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GOD騎士(ゴッドナイト) 〜人間=俺=新米神様〜  作者: ミヤザキング
始まりの章『神様との出会い』
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始まりの章4 『戦乱の冥界』


「に、似合ってるかな?」


フィアは独りで鏡を見ながら呟く。

ここは、神殿の中。フィア専用の個室といったところだ。

そして、今、フィアは体をいろんな向きに動かしながら鏡に映る自分を確認している。


「よしっ! いい感じ、いい感じ! いい感じ……なのかな? んっ?」


慣れない格好の自分に不安を抱きながらもフィアはその姿を確認し終わった。すると、ドアをノックする音が聞こえてきた。


「ルミウスなの?」


「はい、私です。ルミウスです。フィア様、お時間です。入ってもよろしいですか?』


「あ、うん、いいよ」


その合図で、ルミウスがドアを開け、入ってくる。

ちょっと今のフィアの姿を見せるのは恥ずかしいが、どうせ見られることなのでフィアは少し覚悟を決めた。

すると、入ってきたルミウスもまた、白色の紳士服に身を包んでいた。

その姿はとても似合っており、紳士と誰もが認められる姿だった。

ルミウスは元々美しい人だが、先程の神官の格好よりも一段と美しい。


「ルミウス、か、かなり似合ってるよ。フィアは……ちょっとダメダメだよね…。」


ルミウスの似合いさにフィアは驚いた。そして、ネガティブな発言をフィアはしたが、ルミウスは慌ててフィアに向かって言った。


「い、いえ! も、ものすごくお似合いですよ! ほ、本当にお綺麗です。」


ルミウスは少し頬を赤らめながら言った。

それ程、フィアのドレス姿が似合ってるのだ。ルミウスも似合ってはいるが、フィアには勝てないのだった。そんな事はフィアは自覚していないのだが……。


「では、フィア様。冥界へと行きましょう。私についてきて下さい。今から、『転移の間』へと行きますので……」


『転移の間』というのは、この神殿の中にある移動を扱う部屋だ。部屋と言ってもその扉から中に入ればすぐに転移するので部屋というかゴッドゲートのようなくぐれば転移する方式に似ている。

この部屋は天界、冥界、そして、人間界を繋ぐ。2人はフィアの部屋を出て、フィアとルミウスはその部屋へと向かった。


廊下に出てて、その部屋へと歩いていたフィアはいつ見ても凄いと思う絵画や装飾品の質の良さと赤い絨毯の高貴さに目を輝かせていた。

その一つ一つを管理しているルミウスは本当に凄いとフィアは感じた。


そんな事を考えている内に2人は大きな扉の前に到着した。


「フィア様。ここが『転移の間』です。」


ルミウスの案内のもと、着いた部屋はゴッドゲートよりかは小さいが、それでも大きな扉だった。


その扉の前でしばらくルミウスとフィアは何の疑いもなく開くのを待っていたが、異変に気づいたのはルミウスが先だった。


「……お、おかしい。少し待っていてください。」


ルミウスは目を閉じ考え込む。そのルミウスの様子の異変にフィアは遅れて転移の間の異変に気づく。


「ル、ルミウス?」


フィアの心配そうな声が廊下に静かに響く。

ルミウスは依然として目を閉じ、考え込んでいる。

こんな自体は長い間ここにいるルミウスにとっても異例だ。

理由を模索してもしてもしても出てくる理由はどれも違うように感じる。

実の所、ルミウスの心の中にはある一つの推測はあった。だが、認められなかったんだろう。そんな事は有り得ないのだから……。


ルミウスは扉に手を掛ける。でも、開く気配はない。フィアは黙って開かれる扉の先を見つめていた。


ルミウスは思いっきり扉を強制的に開けた。

すると、扉が開き、中からは『光』が溢れてくる。しかし、その『光』には暖かさがなかった。


───────────────────────────

扉を空けた先。もちろん、冥界であるが、その初めてみる冥界はフィアにとって悲惨な光景だった。

フィアの隣にいるルミウスももちろんびっくりしている。いや、フィアよりも彼の方がもっともっと動揺しているのだろう。ルミウスの予測が当たってしまったのだから……。


そう、扉の先には"戦い"が繰り広げられていたのだから……。

扉は向こう側が戦いのような危険な場合、自動的には開かないようになっている。そうしなければ、扉の意思で人が転移されたことになる。それは扉のせいであり、扉がその人を戦いに巻き込んだことになる。

しかし、自分の意思で扉を開けた場合は開けた本人の責任であり、開けた本人が戦いに参加したことになる。なので扉には責任がない。

故に扉は開かなかったのだ。


「ドカンッ! バシューンッ! バカンッ……」


激しい魔法音の中、冥界は戦場と化していた。

フィアとルミウスの目の前には、『冥界の管理者たち』と『死霊(アンデッド)軍団』との戦いが行われている。

暴れ回る死霊。それを防ぐ管理者だち。しかし、次から次へと増えていく死霊たちの勢いは止まらない。何体かの死霊もルミウス達を敵として襲いかかってきている。それをルミウスは攻撃魔法で迎撃している。

しかし、そんな事をしていては限りがない。


上空には魔法が飛び交っている中、ルミウスはフィアを抱きかかえた。


「ル、ルミウス!?」


フィアはいきなり抱きかかえられて頬を赤くしてルミウスを見つめる。そのルミウスの目は真剣そのものだ。


「フィア様は私が命に替えてもお守りします。」


「ぇ! い、命は掛けなくても……」


フィアの方を向き、優しく笑顔でルミウスはそう言った。

フィアの言葉にルミウスが返答することはなかった。


そして、ルミウスはある場所へと向かって走り出した。

冥界の真ん中にある大きな塔だ。そこは冥界の中枢といってもいいだろう。そこへとルミウスは無我無心に向かっていた。その間にも死霊たちが魔法を放ってきたり、剣撃や打撃攻撃をルミウスたちに与えに来ていた。

それでも、ルミウスは負けじと物凄いスピードで走っていく。


「あそこに向かえば、いるはずだっ! あそこには、必ずっ!」


「ル、ルミウス、だいじょうぶ? フ、フィアはいいから。あなたは自分を守ってぇ。本当に、フィアはいいから。許可するからっ!」


道中、ルミウス達はかなりの死霊たちの攻撃を受けた。

死者たちの無差別に繰り出す魔法の数々は威力は強くないものの物凄い数の魔法だ。フィアはルミウスの張った結界(バリア)の影響で傷一つないが、ルミウスは違う。フィアを守る為に発動させた結界によって魔力を消費し、自身には結界をかけ切れていない。

なのでルミウスは、結界なしに魔法を直接受けている。頭から、血を流し、白色の紳士服ももう白色では無くなっている。

そんなルミウスの身をフィアは心配した。だが、ルミウスはフィアの言葉を無視して魔法を唱え続け、反撃を繰り返す。

そして、道を作り走っていた。もちろん、ルミウスはかなりの強者だ。敵たちをまき散らしていく。本当に圧倒的な強さだ。

しかし、いくら強くても数には勝てない。倒しても倒しても増えていく死霊軍団。ざっと何百は余裕で超える死者軍団にルミウスとフィアは完全に囲まれてしまっていた。


ルミウスは周りを見渡すが、抜け道の一つもない。その間にも死霊たちは多種多様な攻撃を放ってくる。その一つ一つを見極め、全てを交わすことはルミウスとて難しい。

次第にルミウスには疲れ見え始めている。

そして、どんどんルミウス達と死霊達の間は狭まっていく。ルミウスは強いが1度にこんなにも量の敵に捕まれば、劣勢にも程がある。


その状態を喜ぶように死霊たちはカタカタと笑っている。フィアは人生初の戦場に恐怖し、必死でルミウスの胸の中に顔をうずくめている。

ルミウスはどうにかこうにか、抜け道を作ろうと魔法を放つが、どれもこれも抜け道を作れる程ではない。

その間にも死霊の攻撃を受けているルミウスは遂に片膝を地面に付けてしまう。その瞬間、死霊はルミウス達に覆い被さるように全員攻撃きてきた。


「エンシェント・ブレイクッ!」


そのルミウスでもなくフィアでもない声の後、途端に周りにいた死霊たちが青い炎に飲み込まれていく。一瞬で周りにいた数百体は消滅した。

フィアは上に強いオーラを感じた。そして、上を見上げると、そこには一人の男がいた。

フィアは会ったこともないし、知らない存在だが、その神しか発せないオーラである『神のオーラ』を感じた。不思議に思ったフィアは聞こうとする。しかし、その前にもう一人の口から言葉が出た。


「ハ、ハデス様ッ!」


ルミウスの口から出たのは、『ハデス』という名だった。フィアも知っている人物だ。神殿でルミウスが言っていたのもあるが、神域でも聞いたことのある名だ。

冥界を支配している神……。会ったことはなかったが、名前は知っていた。テミスやアポロ、同級生の神見習い達から聞いたことがあるのだ。

すると、上空にいたハデスが2人を見て、驚いた表情を見せる。


「ルミウスか!? お前さんが聞いていたフィアっていう神か。本当にこんなときにっ! ゼウスの野郎はどうなっとるんじゃ! それにしては、まあ、ルミウス、随分と遅かったのう。ちょっと、儂は待ってしまったぞ……」


ハデスは地に降りながらそう語った。ルミウスとは面識があるようだが、フィアのことは当然初めてのようだ。

ルミウスは降りてきたハデスに向かって頭を下げた。


「ハデス様。助けていただきありがとうございました。そして、勝手に私の判断で……すみませんでした!」


そう謝るとハデスは少し意外なルミウスを見るような顔をして、笑い出した。


「そうか! そうか! ガハハハハッ! ……守りたいものが出来たようじゃ。ルミウス。」


そう言って、ハデスは真剣な表情に戻った。フィアにはその意味が分からず、首を傾げたが、ハデスは「お前さんは知らなくてもいいことじゃよ。」と笑顔で言ってくれたのでフィアは追求しなかった。

すると、ルミウスはハデスに向かって続けて質問した。


「ハ、ハデスさん、冥界に、な、何があったのですか?」


ルミウスはじっとハデスを見つめる。ルミウスもこの冥界の様子に冷静ではない。一刻も早くこの戦闘の意味が知りたかった。

その質問にフィアも頷きながら、ハデスを見ている。ハデスは顎を掻きながらこう言った。


「ヘェルのやつが暴れ出しやがった。」

ヘェル……ヘェル……ヘェル……?!

新キャラのハデスを加え、ヘェルの名が登場しましたねー!!

謎の人物ヘェル。冥界を攻撃する程の強さを持ってますからね〜。

次回をお楽しみに!!!

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