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転生した事を後悔する世界  作者: 寒月 シバレ
第二章『新たな人生』
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ブラックカード

 一話だった物を分割しています!(後半は次話)

 登録をしに受け付けへと来たのだが、そこには丸眼鏡を掛けた長髪の可愛らしいお姉さんが立っていた。


「いらっしゃ……あ! マスターお疲れ様です!」


「受け付けのシオだ」


「初めまして! シオです!」


「初めまして、アイです」


 シオの第一印象はひまわりみたいに元気で明るい人。自分もこの人の様に明るくなれたら良いなと思うが、一生とまでは言わないが当分は無理だろう。


「シオ、この子の登録をして欲しいんだ」


「承知致しました!」


 キリアが差し出した用紙を受け取ったシオは驚き声をあげた。


「は、え、黒!?」


「声が大きい」


「あっすみません……以後気を付けます……。それでは! 登録用紙を出しますね!」


 大声で黒と言ってしまった事で、周りに居る人達の視線が集まっている。シオが目の前の何も無い空間を手でなぞる様に横へ動かすと一本の白い光が現れ、そこから出現した登録用紙1枚を私の前に置いた。


「こちらにお名前と年齢を記入して下さい!」


 言われた通り名前と年齢を記入し、シオへ手渡した。


「アイ・ドーエンさん16歳ですね!」


「はい」


 私が記入した登録用紙とキリアが渡した紙、そして真っ白なカードを重ね、それにシオが手をかざした。シオから魔力を感じると真っ白なカードが徐々に黒く染まって行った。


「そちらのギルドカードに少し魔力を流して頂ければ、ギルドに登録完了です!」


 黒いカードを受け取り見てみると、自分の名前とSの文字が金色で入っていた。水晶の二の舞にはなりたくは無い為、言われた通りに魔力を抑えて流した。


「ご登録ありがとうございます! ギルドサインへようこそ!」


「あ、ありがとうございます……」


 余りにもシオが元気過ぎるので段々と圧倒されて来た。


「所でこのSって何ですか?」


「それはギルドランクだ」


 疑問を口に出すと、ミールが答えた。


「ギルドランク? 色で分けるんじゃ無いんですか?」


「それは魔力値だよ。ギルドランクはF・E・D・C・B・A・S・SS・SSS・Xと上がって行く。登録したばかりはFランクだが、高いランクの依頼をこなす事によって上がるんだ。だからナイルは今Fランクだ」


「……じゃあ私のSは?」


 ミールは私の耳元へ口を寄せて小声で教えてくれた。


「ほら、金ドラを倒しただろ? あれは依頼だとしたらSSランクに匹敵するんだ。いきなりSSはあれだからってキリアがSランクにしたんだよ。多分だがな」


 キリアに向き直しお礼の意味を込めて会釈をすると、気にするなと手を振った。


「そろそろナイル連れてくるわ」


 目の前でキリアが消え、5秒もしないうちにナイルと共に現れた。


「あれ? 何で俺ここにいるんだ?」


 不思議そうに周りを見回すナイル。キリアが転移を使い、何も言わずに連れて来たのだから状況が分からないのは当然だろう。


「ナイル、私もギルドに登録したから依頼を受けようと思うんだけど」


「お! アイは何カードなんだ?」


「これ」


 出来たばかりの黒いカードを見せるとナイルは固まった。


「……まぁアイだしな。ブラックカードは当たり前だよな……ってランクはエっ……!?」


 ナイルの口をミールが空かさず塞いでくれた為、周囲にランクが漏れる事は無かった。いずれバレてしまう事でも有るが、なるべく知られない様にするに越したことは無い。


「ナイル、声が大きい」


「すみません……でも何でSランクなんですか? 俺はまだFランクなのに」


 ナイルのカードは紫色で、同じ様に名前とSの代わりにFと書かれていた。


「それがね、私が金ドラを倒したからみたい」


「あー……なら納得だ」


「二人とも、どの依頼を受けるんだ?」


 ナイルと談笑しているとミールが掲示板に貼られた依頼書を見ながら言った。私達も依頼を確認する為、掲示板へ駆け寄った。


「アイがSランクだから一応Sランクの依頼は受けれるが……初めてなんだし、せめてDランクの依頼にしたらどうだ?」


「Fからじゃなくても良いんですか?」


 「FからDはほぼ一緒だ。魔物の討伐依頼が有るか無いかの違いくらいだろうか」


「なるほど……どうしようかナイル」


「んーそうだな。余り焦らない方が良いし、まずはDランクから始めるか!」


「ふむ。Dランクの依頼だと……五つあるな」


 掲示板を見ると、ランクごとに依頼が別けられていた。Dランクの依頼内容に目を通す。


・畑を荒らすイノスを退治して欲しい。10,000ドロン

・森の入口で通る人にイタズラをするモグーを退治して欲しい。12,000ドロン

・湖で暴れるカムエを退治して欲しい。16,000ドロン

・川で魚を食い荒らすクママーンを退治して欲しい。18,000ドロン

・港であがった魚を横取りするカモミを退治して欲しい。13,000ドロン


 名前からそれぞれ想像が出来るが、ここの世界だと違う可能性もある為覚悟をして行かなければならない。


「まぁDランクだし、どの依頼も難なくクリア出来るだろ」


 ナイルの言う通り初級のクエストなのだからクリアは出来るだろう。ただ、私は何の知識も戦闘経験も無い。ナイルの足を引っ張らない様に自分の命は自分で守ろう。


「アイはどれが良い?」


「え? あー、どんな魔物か知らないからナイルが決めて良いよ」


「そっか。じゃあ……クママーンにしようかな。報酬も高いし」


「決まりだな」


 ミールはクママーン討伐依頼の紙を剥がし取り、受け付けのシオへ渡した。


「これを頼む」


「はい! クママーン討伐ですね! 報酬額は18,000ドロン! こちらをお受けになるんですね!」


「ああ」


 シオは依頼状に判子を捺し、魔力を流した。


「はい! 受け付けました! ご武運を!」


「ありがとう」


 判が捺された依頼状を受け取ったミールが戻って来た。 


「依頼の受け方は分かったな?」


「はい。掲示板から受ける依頼状を取り、受け付けに渡せば良いんですよね」


「そうだ。SSから上は受け付けに直接聞かなければならないから覚えておきなさい」


「分かりました」


 ふと静かだなと思い周りを見回してみるとキリアがいつの間にか居なくなっていた。


「キリアさんは?」


「そういえば居ないな……仕事があるんだろう。ナイル、クママーンが出没する川はどこだ?」


 ナイルは手に持つ依頼状を見ながら答えた。


「えっと、オレン川の中流ですね」


「オレン川か……それならばギルドから徒歩二時間だな」


「二時間も歩くんですか……」


 自慢では無いが、私は体力が殆ど無い。


「何をそんなにげんなりしている。身体強化をして走れば直ぐだろう」


 身体強化をしたうえで更に光速を使えば直ぐに目的地に着くはずだ。体力が無くても何とかなりそうな為ほっとした。ただ、場所が分からないので通り過ぎてしまう可能性が高い。


「私オレン川がどこか知らないから、ナイルに付いて行くね」


「おう! えーっと……依頼主がオレンの村長か。それなら探す手間が省けるな」


「依頼主に会うの?」


「そうだよ。会って依頼状にサインして貰ってから依頼を遂行するんだ。終わった後魔力を流して貰う。んで報酬は直接貰うかもしくはギルドから貰う」


「なるほど……」


 細かいルールは実際にクエストを受けて覚えて行く方が早そうだ。ミールも居るので安心して居たのだが、用が有る為同行は出来ないらしい。ナイルと二人きりで大丈夫なのだろうか。


「アイ、身体強化して行くからちゃんと付いて来てくれよ?」


「うん。ではミールさん、行ってきます」


「ああ、気を付けるんだぞ!」


 ナイルの体から魔力を感じその様子を見て居ると、次第に魔力が全身を覆っていった。これが身体強化だろうか。自分も見様見真似で身体強化をしてみよう。瞼を閉じ体の機能を上げる魔力が全身を覆うイメージ……。ゆっくりと目を開き自分の体を確認してみた。すると僅かにキラキラと輝きを放っていた。身体強化が出来た実感が余り無いが、成功したのだろうか。


「アイさぁ、何か光ってね?」


「やっぱり光ってる? 消し方分からないんだよね」


「ふーん。良く分かんねぇけど、綺麗だからそれで良いんじゃない? じゃ、行くぞ!」


 走り出したナイルの後を追う様に私も走り出した。

 ここまで読んで頂きありがとうございます!


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