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GOD騎士(ゴッドナイト) 〜人間=俺=新米神様〜  作者: ミヤザキング
始まりの章『神様との出会い』
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始まりの章1 『二人の神様』

「ねぇ! 起きてぇ! 起きてぇ! ねぇだいじょーぶなの!? 君! し、死なないでぇーー!!」


琉生の耳の中に残る焦っている女の子の声が脳内には再生されていた。


────焦っていてもとても可愛らしい声。優しそうで温かそうな声。誰なんだろうな……。


琉生がそんな事を思っていた次の瞬間、琉生の体がいきなり左右に揺れる。


────そういえば、俺って死んだんだっけ……。


琉生は冷静に頭の中で状況を整理し始めた。

そして、一通り状況を整理し、自分の死を悔やむ。

やりたいこと。やらなくてはいけないこと。

進路がないとはいえ琉生にはまだまだやりたいことがいっぱいあった。だが、もう遅い。死んでしまったのだ。琉生はその閉じていた目を開けようとする。

一面がお花畑で埋め尽くされているような天国のイメージ。はたまたマグマがドロドロと流れてる中、鬼たちがお出迎え的な地獄のイメージ。


琉生はそんな事を考えながら目を開ける。だが、現実は完全に裏切ってくれた。


「……何もない。」



琉生の目の前には真っ暗な『闇』が覆っていた。

琉生は口から思わず、その驚きが漏れてしまった。だが、本当にどこを見ても『闇』『闇』『闇』『闇』『闇』『闇』『闇』『闇』しかない。


地獄みたいでもないが、天国でもなさそうだった。動揺しながら、冷静に考える琉生。だが、この手の展開は予測してなかったようだ。

しかも琉生はパンツしか履いていなかった。上半身丸見えだ。


────な、何があったんだっ! 俺、脱がされた?


ルイの動揺は止まらない。脱がされたと仮定するならこの状況はエグすぎる。何をされるのか……。


「ええっと、だいじょーぶ? ほ、本当にごめんなさい!」


そのことを考え込んでいる琉生の後ろから、一つの声が聞こえてきた。


────あの声だ。そう、さっき聞こた声だ!でも、なんで謝ったりなんか……。


その優しく、温かい声のした方へ琉生は振り返る。

だか、その声の主を見た瞬間、琉生の思考は停止する。もうパンツしか履いてないことさえをも忘れている。



「な、何でお前がいるんだよっ! お前は俺がたすけたはずだっ!」



その驚きと怒りの声がその少女に向けられる。当然、訳が分からないこの状況に琉生は動揺を隠しきれていなかった。

白銀の長髪の髪の毛。とても愛らしい美貌。蒼眼の目。12才くらいの体。


そうこれはまさしくあの時、琉生が助けた少女だった。


でも、こうして見てみるととても可愛い美少女だ。雨で見えなかったが、物凄い可愛い顔だ。そして、身に纏う白いドレスはとても似合っている。

でも、まあ、琉生はそんなことを考える暇はないのだ。頭はもう混乱しているのだから。

その動揺する琉生見て、その少女は語り出した。



「ごめんね。君も理解できていないのよ、ね? こんなことに巻き込んでしまったみたいで……。フィアとしてもこんなはずではなかったの。ただ、あ、会いに行くだけだったの。でも、本当にごめんなさい。謝ることしか出来ないの。フィアは、まだこういうのには慣れていなくて、でも、こんな状況だからこそ、落ち着いて聞いて欲しいの! 今、頼れるのは君しかいないんだ。フィアも急いでいる! 今から話したいこともある! これは本当に大事なことなの! フィアを救おうとしてくれた人にこんな我儘を言いたくはないけど……。フィアを信じられないかもしれないけど……。」



「あぁそうだ!! 信じられねぇ! あと、俺はそんな謝罪も話も求めていない!! お前が誰であろうと俺には関係ないからな! でも、俺は死んだ! 死んだはずだっ! お前を助けて……。あの時、飛ばして……お前は、助かった……はずだ。なら、どうして、おまえがッ!」



状況を整理しきれなくなった琉生は目の前にいるはずのない少女に混乱している。そして、少女は喋り続けている琉生に向かって頭を下げる。

その様子に琉生の混乱は徐々に収まってくる。


そして、少し琉生が落ち着いたところで少女は再び顔を上げる。


「そ、その、これは言わなきゃいけないと思うから言うの。私の名前は『フィア』この世界の神なの。君の……いや、正確にはあの世界の神なのっ!」


琉生は自分の耳を疑った。衝撃の言葉が幼い少女から発せられたのだ。

だが、少女は琉生の目を見ながら、嘘ではないのだと琉生でも分かる程、真剣な目で言っていた。

この少女はガチだ。だが、依然として、琉生はこの状況がまだ分かっていなかった。だが、一つ分かったことがあった。彼女の言葉を信じるならば、


「神様……」



琉生の口から言葉が漏れる。何故そんなにも簡単に信じられるのか琉生自身でも不思議だ。しかし、琉生は信じてみることにした。そう信じたいだけなのかもしれないが……。

その声に神と名乗る少女は反応する。


「そう、フィアはこのTー38世界に置ける神様なんだ。一応、まだ新任されたばかりの新米なんだけどね。」


その神と名乗るフィアは琉生に向かって何処か悲しいようにそう言った。

でも、琉生にはそんなことは関係ない。琉生はこの少女は神だと思う。何故か琉生にも分かる。こいつは普通の人間とは違うオーラが出ているように感じる。

でも、やはり許せないことがある。


「神なら何故死のうとした。死にたくないのに病気で死んでいく人達だっているだぞっ! なんで……お前が、神が死のうとするんだよ! ふざけてんじゃねーーぞッ!!」


「ふざけてなんかいないのっ!」


次の瞬間、真っ暗な空間に少女の声が響き渡った。

そのフィアの悲痛の叫びは琉生の怒りを一旦止める。琉生は見たのだ。またあの時のように目に涙を浮かべる少女の表情を……。


「フィアはね。生きている価値がないの。神っていうだけで誰も救えない助けられない。この世界のこと無知で何も知らない。しかも、目の前で何回も死を見た。もう……嫌なの。死んで欲しくない。だれにも……。だから、フィアは神失格。新しい神様に変わって貰えたほうか……この世界の為になる。こんな落ちこぼれが神なんかになるんじゃなかったの。もう、もう耐えられないの!」


その言葉は琉生の心の中に大きく響いた。琉生は目から涙を流すフィアに近寄っていく。フィアはまだ泣いていて琉生の接近には気づいていない。

そして、そのしゃがみこんでフィアの両肩をガッシリと掴んだ。

その琉生の行動にフィアは驚き、涙を流しながら琉生を見た。


「俺も生きる価値はない。誰かに言われた訳でもない。自分自身がそう言っているだ。俺も何も出来なかった。幼なじみもじいちゃんも死んじまった。俺は……死のうとした。お前のように……。だけど、死んだらな! 悲しむ人だっているんだぞ! 例えお前にその悲しむ人がいないとしても俺は悲しい! お前に死んで欲しくなんかない! 死んだら終わりなんだよ! だから、死ぬな! 俺はお前がそれでも死のうとするなら止める。俺はもう助けられる命をもう無くしたくない。」


フィアはその言葉に膝が折れ、座り込んでしまった。そのまま声に出さずに泣き続けていた。それを琉生は背中をポンポンと叩くようにして慰めることしか出来なかった。


琉生からして見てもこの琉生自身の行動は理解できない。琉生自身、らしくない行動だということは自覚している。

しかし、12歳くらいの女の子を泣いているのを死のうとしているのを黙って知らないふりをするのは嫌だ。そういう事をして後悔はもうしたくない。


その琉生の気持ちがフィアに伝わったのか、しばらくしてからフィアは泣き止んだ。


「ありがとう」


フィアは琉生に思った通り感謝の気持ちを伝えた。琉生はその言葉に少し戸惑っているようだ。琉生は人生で感謝された経験はかなり少ない。それだけにフィアの言葉に対応が遅れる。


そして、テンパっていた琉生は話を逸らすためフィアに問いかけた。


「そ、そういえば、ここはどこなんだ?」


琉生は辺り一面の『闇』を見回してみたが辺り一面は起きた時と変わらず、『闇』しかなかった。何もなく静かで風もないこの空間。琉生は味わったことない感覚に捕らわれていた。


その少女はその質問を聞き、下を向き、不安な感じを漂わせていた。とても神にしては頼りにならなさそうな感じだ。そして、その予想は、見事に当たる。



「ごめん、フィアにも分からなくて…」



琉生はその求めていたのと違う返答に予測はしていたが、少し落ち込む。

この状況ではもう情報がない。琉生は脳をフル回転させて仮説を立てるがどれもこれも目の前に神がいる時点で消えていく。


────転生とかだと思ったが、神はもう俺の前にいるし、死んだ。じゃあ、これは何なんだよ。だめだ。どういうことなのか……。



そう考えていた次の瞬間、新たなる声が聞こえてきた。


「そこの人間くんとフィアよ。ここが何処だか知りたくはないか?」


その突然の声に琉生は辺りを、急いでもう一度見回した。

だが、誰もいない。いるはずもない。だって辺り一面は『闇』しかないのだから。そう目の前にいる少女と琉生以外、周りは『闇』しかない。


「すまないね。周りを探しても無駄だよ。人間くん。なぜなら、私はここにいないからね! 外部から声をかけさせてもらっていてね。そして、一応、言っておこう。私の名前は『ゼウス』。神様だな。」


「ぇ! か、神様っ!?」


二回目の『神発言』に琉生は動揺した。でも、本当かどうかは分からない。琉生は見極めようとフィアを見る。

すると、そのフィアもまた驚いているようだ。


「ゼ、ゼウス様?!」


そのフィアの発言にはその人物を知っているような感じがした。琉生はフィアのその発言を聞き、ゼウスというのが神だと言うことが分かった。


────何でフィアを信じられるんだろう。嘘ついていないのが何となく分かるのだが……。俺は人の感情を読み取るのが苦手なはずなのに……。フィアの感情が……わかる……。


琉生はフィアの気持ちが分かるこの状態。

そういう事を感じる自分に違和感を感じた。すると、驚いたことに琉生が感じていることが少女に伝わったのか少女は琉生を見つめてきた。


「ゼウス様、フ、フィアはどうなってしまったんでしょうか!? あの少年の感情が心が……感じ取れてしまいます。フ、フィアの体に何が起きてしまったのですか!?」


それを聞いた琉生は流石に自分の耳を疑う程、フィアの発言に驚いた。

それは、琉生の感じていた違和感がフィアも感じているからだ。

フィアの気持ちは琉生も分かる。琉生の気持ちは少女も分かる。この現象はいったいどういう事なのか。琉生は黙って考え込んだ。再び頭をフル回転させて……。しかし、答えが出る前にもう一人の神様であるゼウスが喋り出した。


「これは実に面白い! 考えが変わったよ! ここまで生きてきて、私、この私であるゼウスの予想をここまで大きく上回った事態は初めてだよっ! 二人とも考えている所で申し訳ないが、そうなるのか! 全知全能の神である私の導き出した簡単な答えを言うとね! 君たち! フィアと鶴木琉生は合体して『一心同体』になってしまったというわけだ! うーん分かったかな?」


フィアと琉生は、そのことを聞き、互いに見つめあった。フィアはゼウスが何を言っているのか分からない様子だったが、琉生は原理は分からないが理解はしてしまった。そして理解したとたんに慌てて質問した。



「だが、なんでだよ? 俺とフィアが意思疎通出来るのは分かった! でも、そんな事ってありえるのか? 一心同体ってどういうッ……」



「まあ、信じられないのは無理もないだろうさ。前例がないからね。あくまで私の推測になる。君たちが電車事故にあって、2人とも死んでしまった。これは事実だ。人間くんはフィアを突き飛ばしたが、遅かったようだね。救えず、2人で仲良く死んだ。その時点で君たちの人生は終わるはず。しかし、終わらなかった。一心同体になったのは私でも分からないのだが、これだけは言える。君たちは、2人で1人になってしまったようだ。それも人間である君が主体としてフィアは君に取り込まれたようだ。何故なら、君たちがいるここは『鶴木琉生の生と死の狭間』なのだから! 私は今、鶴木琉生の中に声をかけているのだからね。」

フィアとゼウス。2人の神様の登場でしたね。

というか、このゼウス……。なかなかの大物なので要注意です!

ではでは!次の回をお楽しみにー!!

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