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パラレルラインの彼方の君へ  作者: 祭人
第七章 彼方の君へ
55/57

第五十五話 彼方の君へ

 ――

 ――


 ――…………。

 ――…………。


 ――…………君は…………誰?

 ――……あなたは…………誰?


 ――……そっか……お久しぶりです、美緒のお姉さんですよね?

 ――違うよ。あなたは……ジュンのご兄弟とかですか?


 ――違うよ。僕がひとりっ子なの、君もよく知ってるじゃないか。

 ――そうだよね。


 ――だから、僕は僕なんだけど。

 ――だから、わたしはわたしなんだけど。


 ――だから、僕は淳なんだけど。

 ――だから、わたしは美緒なんだけど。


 ――タチの悪いイタズラでしたら、よしてくれませんか?

 ――タチが悪いのは、どっちですか?


 ――さっきから、話が全然噛み合わないね。

 ――そうよね、昔っからほんと何かと平行線だよね、わたしたち。


 ――だって美緒が目の前にいるなんて、絶対に……。

 ――だってジュンがいるなんて、絶対に……。


 ――絶対にありえない筈なのに……だったら、どうして…………。

 ――絶対にありえない筈なのに……だったら、どうして…………。





 ――どうして七年前に死んだ筈の君が?

 ――どうして七年前に死んだ筈のあなたが?





 ――もしかして……これは……そういうこと……なのかな?

 ――うん……そういうこと……みたいだね。


 ――いつも……聡史が言ってた……あれだよね。

 ――うん……佐山くんが……言ってた……あれ。


 ――美緒…………だけどさ本当に、君は美緒なんだよね?

 ――そうだよジュン…………本当にあなたも、ジュン?

 

 ――そうだよ美緒。会いたかった、ずっと会いたかった。

 ――うん、わたしも。ずっと会いたかったよ。


 ――やっと……逢えたね。

 ――うん……やっと逢えた。


 ――ずっと、ずっと……会いたかった……。

 ――ずっと、ずっと……会いたかったよ……。


 ――ずっと……君に言えなかった。ずっと君に言いたかった。

 ――ずっと……わたしも本当の気持ちが……言えなかった。


 ――言っても……いいかい?

 ――うん、わたしも……いい?





 ――好きだよ、美緒。

 ――好きだよ、ジュン。





 ――好きだ美緒、君がずっと大好きだった。

 ――わたしもジュン、ずっとあなたが大好きだった。

 

 ――暖かいね…………美緒…………。

 ――うん…………とても暖かい……。

 

 ――美緒……美緒……みお……。

 ――ジュン……痛いよ……そんなに強く抱きしめちゃ……。


 ――……ごめん………………。

 ――………………ううん……。


 ――やっと……君に気持ちを……伝えれた……。

 ――うん、わたしも……やっとあなたに……。


 ――やっと……言えた……………………。

 ――やっと……言えたね……………………。


 ――……美緒、君の声が……遠ざかる…………。

 ――……ジュン……あなたの姿が薄れていく……。

 

 ――さよなら…………かな……………………。

 ――さよなら…………だね……今度こそ……。


 ――さよなら美緒。そっちの世界でどうか元気で……。


 ――さよならジュン。あなたも…………。

 

 ――並行世界の彼方から…………………。


 ――遠い空の……彼方から………………。


 ――君の幸せを、祈っているよ…………。


 ――君の幸せを、祈って………………。


 ――君の幸せを……………………。


 ――幸せを……………………。


 ――幸せ……………………。


 ――幸…………。


 ――…………。


 ――……。


 ――


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