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GOD騎士(ゴッドナイト) 〜人間=俺=新米神様〜  作者: ミヤザキング
始まりの章『神様との出会い』
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始まりの章2 『共有』

「俺の『生と死の狭間』だと!? 一体どうして……」


「フフフッ!そうだねぇ〜〜。今言えることは君はまだ死んでないよ。君はまだ生きている。だが、死んでもいる。要するにどっちにでもなれるんだよ!」


────生きてたんだ。俺、死んでないのか……良かった。


琉生は心の中で自身の『生』の方をを喜んだ。『死』を無視して……。

正直、琉生は死んでしまって死んだことに後悔が無かったとは言えない。

たった1人の話した事もない少女を救う為に生まれてきたなんて琉生自身も思いたくはない。生きているのならまだやれることがいっぱいあるのだから……。だから、琉生は『生』を喜んだ。

その心情は勿論のこと一心同体であるフィアにも伝わる。


でも、琉生の喜びはフィアの不安を感じて消え去る。

琉生はフィアの方を急いで見た。心が通じ合っているからフィアの感情は琉生の心の中にも伝わるのだ。琉生が見た時にはフィアは不安そうな顔をしていた。


「ゼウス様……フィアは人間の心の中に入れるような力は持ってなかったはずです。どうして今、フィアはこ、こんな所に?」


少女の不安な気持ちが琉生にもビシビシと伝わる。多分、琉生の喜びもフィアには伝わっているのだろう。だが、少女はこの状況を喜んではいなかった。当然、逆だろう。だからこそ、彼女はゼウスに質問したのだから。


フィアは怖いのだ。琉生ではなく、人の心の中に入り込む自分が……。


「ふむふむ、それは私も正直な所びっくりしてね。でも、それはだね。多分フィア自身の力ではない……むしろ怪しいのは彼の方だね。」


「そ、そんな! 琉生くんはそんな悪い人じゃ!!」


「心が見える君が言うならそうなのかもしれないね。誤魔化しようがないのだから……。」


フィアは焦りながら琉生の潔白を主張する。だが、ゼウスが琉生を疑うのもしょうがない。神であるフィアを自身に取り込んだ人間となれば、危険この上ない。琉生は冷静に話から状況を整理していく。


琉生自身の頭脳は国内屈指の進学校である高校に通える程の天才。

そんな琉生の出した答えは……。


「ゼウスさん。俺は人間なのですか?」


挙手しながら、琉生はどこから聞こえてきているのか分からないゼウスに質問した。

その質問にフィアは驚き、琉生の方へと振り返る。ゼウスはと言うと何も答えず考えているようだ。

そして、ゼウスは深く息を吐いてから琉生に言い放った。


「君は人間だ。それは間違いない。」


その言葉に琉生とフィアは安堵する。自分が人間ではない未知のものだとしたらそれはそれで琉生にとってはショックというか、自分自身が怖くなる。得体の知れない生物。それでない事が分かり琉生は強ばっていた肩の力が少し抜ける。

フィアもまた琉生の不安が物凄く伝わっていたのでそれが無くなりほっとしている。


しかし、ゼウスの答えはこれで終わりではなかった。


「しかし、君は電車事故に遭うまでは人間だったと言う事もできる。」


そのゼウスの突然の続きの言葉に琉生は絶句する。嬉しいという事よりも何故という疑問、そんなことができた自分への不安、フィアに対する謝罪の気持ち、そして何より自分の怖さが襲ってくる。

その突然の琉生の心情の変化にフィアは反応する。しかし、感情が読み取れるだけで何を考えているのかはフィアには伝わらない。不安や恐怖などの琉生の感情にフィアはゼウスに意味を聞く。


「ゼウス様。どういう意味ですか?」


フィアは冷静に聞いたつもりだが、内心はとても不安だ。琉生が自分を助けてくれた人が苦しんでいるのだから。


「彼は神でもあるのだよ。彼は君を取り込んだのだから……。」


フィアもだが琉生も聞こえてきたその言葉が自分の仮説通りで悔しむ。

それでもフィアはゼウスに向かって再び質問する。


「で、でも琉生くんは、人間だって……さっき……ゼ、ゼウスさまが……」


そのフィアの弱々しい声に覆い被さるようにゼウスは語り出す。


「そうだね。彼は人間だね。しかしね。彼はそれと同時に神なのだよ。人間が神になるなど私としても驚きだよ。その危険度にね。私はこの全世界の神だ。フィア……君には彼と一緒に」


「おいッ!! 待てよ!」


ゼウスの言葉を遮るように琉生は叫んだ。その言葉に驚いたのか面白いのか知らないが笑っている。「フフフッ! ハハハッ!」という笑い声が『生と死の狭間』に響き渡っていく。


「俺はな! 正直死にたくはない! だがな! 俺はどう見ても危険な野郎だ。客観的に見ればそうなるのは当然。だけどな! フィアを巻き込むなよ! こいつは何にも関係ないじゃないか! 俺がたまたま取り込んでしまっただけでこいつは……そんなこと許すわけねぇーーだろ!!」


琉生は心の底から大きな声でどこにいるかも分からないゼウスに向かって言い放った。

琉生はフィアを巻き込むゼウスが許せないから。


すると突然、ゼウスは呟いた。


「そう言ってられるのも今のうちだかな……。」


「それはどういうッ!」


パチンというゼウスの指鳴らしらしきものが生と死の狭間に響き渡っていく。その音の後、琉生は思わず膝をつく。物凄い頭痛が襲いかかってきたからだ。それはフィアも同じようで頭を抱えて膝をついている。

その痛みは琉生にとって人生で最もと呼べる程のものであり、一瞬でも気を抜いたら意識を持っていかれるだろう。最も今の琉生たちは正常に考える事は出来ないだろうが……。


ゼウスはそんなことは無視し、先程の言葉を続けだした。


「君たちは見た所、感情の共有が出来るようだね。それは一心同体になった以上当然のことだ。しかも、この通り五感も共有出来るようだ。何故だか分かるかい? 私は琉生くんにしか攻撃していない。故にフィアが苦しんでいるということは君の痛みをフィアも受けるということだ。そしてまた、君たちは自覚していないだけであって見ようとすれば、記憶の共有も出来るだろう。知識や思考といった部分は調べてみたが、無理そうだがこの際はどうでもいい。琉生くん。君は知っているのかい? フィアの無責任さが発生させた君の世界への影響を?」


琉生は辛うじてゼウスの話は聴いていた。しかし、頭痛が邪魔してそれ以上思考が回らない。

すると、パチンという音が再び耳の中の鼓膜を震わせた。

その瞬間、頭痛は何事も無かったかのようにすぅーと消えていく。そして、琉生は正常になってきた脳でゼウスの言葉を思い出す。


────五感の共有……。流石に出来たのか。だが、記憶……。フィアの記憶。そして、俺の世界? 俺の世界の影響……。影響? 俺の世界がなんだってんだ! いや、待てよ、今の世界……。まさか!?


琉生はその結論に至った自分が嫌だ。考えれば簡単にわかる。でも、フィアがそんな事をするなんて……。信じたくなかった。

でも、それが事実ならばゼウスの言うことは正しい。琉生には琉生には……。

次の瞬間、ゼウスが言った。琉生の結論と同じことを……。



「君の祖父はフィアによって死んだ。」



そして琉生の脳内に彼女の記憶が再生させる。

いや、次々に琉生の中へと入り込んでくる。



入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んでくる。入り込んで……

次からは本格的に過去に戻ります!フィアの過去……。

このフィアが何故、電車にぶつかっていったのか……。

次の回からのフィア過去編をよろしくお願い致します!お楽しみに!!!

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