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地獄の業火で焼かれ続けた少年。最強の炎使いとなって復活する。  作者: さとう
第六章・魔法王国イエロートパーズ/天使の炎と地獄炎

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イエロートパーズ魔法学園

「すんませーん。冒険者ギルドの依頼で来たんですけどー」


 イエロートパーズ魔法学園正門。

 俺とカグヤは守衛っぽいガタイのいいおっさんに依頼書を見せる。おっさんは依頼書を眺め、詰め所みたいな建物に引っ込み、数分して出てきた。手には依頼書があり、何やら印が押されている。

 さらに、案内人らしい魔法使いの女性もいた。


「こちらへ。仕事の説明をします」


 なんか固そうな魔法使いだな。

 

「ほーい」

「ふぁぁ……はぁ~い」

「おいカグヤ、もっとやる気出せよ……なんで俺がお前のお守りみたいなことしなきゃならないんだ」

「あ゛? お守り? お守りってアンタが? ふざけんじゃないわよ冒険者の後輩」

「問題児よかマシだっつの。昇級の機会がいくらでもあったのに処罰ばっかのお前よりはな」

「なに、喧嘩売ってんの?」

「やる気出せって言ってんだよ。討伐依頼受けれないからってダラけんな」

「うっさいわね。蹴り殺すわよ」

「やってみろよ。下痢殺すぞ?……なーんてな」

「ごっふぉん!! えー、お静かに」


 案内人の魔法使いさんに怒られてしまった。

 カグヤめ。ほんとめんどくさい奴だな。

 案内人の魔法使いさんに学園の空き部屋みたいな場所に通され、硬い木の椅子に座らされた。シラヌイは床で丸くなり寝息を立てる。


「依頼の説明をさせていただきます。依頼内容は授業の補佐となっています。あなた方には生徒たちの模擬戦の対戦相手となっていただきたいのです」


 カグヤの目がキュピーンと光る。


「魔法による実践形式による模擬戦です。生徒たちに自信を付けさせ、自分の実力を知ってもらうことが前提ですので、過度な反撃や怪我をさせるような攻撃はお控えください」


 あ、カグヤの目がガックリとした感じになった。


「担当クラスは『魔法剣士科』、『魔法科』、『魔格闘科』の三つ。いずれも新入生のAクラスです。本日午後より実力把握試験がありますので、演習場へお越しください」


 なるほど。要は新入生の実力を測るための相手か。


「最後に。あなた方の負傷等に付きましては、魔法学園として一切責任を負いませんので。報酬は一人銀貨五枚。何か質問は?」

「はいはーい。要は新入生と模擬戦でしょ? アタシらはその相手だけど、模擬戦の終わりってどうなんの? 気絶させていいの?」

「いえ。実力評価の試験官がいますので。試験官が止めます」

「なるほどな。おいカグヤ、手加減しろよ」

「は、アンタこそ」


 カグヤ、少しはやる気になったみたいだ。

 すると、案内人の魔法使いさんがクスリと笑った。


「忠告ですが……魔法使いを侮らないほうがよろしいかと」

「「???」」

「冒険者ならお分かりでしょうが、魔法の威力はあらゆる戦局を左右します。パーティーに最低一人は魔法使いをというのは、冒険者にとって常識でしょう?」

「「…………」」

「魔法を使う剣士、魔法を使う格闘家、そして魔法使い……どうかお気を付けて。ああ、ちなみに、新入生との模擬戦相手に冒険者を選ぶ理由ですが……毎年必ず無茶をする新入生がいましてね。死んで困らない(・・・・・・・)冒険者を雇い戦わせるのが一番なのですよ。代わりはいくらでもいますしね。それに、五等冒険者なら吐いて捨てるほどいますし」

「アンタ、喧嘩売ってんの?」


 カグヤの殺気。

 案内人の魔法使いがビクッとして冷や汗を流す。これはさすがにムカつくから俺も止めない。つーか、冒険者舐めすぎでしょ。

 カグヤは立ち上がり、案内人の魔法使いに言った。


「じゃあアタシも教えてあげる。アタシを舐めたらどうなるか……新入生に教えてあげる」

「おいカグヤ、仕事はちゃんとやれよ」

「わかってるって。ま、仕事はちゃんとするわ」


 案内人の魔法使いを残し、俺とカグヤは退室した。


 ◇◇◇◇◇◇


 合同ということで、演習場には大勢の新入生魔法使いが集まった。

 俺とカグヤは教師から模擬戦の説明を受ける。


「いいですか。過度な反撃は禁止、攻撃はなるべく回避してください。命の危機を感じた場合に限り生徒を戦闘不能にさせることを許可します。生徒の実力を引き出して戦って下さい」

「はーい」

「うっし。腕が鳴るわね!!」


 説明を聞きながら、俺は生徒を見る……あ。


「おーい!! フレア君、カグヤ君!! おーい!!」


 フリオニールだ……真新しい制服を着て興奮してる。注目されながらも俺とカグヤに手を振っていた。

 とりあえず俺は手を振り返す。


「武器の使用は許可しますが、生徒を傷付けることに使うことは禁止です。受けや防御に使用をしてください。最後に、生徒を死亡させた場合は冒険者ギルドに報告しますのでご注意を」


 説明が終わり、俺とカグヤは待機。シラヌイも壁際でおすわりしていた。可愛い奴め。

 先生が生徒たちに模擬戦の説明をしている。全力でやれだの、教師たちが評価してるだの話してる。生徒たちはどうも興奮してるようだ……全員が戦闘魔法使いだからなのか?


「さっそく模擬戦を行う。名を呼ばれた者は前へ!! では冒険者殿、よろしくお願いします」

「はい。おいカグヤ、手加減しろよ」

「うっさい。あとしつこい」


 俺とカグヤは前へ。そして距離を取る。

 教師は壁際でメモの準備をしている。これから戦う生徒をチェックするようだ。

 

「ではマモン、マモン・ニック。前へ」

「ではラスキン、ラスキン・ダイテ。前へ」


 俺の前にはラモンとかいう小太りの剣士、カグヤの前にはラスキンという細身の剣士が立つ。


「それでは、持てる全てを出すように……はじめ!!」


 こうして、魔法学園新入生による模擬戦が始まった。

 よーし、気合い入れて……手加減するか!!

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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