始まりの章16 人間=俺=新米神様
めっちゃ大事な話ッス!!
全部見てくれると嬉しいな♪♪♪
「え、えっ!? な、何をッ!? な、なんでッ!?」
戸惑いながら少女は琉生に向かってそう言う。それはそのはずだ。いきなりビンタをされ、抱きしめられたのだから。その優しい琉生の体が少女を包み込む。そして、琉生は語り出した。
『お前は、本当に"お馬鹿さん"だな、じいちゃんの言う通りだっ! 何が死にたいだっ! そんなこと言うなッ!!!』
「ぇ、でも、だって私はッ!」
少女は弱々しい声で 反論しようとする。しかし、
『だってじゃないっ! 俺は分かった、じいちゃんが言いたかったこと、ゼウスが言いたかったこと、俺が言いたかったことが分かったっ! お前は、諦めてばかりだ、やる前から、助けようとする前から諦めて、私は出来ない出来ないって言ってるだけだっ!』
「で、でも、それは、だって」
『いや、違うね、過去は過去っ! 今は今だっ! 何をしているんだお前はっ! お前は口だけで何も何一つ出来ないんじゃないっ! 何一つ諦めたんだっ! あの時、ルミウスや沢山の管理者たちは確かにお前のせいで死んだ、それは嘘ではない、事実だっ! お前は殺したッ!』
「ならッ!」
少女は琉生の目を見て言う。それを琉生は、
『死んで償おうとするなっ! お前は馬鹿かっ! 死んで何になる? 償えるとでも? 馬鹿野郎っ! お前は本当に"お馬鹿さん"だっ! そんなことしても何にもならないぞっ! じいちゃんは、お前に"命を絶とうとするな"って言いたかったんだよっ! 俺はおじいちゃんとは長い付き合いだ、何となくわかるっ! その気持ちをお前は裏切るのかっ! 命を絶っても何にもならないんだぞっ! 今日という日はおじいちゃんが生きたくても生きられなかった日なのだからっ! それに、お前が死んだら、ルミウスやみんなが悲しむだけだっ! 当然、おじいちゃんだって悲しむッ! そして、お前が死んだら俺だって悲しいっ!』
「何で、あなたがッ! 私には何にも関係ないでしょっ!」
少女は依然として琉生の目を見ている。その言葉に琉生は、
『お前を知ってしまったからだよ』
琉生はそう静かに少女に向かって言い放った。
そう、琉生は、鶴木琉生は、
ーーこの子を助けたいんだーー
琉生は心の中でそう呟いた。その気持ちは当然、少女には伝わった。少女はその琉生の気持ちを下を向く。そして、少女は静かに呟いた。
「じゃあ、どうしたらいいの、私は私はもう、もう」
『諦めるなッ!!! お前はまだ生きているッ! 死んでないんだよ、だから、今からでも間に合うっ! 何でも出来るっ! おじいちゃんは昔から俺に言っていることがあってな、人生は長いのだと、だから、いつからでもやり直せる、何かいけないことをしてしまったなら、諦めるなっ! それを取り消すくらいのいい事をしろって、俺に言ってたんだよっ! お前はまだまだ何だって出来るだよっ! だから、命を絶とうとするなっ! 俺はそんなお前を助けたいッ!!!』
「ーーーーーーーーーーーッ!!!」
その熱のこもった琉生の言葉に下を向いている少女の目からはまた涙が零れてくる。今までとは違う嬉し泣きだ。そして、少女は下を向きながら、
「こんな、フィアでも生きてていいのかな? 私は諦めないでみんなを助けてもいいのかな?」
その少女の問いに琉生は満面の笑みを浮かべて、
『俺はお前に生きていて欲しいよ、こんな最低で最悪な俺でも、俺は、そんな"お馬鹿さん"なフィアを俺は救いたいんだと思う、フィアは本当にいいやつだ、全て空回りしてしまったけど、お前のみんなを幸せにしたいって気持ちは嘘ではないっ! それは俺なら分かるっ! だから、生きろッ! そして、みんなを救えるように努力していけばいいっ!』
その琉生の言葉にフィアは顔を上げて琉生を見ながら、宣言した。自分の本当の内にある叶えられないと思っていた希望。"無力"なフィアの本当の本心が口から発しられる。
「る、琉生、私は私は、諦めたくないっ! 私はみんなを死なせたくないっ! いや、私は絶対にみんなを救うのッ! "無力"で弱くて何も出来ないフィアでも、それでも頑張りたいっ! 私は生きたいよ、琉生ッ!」
その顔は笑いながら嬉し泣きをしていた。その心の底からのフィアの叫びはこの空間に響き渡る。本心、そう、フィアは生きたいと思うことが出来たのだ。その可愛らしい顔でフィアは満面の笑みを浮かべて、
「琉生、フィアを救ってくれてありがとう」
そう言ってフィアは琉生に抱きついた。互いに抱きしめる琉生のとフィア。
そして、次の瞬間、フィアの体は光だした。フィアの体は『光』となっていく。そして、『光』となったフィアは琉生の中に入り込んでいく。琉生の中に入り込み終わる直前、『光フィア』は一段と光り出す。その『光』は周りの『闇』と混ざりあっていく。そして、この空間は、『光と闇』になった。
そして、琉生とフィアは真の意味で"一心一体"となった。琉生の髪はフィアのような白髪に変化し、背も少しばかり縮んで百七十前半くらい。ここに"新生ツルギ・ルイ"が誕生した。
『"人間=俺=新米神様"だなっ!』
ルイはそう言いながら天に向かってグッジョブをする。フィアも頷いてくれている感じが伝わる。
ゼウスはその様子を黙って見守っていた。そして、
「ツルギ・ルイ、お前は本当に何者なんだ」
そう静かに呟いた。二人に聞こえないくらい小さな声で。ゼウスは静かに呟いたのだった。
ーーこれから、よろしくな、フィアーー
《うん、こちらこそよろしくね、ルイ》
そして、ここに"人間=俺=新米神様"の物語は始まった。
次が『始まりの章』最終回ですっ!
その後、どうなるのか、お楽しみに♪♪♪♪♪




