下りますよ?」

「ショフティエル……」


 漆黒のローブにメガネをかけた、真面目そうな男性だ。

 髪もぴっちりとしたオールバックで背筋はこれでもかと伸びている。手には黒い本を持ち、縁なしメガネをクイッと上げる。

 ショフティエル。彼も懲罰天使の一人で、規律を重んじる男だ。


「ラハティエル。あなたはこの組織と現世を繋ぐ管理者なのです。懲罰天使の自覚を持ち……ああもう、だらしない……服はちゃんと着なさい!! しっかり背筋を伸ばして、髪を整えて、ああもうしっかり目を開けなさい!!」

「うぅ~」


 ショフティエルの小言にラハティエルはうんざりしていた。

 そこに、黒い帽子を被った男……マキエルが通りかかる。


「やぁショフティエルさん。相変わらずお厳しい」

「マキエル……ちょうどいい、貴方に聞きたいことが」

「はい、なんでしょう」


 マキエルは帽子を取り、優雅に一礼した。

 礼儀も態度も申し分ない。それなのになぜか勘に触る……それがマキエルという男だ。


「貴方、地獄門の呪術師と遭遇したそうですね? なぜ彼と戦わなかったのですか?」

「ああ、あの時は十二使徒の監視が主な任務でしたので。無駄な戦闘を省き、さらに十二使徒を救出し恩を売ることを優先しただけであります」

「笑止。十二使徒など放っておけばよい。あの無能共、呪術師に喧嘩を売り敗北しすでに欠員が三名も出ている……『風』に『鋼』に『操』は雑魚ですが、戦力を削れたのはいいことです。ですが、呪術師の炎が我々を焼く、ということもありえる以上、放っておくわけにはいきません」

「それも一理ありますな。ですが、今は放っておけばよいかと。呪術師を狙う十二使徒はまだいます。例えば……『炎』とか」

「……ミカエルですか。確かに、あの醜女が呪術師に挑めば双方タダでは済まない……ではマキエル、その二人を始末しなさい。貴方なら楽な仕事でしょう」

「…………」

「マキエル、どうしたのですか」

「いえ、ショフティエルさん……なぜ貴方の命令を聞かねばならないのでしょう? ワタクシが従うのはBOSSのみ。懲罰天使が懲罰天使に命令を出す権限はありませんが」

「…………あぁ、確かにそうですね」


 一気に険悪になった。

 マキエルとショフティエルが睨み合う。

 だが、ショフティエルの言うことも一理ある。フレアの炎が懲罰天使を焼かないとも限らない。今でこそ表立って喧嘩を売っているのは十二使徒だ。フレアは売られた喧嘩を買っているにすぎない。

 そして今度はミカエルがフレアに喧嘩を売ろうとしている。


「ならば、私が行きましょう。呪術師とミカエル、両方を始末すればボスも私を認めてくれる。私をボスの右腕にしていただき、私が貴方たちを導く存在となりましょう」

「……どうぞ、ご自由に」

「くぁぁ~……寝ていい?」


 無言だったラハティエルが大きな欠伸をし、ショフティエルは咳ばらいをする。


「では、失礼。ボスに用事ができました」


 ショフティエルは歩き去った。

 その後ろを、マキエルとラハティエルは見えなくなるまで眺める。


「お手並み拝見、といきましょうか」

「くぅぅ……」


 ラハティエルは、床で丸くなり眠ってしまった。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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