四十刃
突然現れた男……黒徹砂弥は大口径のロングバレルタイプの銃をライトニングに向けて構え、砂弥が銃を構える中爆炎に襲われたライトニングは爆炎を雷で何とかして消し去ると彼を睨んだ。
「……砂弥……!!
何でオマエがここにいる!!」
「言ったはずだ、雷吾。
オマエを止めるってな。今までのように何度でも邪魔してやるよ」
「何度でも……ってまさか、連続失踪事件の現場付近のカメラでアンタが映ってたのは……」
「そこの刀使い、今の言い方だとオマエはオレを追ってたのか?」
ガイの言葉を聞いた砂弥はライトニングに武器を向けたままガイに質問し、質問されたガイは頷くと彼に全てを話していく。
「オレたちは最近起きてる連続失踪事件とアドミニストレータってのについて調べてる。失踪事件を調べる中で現場となった場所付近のカメラにアンタが捉えられていたからオレたちはアンタが何か知ってると思って探すために失踪したとされるアンタのかつての相棒の白妻雷吾を辿ろうとしてたんだ」
「それで雷吾に遭遇して今に至るということか。それにしてもなるほど……カメラ云々は調べてはなかったが、どうやらアイツはそれを把握した上で動いてオレに全てを擦り付けようとしたってことだな」
「アンタは何でアイツを……」
「その話はヤツを殺してからだ。のんびり釈明する余地もないからな」
「おい待てよ。勝手に決めるなよ」
「口出しするな銃使い。オレにはコイツを殺さなきゃならない理由があるんだよ」
ライトニングは殺す、そう口にした砂弥を止めようとするソラにここで始末しなければならないとだけ伝え、砂弥は引き金に指をかけるとライトニングを睨みながらガイたちにある事を話していく。それはガイたちも知らない恐らくは砂弥のみが知るでえろう事実だ。
「コイツは依頼に失敗して命を落としかけたところを謎の野郎に助けられ、コイツを助けた野郎に心酔したのか倒すべきはずの「ワイルドティーガ」に加担して一時期善良な人間を殺し続けていた。そして何の目的かは不明だがコイツはどこかの製薬会社の薬品倉庫の警備をしてる警備員を殺して連れ去っていた。そんなヤツを生かしておけると思ってるのか?」
「なっ……」
「おい、アンタの言い分が正しいならヤツは賞金稼ぎのくせして賞金首の悪事に加担してたってことなのか!?」
「そうだ。そしてヤツの行動の裏には渦波拓海という悪党が隠れている。オレはかつてコンビを組んでいた者としてその責務を果たしてアイツを罪の連鎖から救いたいんだ。オマエらの目的は知らないが邪魔するなら……」
「利害は一致してるな、黒徹砂弥」
ライトニング……白妻雷吾は悪に堕ちたとして砂弥はかつての相棒を止めようとしていると知ったガイとソラが驚く中で砂弥は単独でライトニングを倒そうとするもアストはそんな彼に一つ提案した。
「細かい話は後にするが、今オマエは警察から重要参考人に選ばれかけている。オレたちは事件の真相を知るべく動いてここに辿り着いた。アドミニストレータと呼ばれる存在に到達することがオレたちの目的であり、オマエのかつての相棒をあんな風にしたのもアドミニストレータってヤツだ。そのアドミニストレータと渦波拓海の関係はこれから洗うしかないが、今オマエとオレたちの目的は共通してると思わないか?」
「……闇の貴公子か。たしかに利害は一致してる。
だが金欲しさに動いてるオマエらの動機とオレの動機は異なるはずだ」
「金なんていつでも手に入る。オレたちは「コード・プレデター」の件の残滓とも言えるアドミニストレータを始末してホムンクルスと錬金術の全てを終わらせたいだけだ」
「ホムンクルスと錬金術……なるほど。その詳しさ、金欲しさに首を突っ込んだわけではないようだな。だが、オレを簡単に信用していいのか?オレがオマエらを騙してると疑わないのか?」
「ふっ、疑う余地はない。オマエとヤツの一連のやり取りを見れば敵対してることは分かる。それにオマエはこの短時間でオレたちをただの金欲しさの軽いヤツでないと見抜いた。そんな男を疑うわけないだろ」
「……面白い。手伝うなら勝手にしろ」
アストの話を受けた砂弥はガイたちと手を組むかのような意思を見せ、砂弥の意思を感じたガイとソラは彼の隣に並び立つ。ガイとソラが隣に並び立つと砂弥はライトニングに睨みながら大口径のロングバレルタイプの銃の引き金を引いて弾丸を放ち、砂弥が弾丸を放つとガイとソラはライトニングを倒すべく同時に走り出す。
砂弥が放った弾丸をライトニングは防ごうとはせずに避けようと右に走ろうとするが、砂弥が指を鳴らすと弾丸が炸裂して中から粒子のようなものが噴出される。噴出された粒子のようなものが舞う中をライトニングは走るが、走るライトニングは突然血を吐くと苦しそうに足を止めてしまう。
「がっ……これは……!?」
「毒だ。それも可燃性の高いな」
「なら燃やすか」
ライトニングが苦しむ中で砂弥が解説するとソラは拳銃を構えて炎の弾丸を放ち、炎の弾丸がライトニングに迫ると毒と言われた粒子のようなものに引火して爆炎へと変化してライトニングを飲み込んでしまう。
「がぁぁあ!!」
「オレの攻撃が効いてる……?」
「正確には魔力を介して生成されていない自然の発火による炎だからだ。ヤツのあの異質な雷は魔力を介して放たれる攻撃を吸収する性質がある」
「じゃあアイツがガイと相馬ソラの攻撃を防げたのは吸収したからということか」
「そういうことだ。そしてヤツは今自分が強いと確信しているが故に油断している。攻めるなら……今がチャンスだ」
「けどオレたソラの攻撃を吸収されたらどうしようも……」
「あの防御は一方面にしか機能しない。誰かが囮になれば別角度から攻撃を食らわせることは可能だ。ただし、ホムンクルス・デッド同様に致命傷を与えねば何度でも動くぞ」
「なら囮はオレが引き受けよう」
砂弥の話を聞くなりアストは黒いエネルギー波を龍の形にして放ち、アストが攻撃を放つと爆炎に襲われるライトニングは苦しそうにしながらも雷のようなものでアストの攻撃を吸収しながら防ぎ止める。
ライトニングがアストが攻撃を防ぎ止めているとソラが前に出て拳銃を構え、炎を一点に集中させながら左側に回るとそのまま攻撃を放つ。
「そんなもの……!!」
砂弥が放った可燃性の高い毒の粒子のようなものが残ってるかも分からない中で放たれた炎に怯むことなくライトニングはアストの攻撃を完全に消し去ると次にソラの攻撃を防ぎ止める。
何をしても通用しないとでも言いたげな顔でライトニングはソラを見るがソラは走る足を止めると中指を立てながら告げる。
「バカが、あの世で後悔しろ」
ソラが冷たく告げるとライトニングの背後にガイが現れ、現れたガイは霊刀に蒼い炎を纏わせながら連撃を放つ。
完全に意識がソラの方へ向けられていたライトニングは気づくのに遅れ、ライトニングが気づいた頃にはガイの連撃全てが命中して敵はバラバラに切り刻まれていく。
「……さよならだ」
ガイが霊刀に纏わせた蒼い炎を消すとライトニングの切り刻まれた体は消滅する。ライトニングが消滅するとガイとソラは身に纏う力を消して武器を下ろし、砂弥も銃を下ろして気持ちを落ち着かせる。気持ちを落ち着かせた砂弥はガイたちに言った。
「オマエらの目的が何かを聞きたいし、オマエらもオレの話しを聞きたいはずだ。場所を変えて話をしないか?」
「……その提案をしてくれて助かるよ。
オレたちもジジがあるなら話を聞きたいしね」
「なら決まりだな」




