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GOD騎士(ゴッドナイト) 〜人間=俺=新米神様〜  作者: ミヤザキング
始まりの章『神様との出会い』
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始まりの章5 『冥界の管理者』

「ヘ、ヘェル?」


ルミウスは、ハデスが言った聞きなれない名前に反応した。それは当然、フィアも同じだ。

2人して聞き慣れない名前に疑問の顔を浮かべていたが、ハデスはその間にも周りを警戒しながら2人に近寄る。

先程のハデスの放った青色の炎により、何百もの死霊が一度にして消え去ったが、奴らの攻撃が終わった訳ではない。遠くの方では死霊と冥界の管理者との激戦が繰り広げられているだろう。現に今、この冥界には激しい爆発音が鳴り響いている。

そして、ハデス達の近くにもまた死霊が湧き出てきている。あと数分もすれば、何百という数の死霊が襲いかかってくるだろう。


なので、ハデスは2人に近寄った。そして、2人を左右の両脇に抱えた。


「すまんな。ちょっと失礼する!」


「えっ! ちょっ! ぇ!」


そのハデスのいきなりの大胆な行動にフィアは慣れないのか戸惑う。それはルミウスも同じ事で、いきなりの事に驚いたようだ。しかし、ハデス様のことだからとでも思っているのだろう。その驚きは一瞬で、もう冷静に落ち着いて状況から何故か理解したようだ。


そして次の瞬間、2人の足は地面から離れた。そう、ハデスが飛んだのだ。


「あの真ん中の塔へ行く。お主ら落ちるんじゃないぞ!」


そう言ってハデスは二人を抱えたまま、物凄いスピードで真ん中の塔目指し、飛行し始めた。フィアは初めての飛行だったのにも関わらず、ハデスの音速くらいのかなりのスピードに早くも恐怖という文字が顔に出ている。一方ルミウスは大丈夫そうだ。

そんな中、ハデスは猛スピードで飛行しながらこの冥界の状況を2人に語り出した。


「今、この冥界はヘェルによって侵略されている……多分、これは間違いないじゃろう……アイツは『死霊(アンデッド)』を蘇らせ、管理者達と戦わせておるのじゃ!……儂が思うにこれはアイツの闇属性の魔法なのじゃからな……だからこそ、この状況はアイツによる攻撃だと儂は思っておる……しかも、以前よりアイツは強くなっておる。……ヘェルは儂の仲間……じゃったの、にな……ッ!』


そう語るハデスの表情には隠しているようで隠しきれない悲しみが表れていた。

その間にも冥界全域では激戦が繰り広げられている。

物凄い数の死霊。さすがに、管理者と死霊では単体での戦闘力では管理者側が強いが、やはり死霊の軍団の数は異常だ。万単位で死霊が冥界に湧き出ている。そして奴らの攻撃の勢いは止まらない。また、死霊とは違い、管理者達には体力がある。集中力も途切れてきて、この激戦が管理者達の劣勢になるのも時間の問題だった。


「ハデス様……そのヘェルという者はどこに? 私とハデス様がいれば、そのヘェルという者も……私たちならば、倒せるのではないんでしょうか?」


ルミウスは何処か悲しそうなハデスに思いっ切って聞いてみた。しかし、そのハデスの表情はまた少し複雑な感じになっていた。


「……分からんのじゃ。アイツは何処にいるかすら儂には察知できん……それどころか……アイツの死霊を支配する力の強さ。そして、何より量じゃ。儂が知っているヘェルならば……ここまでの力は持っていなかったじゃろう……多分、いや、絶対にアイツは強くなっておる……アイツはもう以前のヘェルじゃ、ないじゃろうな……ッ! 今の儂らでは正直勝てるかは分からん……かなりの激戦は避けられんじゃろう……やはり、ヘェルはもう闇の道に落ちてしまったようじゃな……ッ!!」


ハデスは悔しそうにそう言った。

ルミウスはその言葉を聞き、多少驚いているようだ。勿論ハデスとルミウスの戦闘力も相当の強さだ。しかも、ハデスは『神様』である。それも上級であり、この冥界を任されている神。この世に一つしかない冥界の全ての支配者。

そんなハデスでもルミウスと共闘してヘェルには勝てるか分からない。

そして、次にハデスは少し間を置いてからヘェルについて語り出した。


「……本当はヘェルも『神様』なのじゃ……昔は儂と一緒に冥界を管理していたのじゃ。君のように学院を卒業し、神別されてこの冥界に若くしてアイツはやって来たのじゃ。その頃のヘェルは真面目で努力家じゃった。儂の所に来ては魔法の勉強をし、死霊達の管理は完璧と呼べるくらい上出来じゃった。しかし、いつの日からじゃったか……日に日に儂や他の管理者との間でヘェルは意見が割れ出したのじゃ。……最初の方は表立ってはいなかったもののヘェルの奴元からは変わった考えの持ち主でな。冥界に封印されておる極悪人の中でも有効活用できる奴は死霊にして、儂らの仲間として管理者職なりに就かせてあげたいなどということを言っておった。確かに死んで封印された極悪人の戦闘力は高い。ヘェルならば、死霊として蘇らせることが出来る。しかし、ヘェル以外の儂らは反対した。何より問題事が起これば、人間界にも天界にも影響を与えてしまうからのう……現状維持を望んだんじゃ。……それからというもの、ヘェルと儂らとの口論が増えていってしまった……そして、ヘェルはいつの日か誰にも別れを言わず、冥界を出ていき行方不明となってしまったのだ。しかしこの今となって、アイツは冥界に戻ってきた……狙いは分からぬ。じゃがアイツは、冥界を……儂らを恨んでおるかもしれん。……そして今、アイツは極悪人達を死霊として、蘇らせておる。じゃが、まだここにいる死霊達は極悪人の中でも戦闘力は低い方……しかし昔、存在した英雄、魔人、悪魔、怪物などの者達は蘇らせては絶対にいけぬ。その時こそ、儂らの負けじゃ。その手遅れになる前にそいつらの強力な霊が眠る真ん中の塔。『ヘルタワー』を守らなければいかん。ヘルタワーはこの冥界でかなり強力な極悪人の霊が封印されとる場所なんじゃ……だからこそ、アイツは現れる可能性が高いじゃろうな……勝てないのは、強力な死霊が蘇ったときじゃ……その時が儂らがヘェルに殺される時じゃな……ヘェルがこの冥界へと新任された時、儂はこの子ならばこの冥界の管理者をまとめあげ、霊をしっかりと封印し管理できる思っておった……アイツの潜在能力は計り知れん。それを磨けばこの世界の為になると思って……儂はヘェルを自分の子のように育てた……じゃが、仮にこの戦場がヘェルの仕業だとしたら……儂は……とんでもない間違いをしてしまったようじゃな……」


そうハデスはヘェルがここに来た時から、ヘェルを育ててきた。もちろん、この冥界全てを管理してもらうためでもあったのだが、ハデスは少なからずヘェルに対し、愛情を持ちながら育てた。

そしてヘェル自身も自分自身の中に眠る『闇属性』を操れるようになると、ハデスから沢山の魔法を習得させてもらった。その中でもヘェルの使う『死霊(アンデッド)魔法』はハデスが見てきた人達の中でもトップクラスだった。この魔法が出来たとき、ハデスはもちろん喜んだ。かなりの最上級魔法の一つであるこの魔法はなかなか出来るものではないのだから……。でも、それは、今思うと、いけない事だったかもしれない。

そして、ヘェルは意見の違いに口論し、この冥界を去った。


そんなヘェルのことを思い出しながら、ハデスは悔しんでいた。もっとああしていればなどと言うことを考えてももう手遅れ。悔しむのも無理はない。

またフィアもルミウスもそのハデスの様子に何かを感じたのか……そのことをもう追求することは無かった。


そんな話を来ている間に大きな塔『ヘルタワー』はもうすぐだ。着実に魔法攻撃を交わしながら3人はヘルタワーへのと近づいていた。


───────────────────────────

「よし、着いたぞ。お主ら、ここがさっき程言ったヘルタワーじゃ!」


着いた頃にはハデスは調子を取り戻していた。ハデスは2人にそう言って地に降り立った。勿論地上にいた死霊はハデスにより一掃され、その空いたスペースにフィアとルミウスは降りたつ。

そして、降り立ったフィアは上を見上げながら、思っていたことが口の中から漏れる。


「お、大きい……」


それもそのはず、ヘルタワーは高さ1000メートルくらいはある。地下にも繋がっており、その中では沢山の霊が眠っている。

形は円柱で半径も200メートルくらいある物凄い大きな塔なのだ。


だが、そんな驚いている暇はない。フィアでもこの冥界の危機がオーラでわかる。だから、三人は急いで入口へと走り出した。


そして、入り口に入った瞬間、3人の目は大きく開かれる。


「ッ! 遅かったようじゃ……」


「この数と戦闘力……私達で……倒せるのか……」


「えっ……そ、そんな……オ、オーラが……」


ヘルタワーの中の構造は大きな開けた空洞が真ん中に円状にあり、その周りが囲むように側面には螺旋状に上への通路があり、その通路の外側が霊が封印されている牢屋が存在しているのだ。


三人が見た塔の中は、もう多くの管理者たちがヘルタワーの内部で戦っていた。その敵は大量の死霊たちだ。それも外にいたのとはまた違う。かなりの戦闘力だ。外にいる死霊達とは格が違う。何人かの管理者たちはかなりの傷を受けていた。

そうもうここには死霊魔法が使える魔術師が辿り着いてしまっていたのだ。ハデスはいち早く、死霊と戦っている管理者の一人の死霊を一掃し、その管理者に問いただした。


「おい! こ、これはどういうことじゃ……犯人はどこにいったのじゃっ! 上層がやられたのか!? どういう状況なのじゃ!」


「ハ、ハデス様っ! すみません、ここを死守できず……や、奴がやったのは上層です! 上層が全てやられただけでっ! まだ、今なら間に合いますっ! ヘェル様、いや、あいつを倒してくださいっ! 今、地下一階に行ったばかりです」


「ヘェル……ッ!! 儂らを舐めよってっ! 上層から蘇らせるとはっ! お主は神域に行ってきてくれっ! そこにいる神たちにこの事を伝えろ! そして、援軍を頼んでこいっ! 出口の方にゲートを展開する! 頼んだぞ!」


ハデスはその管理者にそう言い、出口の方に何かしらの魔法を放った。その管理者はそのハデスの言った通り、ヘルタワーの出口へと走っていった。


ヘルタワーの上層。それは霊が塔の中ではまだ比較的弱く、下層へ、地下へ行く程強い霊が封印されている。

しかし上層が弱いと言ってもそこら辺にあるヘルタワーよりも一回り小さい各封印塔の霊よりはここにいる霊は強力なものばかりなのだが……。


その管理者を見送り、ハデスは急いで地下への階段へと走り出す。そハデスを見てこの状況がいかに危険なのかを理解したのか2人も急いでついていく。


「ここの階は任せてくださいっ! 私たちが抑えておきますからっ! ハデス様! や、奴を倒してください!」


走っていく3人に管理者たちは、声援を送り階段までの道を作る。死霊たちの攻撃が三人に当たらないように……。

そして、三人は階段に辿り着き、地下へと降りていった。


───────────────────────────

三人が地下一階に着いたとき、三人の目の前は真っ暗だった。


「サン・ライトッ!」


ルミウスがそれを見て、太陽の光を人工的に作り出す『光属性』魔法の初級魔法を放つ。そして、階の天井へと放ったルミウスの光は天井についたところで発光した。


次の瞬間、目の前の『闇』が消える。

そして、三人は体が凍りつくほどの光景を見た。


目の前には30メートル近い巨人、そして、その肩に座る一人の女がいた。彼女は体の右半分が黒く腐敗しており、左半分は白色の人の肌。これを見た者は彼女を怪物と呼ぶだろう。


そして、その女はこちらに気付き、こう言った。


「フハハッ! 僕は『魔王軍第4幹部ヘェル』 以後、御見知り置きを……」


深々とお辞儀をしながら、笑う女はそう名乗った。

ヘェルの登場で、今回は終了です。

ヘェルタワーの地下1階は巨人の霊が封印されているので天井はかなり高く、戦闘には持ってこいのスペースがありますね……。

さあ! 次は戦っちゃいますよー!!!


どうぞー! お楽しみに!!!

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