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GOD騎士(ゴッドナイト) 〜人間=俺=新米神様〜  作者: ミヤザキング
始まりの章『神様との出会い』
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始まりの章3 『新しい始まり』

あのダメダメ神様であるフィアがやった事は当然、笑い事では済まされない。

俺、いや、俺たちみんなの人類の地球の道を狂わせた。これがどんなに責任が重く、最悪なことなのか。

当然、おっちょこちょいでは済まされないのだ。こんな事をした神が今目の前にいる。それを俺は知ってしまった。


───────────────────────────

そして、時は少し遡る。一年ほど前へと……。


ある日、『神域』と呼ばれる神々の暮らす世界にある少年、少女たちがいた。

今さっき、学校の体育館で卒業式を行ったばかりの卒業生たちだ。手には卒業証書を持ち、皆が卒業出来たことに誇りを持ち、胸を張って退場していっている。

この日、この『神育成学院』をフィアは卒業したのだった。


「フィア〜〜! 卒業おめでとうーー!!」


「神様として頑張るんだぞーー!!」


多くの声援の中、フィアは門出されていた。多くの友人や後輩、先輩方も来ており、神以外の職である神官や天使などもちらほら新しい神の誕生を見に来ているようだ。

その中でフィアはたくさんの声援に応えるように手を振り、握手し、笑顔で「頑張ってくる」と言ってある場所へと向かっていた。

そのある場所に向かうのはフィアだけではなく、ここにいる全員だ。

やっと行くことが許された場所。神になる為に世界が割り振られる場所。


『神選所』へと皆は向かっていた。


その道中、フィアは見守りに来てくれた2人の先輩とこれまでの過去の笑い話をしたりして一緒に歩いていた。

この2人はフィアにとってとても大切な人であり、兄姉のような存在。

そんな彼らにフィアはもじもじしながらずっと不安だったことを聞いてみた。


「フ、フィアなんかが、ほ、本当に『神様』をしてもよろしいんでしょうか? じ、自信がないですよぉ〜〜」


フィア自身、自分には自信がない。神として自分が世界を管理してもいいのかといつも思っていた。フィアは才能がない訳ではない。生まれつき『(ゴッド)』としての適性を持っている。やろうと思えば、良い神になれるのだ。

しかし、気持ちの面でフィアはまだまだ未熟だ。フィアは自分なんかが神をやっても良いのかずっと迷っていたのだった。


「フィアはぁ〜、いい子で頑張り屋さんだからぁ〜、まあ、だいじょうぶだわぁ〜、あたしゃぁ〜、フィアが頑張る姿ぁ〜、神域から見とるでなぁ〜〜〜、新米神様ぁ〜頑張ってぇ〜、ねぇ? アポロォ〜〜?』


テミスが自信なさ気なフィアに後押しする。でも、この自信なさ気さはいつものことである。テミスなりのフィアへの応援なんだと思う。フィアもテミスにそんな事を言われて少し頬がにやける。


「い、いきなり、振るなよっ! でも、まあ、そりぁ、俺だって最初は緊張したもんだ! 親父にそうやって神様って言われた時はもう、違和感しかなかったよ。でも、まあ、神は楽しい。 強い! まあ、親父には勝てねぇけどよ……まあ、俺も応援しとるよ。フィア!」


アポロがフィアの背中をポンポン叩く。

当然、テミスもアポロも神様でありフィアの先輩だ。フィアを小さい時から可愛がっていた神たちの中の2人だ。その師匠や先輩とでも呼べるだろう存在のその言葉を聞き、気持ちを落ち着けるためにフィアは深呼吸して、決意を言った。


「テミス先輩、アポロ先輩、ありがとうございます! わ、私は頑張っていこうと思います! この今から行く世界のみんなを幸せにすることをフィアは成し遂げてみせます!」


フィアは少し頬を赤らめ、照れながら、自分の理想の世界を語った。それを言葉を聞き、神たちは笑顔で頷き、「頑張ってぇ〜ね」「頑張れよ」と言ってくれた。


そして、それからしばらくして3人は『神選所』に着いた。


中はとても広く学院の体育館の何倍かあった。フィアはその中でも前の方にある卒業生席に着席する。テミスやアポロは後ろの方の観覧席だ。


フィアが着席した頃にはもう何人かが呼ばれており、その神選所の神別を受けていた。次々に卒業生の名前が呼ばれていき、その者達は壇上で神別されていく。

この『神選所』は神になった者の行く先を決める場である。

壇上に置いてある神別の巨大水晶に神が触れるとどの世界へ行くのかが明示される。それにより、神として新しくスタートする者はその世界へと行く。簡単に言えば、担当の世界を決めるための施設なのだ。


「卒業生187450フィア!」


その声を聞き、フィアは立ち上がり壇上を目指す。これでフィアは正式に認められ神になるんだ。


────フィアは神になるんだ! 頑張れフィア! 負けるなフィア!


心の中で自分自身を応援し、奮い立たせながら壇上を登る。一段一段がとても重たく感じる。

そして、フィアは神別の巨大水晶の前で立ち止まった。


天井にまで続き、異様な存在感を放つ巨大水晶。それに触れたら、フィアは自分の世界を持つ。ごくんと口の中の唾液を飲み込み、スーハースーハーと息を整える。そして、両頬を両手でパチパチとして再び巨大水晶を見つめる。


そして、フィアは巨大水晶に触れた。

その瞬間、水晶が光り、フィアの触れた手がほんのりの暖かくなる。


【Tー38世界】


くっきりとフィアの触れたあとの巨大水晶にはこう明示された。


そして、翌朝、フィアは珍しく朝早起きをした。今日から自分の世界にいき、神としての仕事をするからだ。学院では神の仕事はたくさん習ったし、実習でもそこまで悪くはなかった。

それでも、自分への自信を持てないフィアはそわそわしているのだ。

もうすぐ神になっちゃうのだから……。


しばらくしてから、フィアへの呼び出しが来て、フィアは神域の東側。

『ゴッドゲート』のある方へと向かった。

『ゴッドゲート』。それは色々な世界を繋ぐゲートであり、設置型ゴッドゲートは神域の東側にしかない。一応、全ての全神神と呼ばれるゼウスの住む全神城にはゴッドゲートがもう一つあるとは言われているが、ゼウスには一般神様が会うことはない。相当な事がない限り会えないとも言われている。

また、話は戻るが、ゴッドゲートは上級神様などは自身で生み出すことも可能なようで見たことはないが、上級神様などは自由に世界を行き来出来るようだ。

その上級神様や神貴族、大神官、大天使などといった者達でないとゼウスの城の門はくぐれないし、城に入る事さえも禁じられている。

フィアもまたゼウスには会ったことがない。一般神様であるフィアには一生をかけて会えるか分からない存在なのだから……。


そして、東側へと行く道中でテミスとアポロをフィアは見つけた。2人ともフィアを待っていたようでその後、3人でゴッドゲートへと向かうことにした。


そして、遠くからでも分かるほど、ゴッドゲートが見えてきた。

フィアはあまり来たことがないが、2人はもう何回も使っているので馴染みの深い門だろう。

その門の先は『光』となっていて、その先は見えない。


────あそこをくぐったら神様なのか……。


フィアはやはり不安だ。神様としてやっていけるのか。自分がこのフィアが世界を管理してもいいのか。皆が幸せになってくれるのか。


そう思っていると、ポンと2つの手がフィアの背中を押した。フィアは勢い余って前傾姿勢になったが、どうにか持ち直し後ろを見る。

そこには笑顔の2人がいた。


「フィアはぁ〜、あたしぃ〜の見込んだぁ〜、いい女よぉ〜! フィアはぁ〜、もっともっ〜と! 自分に自信を持っていいんだよぉ〜。いつでもぉ〜応援しているぅ〜からねぇ〜!」


「俺はフィアのことは妹のように感じてるんだ! お前はまだ自信が無いかもしれんが、いつか自信が持てるような日がくる。その時まで俺はお前の背中を押したる! 行ってこい! それで俺にお前の世界を見せてくれ!」


その2人の言葉にフィアは嬉しくて涙が少し零れる。しかし、急いで腕で拭い、フィアは2人に向かって笑ってみせる。


「フィアはみーんなを幸せにするの! そんな世界にしてみせるの!」


そうフィアは自分を奮い立たせ、ゴッドゲートのある方向へと走り出す。

後ろでは2人がフィアのために手を振って見送ってくれている。フィアも手を振り、前にはもう高くそびえる門がある。


そして、フィアは『光』に包まれ、転移した。


「Tー38世界行きぃ〜Tー38世界行きぃ〜。空間酔いにお気をつけてください。」




フィアの脳内に、アナウンスのような案内声が流れる。

そして、次の瞬間、フィアの意識が途切れていった。



しかし、誰1人としてこれからフィアが体験する事件をここにいる神たちですら、予測はしてなかった。

まさか、フィアの世界が壊れるなんて……。

いや、それは、フィア以外のもなのだが……。

───────────────────────────

フィアの目が覚める。『光』が消えた先は雲の上の神殿のような場所だった。


「ここ、は?」


ふと、フィアは見たことのない場所につい思ったことが口に出たが、思い出してみたら、自然と答えが出る。


「神様、ここがTー38世界の神殿でございます。」


もう一人いるようで、ある男の声がフィアの後ろから聞こえてきた。

フィアは急いで振り向く。そこには、一人の金髪の美男がいた。背は余裕で12才くらいの背しかないフィアを超えている。

神のオーラこそ、出てはいないが、なかなかの強さだと言うことはオーラでフィアも感じれる。


(わたくし)は、Tー38世界担当神官、ルミウスでございます。そして、今日からフィア様にお使えする者であります。」


ルミウスは右手を自分の胸に当て、お辞儀をするように自己紹介をした。

ルミウスは神様フィアの補佐役として共にこの世界を管理していく神官なのだ。


フィアは「そんな堅苦しいの止めてよ〜」と慌てながらルミウスの姿勢をやめさせようとする。フィアはそんな態度をされた事がないので、戸惑うのは当然だ。

フィアは少し深呼吸をして、ルミウスを見る。

そして、これからのパートナーに向かって意気込む。


「これから、よろしくね。ルミウス! 私はまだまだ未熟でよく分からないことだらけだけど、一生懸命頑張るから! いろいろ教えてね。」


『はい! こちらこそよろしくお願い致します。しかし、私はフィア様のような偉大な力は持っていません。まだまだ未熟な身ではありますが、出来る限り何事にも全力を出し、この世界の為に尽くしましょう!』


ルミウスは自信あり気にそう答えた。


「う、うん。あ、ありがとう。じゃ、じゃあ、とりあえず今から、何かあるの? このTー38世界を見てきたいんだけど……。」


「すみませんが、フィア様。予定が今からすぐにございます。至急準備の方をお願いいたします。」


「じゅ、準備って?」


子供のようなフィアの願いは拒否され、ルミウスは手帳を見ながら、そう言った。実のことを言うとフィアはTー38世界がどんな世界なのか昨日の夜考えまくっていた。その度に想像が膨れ上がっていき、顔のにやけは止まらなかった。


予定があるのではしょうがないのでフィアはまた今度に見に行くことにして、フィアは準備というのに首を傾げながら、ルミウスに聞く。

すると、ルミウスはゆっくりと今後のことについて語った。


「突然で申し訳ないのですが、フィア様には今から、一緒に『冥界』に行ってもらいます。冥界の方にいるハデス様が是非、新しい神様を見てみたいと仰っているので……。やはり新しい神様は気になるでしょう。私達は冥界で新任式をしようと思います。ですのでまずはこの服に着替えをお願いします。」


ルミウスはそう言って綺麗な白色のドレスを手の中から出した。フィアはその高度な技に驚く。


「ま、魔法!?」


「もちろんです。自分で言うのも恥ずかしながら、私はこのTー38世界では右に出るものがいないほどの実力者。しかしまず、このTー38世界では魔法という物が世に認知されていないので、あまり使える者たちは少ないのですが……。そんな事よりも、何かあったら、私をお呼びください! フィア様の所へすぐに駆けつけましょう! フィア様は魔法が使えないと伺っております。私を頼ってくださるなら、我が最大の幸福であります。」


ルミウスはそう言い、頭を下げ、神殿の中へと入っていく。その場で周りを見回すフィア。周りは白い雲が一面を覆い、空にはキラキラと輝く太陽。

そして、目の前の大きな神殿に心が踊っていた。


「この世界を幸せな世界にするんだ」


ドレスを片手にフィアは小さな声で呟いた。誰にも、ルミウスにも、聞こえないくらいだったが、フィアにとっては大切な目標なのだから。

叶えてみせる。そうフィアは小さい頃から夢見てきたから……。

ここからフィアの神様としての生活がスタートです!

どんなことがこの世界には待ち受けているのか?!

要チェックです!!お楽しみに!!!

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