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(4) 愛しの姫は森の中

小人の色と名前の対応表は活動報告の所に載せてありますので参考にしてください〜(自分でも混乱してきた)


森から少し離れた、隣の国の王宮。そこで、王子が静かに本を読んでいました。


「王子、読書中に失礼します。この前のお話ですが、この方はどうでしょうか?」


部下の男が、1人の女性の写真を王子に手渡しました。王子は少しそちらに視線を向けますが、すぐに本読みに戻ってしまいます。


「あ、あの……王子……?」


「断る」


「で、でも容姿性格身分どれを取っても申し分ありませんし……貴方様ももう17歳です。一度お会いするだけでも……」


「だから!俺はお見合いでなくて、運命的に出会いたいの!!綺麗な心を持つ人と一目惚れして結婚するんだ!!」


部下はため息を着いてから、写真を胸元にしまいました。


「王子、それは王子の愛読する少女漫画でしか起こりません。特に王子は立場上見知らぬ女性と出会う機会も少なく、また妻の座を狙って強行突破してくる人物もいるかもしれません。お願いですから早めに……」


「嫌だ……森の中にいるゆるふわガールと恋に落ちるんだ!!……そうか、俺が森に行かないのが悪いのか。ちょっと色々な森に行ってくる!!今日は北の森、明日は南の森……」


「だから森の中のゆるふわガールなど、存在しないとあれほど……それに、森にいる方など身分差がありすぎて騒動になってしまいますよ」


「身分差恋愛は昔からあるジャンルだ」


「いや、少女漫画の話をしている訳ではありませんから」


意気込む王子の背中を、部下は呆れながら追いかけていきました。



「そういえば、何で最近のお見合い写真、中年女性が多いんだ?」


「はい。若い女性に興味が無い様なら、と旦那様からのお達しがありまして……」


「え、俺親父に枯れ専だと思われてんの……?」


「私も、『王子は何方かと言えばロリだ』と反論したのですが……」


「いや、お前の認識もどうかしてるわ!!」


王子と部下は馬に跨り、森に向かって歩きました。






さあ、その頃の森の様子を見てみましょう。


「みんな本当に小人さんなんだね。可愛いね」


白雪が笑顔で話しかけると、小人達はほぼ全員首を横に振りました。


「私達としては、もう10代なのにいつまでも子どもっぽくて嫌だな」


「そうそう!こういう服着れないし!」


あいかとしおんはファッション雑誌を見せながら訴えます。肩出しのその服は、確かに彼女達には似合わなさそうです。


「でも全員ワタシより大きいじゃないか」


「サブ子と一緒にしないで!あなたネズミでしょ。服着ないじゃない!」


「あらまあ!ひどいじゃなーい」


サブ子(女子になりきったサブ太郎)もノリノリで会話に参加しています。


「この中で一番大きいのはあかねだけど、それでも小人の中で、ってだけだしね」


「ねる子はそだつ!」


わかばの声かけに、あかねは自信満々に答えました。


「ねーねー、白雪はこの中の筋肉だとどれが好き?」


「しらゆき、こっちのなかだったら?」


「あおい、筋肉好きな前提で話すの止めなさい。白雪困ってるから。みかんもそれ2次元アイドルでしょ?」


それぞれ好きな雑誌を見せながら迫るあおいとみかんに対し、わかばが制します。


「あはは。筋肉はよくわからないや〜。こっちの絵の女の子の中ならこの子かな?2人とも、筋肉とイラストが好きなの?」


「筋肉ってね、すごいんだよ。何かあった時に、他の人も自分も守れるんだよ」


「わたしね、かわいいこが すきなの!だからね、しらゆきのことも すき!」


白雪に抱っこしてもらおうと移動するみかんに対し、サブ子も慌てて席を移動します。


「ちょっとぉ〜白雪はワタシのなんですけどぉ〜」


「……さぶこには、まけないもん!」


みかんVSサブ子が始まりかけましたが、白雪は両者の頭を撫でて宥めていました。





女子会の最中、母親であるきららは狩人と別室で話をしていました。


「なあ、ちょっと話があるんだが……」


「ん〜?どうしたの?」


狩人はきららに女王の経緯を話しました。


「あら、それなら女王様をもてなすためにお料理沢山つくらなきゃ!あなた、連絡したらすぐに買い物行くわよ」


「いや、もてなさなくていいから……まあ、買い物行くなら荷物持ちに付き合うよ」


「うふふ、ありがとう」


狩人は女王に連絡を入れてから、きららと手を繋いで森を出て町に向かいました。









所変わって王宮では、連絡を受けた女王が全力で会議を終わらせて森へ行く準備をしていました。


「白雪ちゃん、どうやって連れ戻そうかしら……私だってバレたら『おばさまのお邪魔はできません』って可愛く言われちゃうわよね」


女王は少し立ち止まって考えた後、料理を作りはじめました。側で黙って見ていた鏡は慌てて魔女に尋ねます。


「ちょっと待って、何だその禍々しい鍋は!?」


「ちょっとお弁当の差し入れをしようかと思って。ほら、白雪ちゃんがお世話になった訳だし」


「あ、そこは常識的なのか」


「ついでに睡眠薬入れといて、皆が眠った頃を見計らってお持ち帰りすればいいじゃない」


「やっぱ常識的じゃなかったわ。あと、その鍋は何だ?」


「鍋?あーこれね。なんか昔通販で買ったのよ。『愛を確かめる鍋』だったかしら?

合コンに手料理持ってって使おうとしたんだけど、そもそも食べてもらう前に振られたのよねー」


「なんだいつも通りか……」


王女は料理を完成させると、次は変装を始めました。


「……なんか魔女みたいな服だな」


「変装よ変装。さっき言ったでしょ?」


女王は鏡の前で一周し確認すると、弁当箱をもって森へ向かいました。


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