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四十六刃


「「ぶっ潰す!!」」

 

 ガイとソラは纏う炎を強く燃え上がらせると走り出し、渦波拓海を倒そうと迫っていく。

 

 2人の接近に渦波拓海は慌てる様子もなく、落ち着いた様子で右手にナイフを持つと左手の人差し指に切り傷をつける。

 

 渦波拓海が指に傷を入れると大地が揺れ、大地が揺れると教会の床の一部が変質して巨人の石像へと変化し、現れた巨人の石像はガイとソラに向けて拳を叩きつける。

 

「「!!」」

 

 ガイとソラは迫り来る巨人の石像の拳を左右に分かれる形で避けると渦波拓海を狙おうとするが、渦波拓海が指を鳴らすと巨人の石像が2人の周囲に何体も現れて次から次に攻撃を仕掛けていく。

 

「コイツ……!!」

 

「物に形を与えて操る能力なのか!?」

 

「これこそ神の御業。数々の実験を経て編み出された私の力はキミたちには止められない」

 

 渦波拓海の操る巨人の石像の攻撃にガイとソラは回避を強いられ、2人が回避に専念していると渦波拓海は続けて中指に傷を入れる。すると床に亀裂が生じ、生じた亀裂から水が溢れ出るとそれは形を得て龍の姿となる。

 

「コイツ……何でもありかよ!!」

 

「ソラ!!」

 

「あんま気安くオレを頼んなよ!!」

 

 水の龍が現れるとガイはソラの名を叫び、名を呼ばれたソラはガイが何を言おうとしていたのかを理解したらしく拳銃を構えると炎を弾丸にして撃ち放つ。

 

 撃ち放たれた炎の弾丸は水の龍の体に命中し、それを受けた水の龍は炎の熱により水が蒸発してるのか徐々に小さくなってしまう。

 

 ガイもソラに任せっぱなしではない。霊刀「折神」に蒼い炎を纏わせると斬撃を放ち、放たれた斬撃は無数の巨人の石像を破壊してしまう。

 

 だが、破壊できた巨人の石像の数は知れている。渦波拓海が指を鳴らすとまた新たな巨人の石像が現れ、新たに現れるとガイは舌打ちをしてしまう。

 

「……イライラしてくるな」

 

「つうかフラストレーションは溜まりきってんだろ?

黒徹砂弥を侮辱したってことが許せねぇだろ」

 

「そうだな……そう言われれば既に限界まで溜まってるな」

 

 蒼い炎を刀に纏わせるガイはソラの言葉に頷くと炎を強くさせ、なかなか倒れない2人を前にして渦波拓海は呆れてしまう。

 

「しぶといね、キミたち。

今まで出会ったどの人間よりしぶとい。無駄に抗っても無意味なのに……よくもまぁそんなに必死になれるよ」

 

「無意味なんかじゃねぇ。

ここでオマエを逃がしたら砂弥に託された思いを無駄にすることになる。だからオレたちはオマエを倒すまで食らいついてやる」

 

「ふーん……くだらないことに命をかけるなんてキミたちは愚かな過ちを冒し続けるようだな」

 

「人の命を道具にしか思わないオマエとは違う!!」

 

 渦波拓海の言葉に左右されることなく己の意志を貫こうとするガイは蒼い炎を纏わせた刀を手に走り出すと渦波拓海を殺そうと斬りかかるが、渦波拓海は薬指に傷を入れると地面の一部を鋼鉄に変えるとそのまま剣へと変化させて手に持つとガイの一撃を止める。

 

「止めたな……!!」

 

「フッ、折れることを知らぬ武器を壊すための刀……だがオリハルコンと同質になったこの剣の前ではその斬れ味は無意味!!」

 

「いいや、無意味なんかじゃない」

 

 ガイの刀を止めた渦波拓海が余裕を見せているとガイの刀は蒼い炎を鋭くさせて斬れ味を高め、斬れ味の増した刀を止めた振るとガイは渦波拓海の鋼鉄の剣を破壊してしまう。

 

「なっ……」

 

「はぁっ!!」

 

 鋼鉄の剣を破壊したガイは続けて渦波拓海本体を攻撃しようとするが、渦波拓海は小指に傷を入れると体を霧に変えてガイの攻撃そのものを避けてしまう。

 

「!?」

 

 ガイの攻撃が不発に終わると渦波拓海はガイの後ろに姿を現して彼を蹴り飛ばし、さらにソラを見ながら指を鳴らすと無数の石柱をソラの地面から発生させて彼を吹き飛ばす。

 

「ぐっ!!」

「がっ!!」

 

「……キミたちは愚かだよ。

素直に私の力理想を受け入れればキミたちは苦しまなくて済んだのに……無駄に抵抗するからキミたちは今苦しむしかないのだ」

 

「うるせぇ……!!」

 

 吹き飛ばされたソラは地面に強く叩きつけられるも立ち上がると拳銃を構えて炎の弾丸を数発放ち、放った直後に砂弥から託された対アドミニストレータ用の弾丸を一発込めると確実に命中させるべく走っていく。

 

 ガイも立ち上がるとアドミニストレータを倒そうと迫り、アドミニストレータはソラの放った炎の弾丸を手に持つナイフで切り払うと巨人の石像の片腕を出現させてガイとソラを殴り飛ばしてしまう。

 

 アドミニストレータの一撃を受けたガイとソラは酷く負傷して倒れてしまい、2人が倒れると渦波拓海は2人に近づこうと歩を進めると彼らに語りかける。

 

「キミたちのような勇敢な少年を失うのは惜しい。ここで絶命してその才能が消えるのは仕方ないことかもしれないが、私への非礼を詫びるならホムンクルス・デッドとして生まれ変わらせよう。そしてキミたちは私の家臣として優遇……」

 

 うるせぇ、とソラは体を起き上がらせると数発炎の弾丸を放とうとするが渦波拓海は指を鳴らして人の腕の形をした石像を出現させてソラの拳銃を持つ右手の前腕の骨を折ってしまう。

 

「がっ……」 

 

 骨を折られたことでソラは拳銃を落としてしまい、ソラが痛みに悶える中渦波拓海はソラの落とした拳銃を拾うと左手に持ってソラの顔に向ける。

 

「残念。キミが黒徹砂弥から切り札を託されてるのは知っているんだから簡単に撃たせるわけないだろ?」

 

「てめぇ……!!」

 

「さて、キミをここで殺すのはとても簡単なのだが今一度確認させて欲しい。キミはオレの仲間になるかい?」

 

「……はっ。

お断りだね。オマエのお仲間になるくらいならここで死んだ方がマシだ」

 

「……それは残念だ。なら、キミを殺した後に別の人間の魂でも入れてその力を使うとしよう」


「よせ……やめろ……!!」

 

 ソラが殺される、倒れるガイは何とかして身体を起き上がらせてソラを助けるために渦波拓海を斬らなければと考えるが受けたダメージが大きいせいか体は動こうとしない。

 

 ガイに手出しは出来ない、それを改めて確認した渦波拓海は不敵な笑みを浮かべながら拳銃の引き金に指をかけてソラを射殺しようとした。殺される、危機的状況にある中でソラは笑みを浮かべると渦波拓海に言った。

 

「二度も同じこと言わせるなよ……てめぇに下るのはお断りだってな!!」

 

 ソラが強く言うと渦波拓海が持つソラの拳銃が赤く発光しながら爆発し、拳銃が爆発するとその破片が渦波拓海の左腕を抉っていく。顔に向けられた拳銃の爆発にソラも当然巻き込まれて額を怪我するが、それ以上に左腕を破片で抉られた渦波拓海は苦しそうに左腕を押さえ始める。

 

 爆発した拳銃の破片に襲われた渦波拓海の左腕、その腕は徐々に黒く変色しており、渦波拓海は左腕を押さえながら苦しそうに唸り声を出す。

 

「ぐぅぅ……!!

貴様、私に何を……!!」

 

「……最初からてめぇに狙われるのは予測してたんだよバカが。

その上でオレはオマエが自分に不利になる拳銃を奪うと想定してトラップを仕込んだ。オレ以外が引き金を引こうとすれば弾倉の中の弾丸に込められた弾薬を発火させて爆発を起こしてオマエを負傷させる……砂弥が託してくれた弾丸を一発込めたのはオマエに撃ち込むためじゃない。オマエに確実に当てるために接近させるための誘導だ!!」

 

「バカな……自分の腕を犠牲にしてまで目的を果たしたと言うのか……!?」

 

「この腕の負傷くらいどうってことねぇ。

それに……この無謀な作戦のために多少の怪我は承知済みなんだよ」

 

「くっ……!!

ふざけたことを!!」 

 

 渦波拓海は右手に持つナイフに魔力のようなものを纏わせて切れ味を高めると左腕を切断し、切断時の痛みに耐えながら止血をするとどこか苦しそうにソラを睨む。

 

「オマエだけは殺す……!!」

 

「はっ……。

砂弥を侮辱した罰だ。これでオマエのお得意の攻撃は封じた」

 

 渦波拓海が苦しむ中ソラは折られた右腕を庇いながら立ち上がり、ソラの勇敢な行動を見たガイは負けじと立ち上がると霊刀「折神」を構える。

 

「ソラ、ありがとう……」

 

「……そう思うならあとは任せるぞ。

武器も無し、片腕は使い物にならないうえにこの状態じゃ魔人の炎も使えない。だから……オレの支援無しで何とか頼む」

 

 任せとけ、とガイは刀に蒼い炎を強く纏わせると渦波拓海を睨みながら殺気を放って宣言する。

 

「ここで終わらせる……!!

砂弥とソラの努力がここにある今、ここでオマエを倒す!!」

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